社会構想デザイン機構、キャラクターブランド・高校生団体と連携し「チカキープロジェクト」を支援

一般社団法人 社会構想デザイン機構(ISVD) は、クリエイティブキャラクターブランド「PeeChickPaa (FRIENDS)」および高校生による性教育団体「セクテル」と連携し、高校生主体の痴漢防止プロジェクト「チカキー」をデザイン面でサポートしました。本プロジェクトは若い世代が中心となって性暴力防止に取り組んだ画期的な試みであり、行政関係者を含む多くの方々から社会的意義が評価されています。

目次

プロジェクト概要:高校生発の「痴漢防止キーホルダー」支援プロジェクト

このプロジェクトは、男子高校生メンバーの「痴漢を減らすために俺たちにできることってなんだろうね」という一言をきっかけに始まりました​。痴漢問題に対する意識が女性に偏りがちな現状への危機感から、男女ともに参加できる対策として考案されたのが痴漢防止キーホルダー「チカキー」です​。

発案者であるセクテルは、海外ルーツを持つ男子高校生3名が性教育をより良くするために活動する団体で​、クリエイティブブランドのPeeChickPaaと協働して本プロジェクトを企画・推進しました。

クラウドファンディング(CAMPFIRE)を通じて支援を募った結果、205名の支援者から約142万円(目標比142%)もの資金が集まり、2024年9月末に目標達成で募集を終了しています。集まった資金で高校生にチカキーを無償配布し、痴漢問題への意識啓発につなげることが本プロジェクトの目的です​。

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ISVDの役割:デザイン方向性の支援と高校生のアイデア醸成

ISVDは本プロジェクトにおいて、デザイン分野のパートナーとして重要な役割を果たしました。プロジェクト当初からアドバイザーとして参画し、デザインの方向性設定モチーフ選定に関する支援を提供しました。高校生メンバー自身、「自分たちの画力ではメッセージ性とデザイン性を両立したものを作るのは難しい」と感じていたため​、ISVDのサポートの下、ユニークなキャラクターデザインで知られるPeeChickPaaとのコラボレーションが実現しました​。

ISVDはデザイナーとの橋渡しやデザイン検討の場を調整し、キーホルダーに込めるメッセージやビジョンがぶれないよう方向づけを行いました。

例えば、痴漢行為を連想させる手のモチーフをどのように描くか、どのような言葉を添えるかといった点で専門的助言を行い、プロジェクトの目指す「男女ともに貢献できる防止策」というビジョンを視覚的に表現するお手伝いをしました。

加えて、高校生たちが自由に意見を出し合い形にできる場を創出するべく、ワークショップやミーティングを通じてアイデア出しを支援し、彼らの主体性を尊重しながらプロジェクトの推進を後押ししました。こうしたISVDの伴走支援により、高校生の熱意と創造力が十分に発揮されたデザインプロダクトが完成しています。

若い世代の挑戦が示す社会的意義と反響

本プロジェクトには、若い世代が主体となって性暴力防止の具体策を起こしたという大きな社会的意義があります。特に男子高校生たち自らが痴漢問題に向き合い行動を起こしたことについて、性教育関係者からは「男子高校生が性教育の面から社会をより良くしようとする活動に深く感心しました」という声も上がっています​。

従来、痴漢対策というと被害者になりやすい女性側の自己防衛に委ねられる傾向がありましたが、本プロジェクトは「加害を生まない」ために男性を含む誰もが役割を担えることを示した点で画期的です。実際、現代社会において性暴力を未然に防ぐ教育やツールは不可欠であるにもかかわらず、十分に整っていないのが現状です​。だからこそ、高校生たちが起こしたこのクラウドファンディングの意義は非常に大きいと言えます。​

また、本プロジェクトは痴漢問題や包括的な性教育の重要性を社会に発信する良い機会にもなりました。プロジェクト期間中、セクテルやPeeChickPaaのSNSアカウントでは積極的な情報発信が行われ、多くの賛同や応援コメントが寄せられました。クラウドファンディングの達成報告では「たくさんのご支援と応援をいただき、本当にありがとうございます。皆様からのご支援により、さらに多くの高校生にメッセージを届けることができるようになりました」と高校生チームから感謝の言葉が述べられています​

支援者205名という数字は、SNSとクラウドファンディングを通じて本プロジェクトの趣旨に多くの人が共感した結果であり、社会の関心の高さを示すものです。若い世代の発信力と熱意が、デジタルプラットフォームを通じて社会を動かしつつある好例と言えるでしょう。

今後の展開と期待:行政・企業との連携、社会への波及効果

「チカキー」プロジェクトの成功を踏まえ、行政機関や企業とのさらなる連携による展開にも期待が高まっています。例えば、学校や自治体と協力して高校生へのキーホルダー配布を拡大したり、鉄道会社・警察とタイアップして痴漢防止キャンペーンに活用することなど、様々な可能性が考えられます。実際、本プロジェクトのチームは支援終了後、チカキーの製作・配布に向けて準備を進めるとともに、痴漢に対する認識を高めるためのイベントやワークショップの開催も計画しています​。

こうした活動に行政や企業が参加すれば、社会全体への波及効果はさらに大きくなるでしょう。

チカキーそのものも、広く普及することで社会に与える影響が期待されるプロダクトです。多数の学生が痴漢抑止のメッセージが込められたキーホルダーを身につけることで、痴漢加害者に「自分たちは周囲から監視されている」という心理的プレッシャーを与えることができます。実際、痴漢撲滅キャンペーンにおいても「キーホルダーを着用することで痴漢加害者に行為を思いとどまらせ、痴漢被害を未然に防止する効果が期待できる」とされています​。

チカキーのようなグッズが学校や地域で広く活用されれば、痴漢行為そのものを抑止する社会的メッセージとなり得るでしょう。さらに、若者が主体的に作り上げた取り組みであることから、同世代への共感や波及効果も大きく、次代を担う世代の意識改革にもつながると期待されます。

ISVDとしても、本プロジェクトのようにデザインの力で社会課題を解決する取り組みを今後も積極的に支援していく考えです。今回の連携を通じて得られた知見を活かし、行政や教育機関とも協力しながら、安全で思いやりのある社会づくりに貢献していきます。チカキーをはじめとする創造的なソリューションが社会に浸透し、痴漢のない安心な社会を実現できるよう、ISVDはこれからもデザインの観点からサポートを続けていきます。社会全体で若い世代のチャレンジを後押しし、誰もが安心して暮らせる未来に向けて、引き続き取り組みを進めてまいります。

参考資料

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記事投稿者

ヨコタ ナオヤのアバター ヨコタ ナオヤ Creative Producer

1990年生まれ、大阪府交野市出身。東京・文京区在住。
植木屋、木こり、農家などガテン系現場職を経て、2015年よりWEBデザイナーとしての活動を開始。会社やサービス・商品のこだわりを言語化するコンセプトメイキングを得意とし、事業設計・設定からデザイン・システム制作までを一気通貫で行うクリエイティブプロデューサーとしての活動を主とし、現在は事業やブランドの立ち上げを伴走支援するプロデューサーとして、様々なプロジェクトに参画。社会的な活動を世の中に増やしていくビジョンを持ち、2025年に一般社団法人社会構想デザイン機構を非営利法人として設立。

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