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一般社団法人 社会構想デザイン機構

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再配達が減れば、物流で働く人の負担も減ったと言えるか

2026年公表の再配達率と一般貨物の拘束時間、受け取り・納品の仕事と費用について

更新: ヨコタナオヤ(横田直也)約11分で読めます

2026年公表の再配達率と一般貨物の拘束時間を読み分ける。対象事業者と調査時期を確認し、受取設備、移動、発注・納品条件の変更を誰の仕事と費用で支えるかを考える。

ざっくり言うと

  1. 再配達率と一般貨物の拘束時間は、対象と時期を分けて読む
  2. 2017年の配達時間帯変更と2024年の労働規制を区別する
  3. 受け取りと納品を変える仕事、費用と代替方法を確認する

見出し画像はAIで生成した概念画像で、実際の配達現場や住宅を撮影した写真ではない。

何が起きているのか

再配達と非対面配達の対象を分ける

本稿は物流と労働規制に関する一般情報であり、個別案件への法的アドバイスではない。労働時間や対象事業者の具体的な判断は、弁護士・社会保険労務士等の専門家に確認する必要がある。

物流の負担を読むには、配達の割合と、その前後にある仕事を分けたい。

再配達が減れば、物流で働く人の負担はどこまで軽くなるのだろうか。荷物を一度で受け取る工夫は宅配の現場に関わるが、その割合だけで、物流全体の労働時間や安全、受取側の暮らしまで評価することはできない。何を数えた結果なのか、別の場所の仕事が変わっていないかを合わせて読みたい。

によると、宅配に関わる大手事業者6社の集計で再配達率は7.6%だった。同月の3社集計の参考値は8.8%である。違う対象の割合を同じ系列へつなぐと、変化の読み方も変わってしまう。

同じ資料の非対面配達率は、大手宅配事業者3社の集計で31.0%である。これは置き配を使った経験がある人の割合ではなく、配達の方法に関する値だ。再配達の6社集計とも割合を計算する対象が違う。「多くの人が置き配を選んだから再配達が減った」と、この表だけで原因まで決められるだろうか。

本稿は、個別の配送ルートや家庭の負担を測った調査ではない。公表資料を読み分け、受け取り方と発注・納品条件をどう調整するかを考える。本稿では、届け出や報告の手続きに加え、受け取る人が確かめられるサービスの条件を考える。

背景と文脈

サービス変更、労働規制、一般貨物の調査を区別する

配達時間帯の変更と、労働時間の規制を分ける

配達の選択肢が変わった時期を確認したい。は、12〜14時と20〜21時の枠の廃止を2017年6月19日以降と記す。2024年に始まった労働時間規制と同時の変更ではない。サービスの変更を、後から施行された制度の直接の結果へ置き換えないようにしたい。

現在のFAQでは五つの時間帯を案内し、細かな時刻を指定できないことも伝えている。時間帯があることと、その中の一つの時刻を約束することは違う。配達の予定を知らせる際には、利用者が選べる範囲を説明する必要がある。

厚生労働省の案内(外部サイト、新しいタブで開きます)では、2024年4月から自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用される。特別条項付きの36協定を結ぶ場合の年間の時間外労働の上限は960時間であり、総労働時間や一日の拘束時間の上限を表す数字ではない。運転時間や休息期間などは、別の改善基準告示でも確認する必要がある。

制度とサービスを読む順序を逆にすると、利用者の不便だけを根拠に労働者保護を評価することにならないか。変更前の選択肢、変更の時期、働く時間の基準を分けてから、その変更が誰の仕事に関わるかを考えたい。

一般貨物の拘束時間は、宅配の再配達とは別の調査

国交省は同じ7月10日、一般貨物の拘束時間の調査(外部サイト、新しいタブで開きます)も公表した。対象は、一般貨物自動車運送事業のうち実際に貨物を運ぶ事業者である。宅配便の再配達率を調べた営業所や荷物と、同じ対象として扱うことはできない。

調査の回答を求めた時期は2025年11〜12月で、回答する運行は同年4〜8月の通常期の代表的な一日だった。国交省は添付資料(外部サイト、新しいタブで開きます)で、2025年度調査の平均拘束時間10時間13分、荷待ち・荷役等時間2時間2分を報告している。2026年の毎日の労働時間や、全ての運転者の年間の仕事量を示す値ではない。

前年との平均の違いは公表されているが、調査対象の数も同じではない。公表資料から、同じ運転者を追跡した結果であるとは確認できない。平均が短くなったことを、各人が同じだけ短く働けるようになったという結果へ置き換えない読み方が必要だ。

宅配のサンプル調査

2026年4月の配達

集計
荷物の総数・再配達数
対象
6社と3社参考を区別
限界
全物流の労働時間ではない

一般貨物の運行調査

2025年通常期の代表日

集計
1運行の拘束と内訳
対象
実際に貨物を運ぶ事業者
限界
全員の毎日や年間ではない

国交省の二つの公表資料から範囲の違いを整理した。対象や単位が異なる数値を合算せず、再配達削減が拘束時間の変化を起こしたという因果関係も示さない。

宅配の再配達と一般貨物の拘束時間は、違う範囲を測る

配送条件を決める側にも、変更できる仕事がある

は、荷主に対しても納品日時の分散、必要な時間の確保、積み下ろしの方法などを挙げる。運転者が速く走ることだけで解く課題として説明していない。予約システムも、導入に加えて事業者との調整が必要だとする。

ここでいうは、運送依頼や発注から積み込み・納品までに確保する時間である。まとめて運ぶ準備ができるかは、発注側の締切や受取側の日時指定とも関係する。物流担当だけで条件を変えられるか、それを決める販売・調達などの担当と話す必要があるかを考えたい。

2025年からの努力義務と、2026年4月から一定規模以上の特定事業者に求める計画・報告などの義務も分かれている。物流統括管理者の選任は、そのうち特定荷主に求められる。全ての利用者や全ての運送事業者に、同じ責任者を置く制度だと説明してはいけない。

構造を読む

受取環境と発注条件、移動や費用、比較の範囲を考える

受け取り方を選べる環境も確認する

国交省の調査の案内(外部サイト、新しいタブで開きます)は、宅配ボックスや置き配などを選びやすい環境の整備を政策に位置づける。利用を呼びかけることと、選べる場所を用意することは違う。受取側が在宅時間を調整する以外に、設備や通知の方法も検討の対象になる。

ここからは本稿の考察である。集合住宅に受取設備を設ける架空の場面なら、置き場の確保、利用方法の説明、保管中の扱い、故障時の連絡を決める仕事がある。設備を置いただけで全員が使えると結論づけず、大きさや荷物の性質、利用できない場合の選択肢も考えたい。これは実在施設の不具合率や改善効果を調べた事例ではない。

受取側は自宅の条件を知っていても、送る側や配達する側には伝わっていない場合を想定できる。を考えるなら、指定できる場所や利用できない方法をどの時点で知らせるかが問いになる。住所などを広く公開するのでなく、配送に必要な情報の範囲と伝える相手を決めることが検討の対象だ。

一度で届いたことと、負担が減ったことを分ける

例えば、架空の利用者が勤務後に営業所で受け取る方法へ変えたとする。再配達を避けられても、利用者の移動や窓口の保管・受渡しの仕事は別に確認する必要がある。変更前後で何が減り、何が増えたかは、一度で受け取れたという記録だけからは分からない。

この例は、窓口受取が一般に劣ると評価するためのものではない。帰路に使えて便利になる人も想定できる。利用者の移動と事業者の作業をどこまで確認し、どの選択肢を残すかという、検討の方法を示している。

スマートフォンの通知や近くの受取拠点を使う設計なら、機器を使いにくい人や移動が難しい人への方法も考えたい。本稿はその人数や利用率を調べていない。使えない人の存在を数字で推測するのでなく、変更前に相談できる相手と代替の受け取り方を用意できるかを問う。

宅配の受け取り

住宅・利用者・配達側で相談

条件
場所・時間帯・荷物の性質
仕事
通知・保管・受渡し・管理
確認
使いやすさ・移動・代替方法

発注・納品

荷主・受取側・運送側で相談

条件
締切・準備時間・受渡し時刻
仕事
調整・荷役・設備・費用分担
確認
拘束・安全・変更後の作業

公式の案内と架空の検討例に基づく本稿の整理。関係者の法的責任を一律に判定する図ではなく、各方法の効果を実証した比較でもない。

受け取りと発注の条件を、変更する仕事から考える

平均の変化を、原因や全員の改善へ広げない

国交省の拘束時間の資料は、改正法に基づく取り組みが短縮に寄与していると思われる、と説明する。同時に、個別には長い荷待ち・荷役等時間が残ると記す。公表された解釈を伝える際にも、全ての変化が法律だけで生じたという因果の証明とは区別したい。

運行の物量、距離や作業の組み合わせが違えば、時間の平均を比べる際に確認が要る。変更した条件と、その後に測った範囲を記録する方法は本稿の提案であり、ここで実施した実験ではない。再配達の割合を、そのまま必要な運転者の人数や年間の労働時間へ換算する計算も行っていない。

再配達率の公式図(外部サイト、新しいタブで開きます)は、6社と3社の系列を分けて示す。過去の大きい値と現在の小さい値を別の系列から取り出すと、改善を過大に読むおそれがある。比較したい期間を選ぶ前に、同じ対象でつながる系列を確かめることから始められる。

変更した後にも、使えるかを確かめる

サービスの案内を変えた後、利用者が理解できたかは別に確認する仕事である。選択肢が増えても、どこから申し込むか分からなければ利用に結びつかないかもしれない。これは今回確認した発生率ではなく、説明の方法を考える際の課題だ。

受け取る側から条件を伝え、配達する側ができる範囲を返す経路も必要になる。選べなかった方法や相談の理由を残せれば、設備や案内を見直す材料にできる。問い合わせの多さだけを失敗の件数と数えず、何について確かめたのかを読む方法を考えたい。

同時に、荷主や事業者が変更の費用を相談できることも検討の対象だ。時間を短くするために作業を別の人へ移した場合、その人員や安全、対価を確かめる必要がある。配達の便利さと働く時間が必ず同じ方向に動くとも、必ず対立するとも決めず、具体的な条件の変更と確認を続けたい。

設備を使えないとき、誰へ相談するか

受け取り方を案内する際には、使えなかった場合の連絡先も必要になる。

例えば、集合住宅に受取設備を設け、設備に入らない大きさの荷物を利用者が受け取る場面を考える。これは選択肢を検討するための仮想例である。利用者が設備の管理担当へ連絡しても、その人が配達方法を変更できるとは限らない。設備についての相談と、荷物をどう届けるかの相談を分け、必要な連絡先へつなぐ方法を案内できるか。問い合わせの受付だけで、代替方法が決まったと扱わないことが大切になる。

代わりの受取場所があっても、利用者が行ける時間と窓口が開く時間、運べる荷物の大きさを確かめる仕事が残る。本人に便利かを聞かず、再配達を減らすためという理由だけで一つの方法を求める運用にはしたくない。変更前の受け取り方を続けたい人も含め、どの条件で困っているかを聞くことが、本稿の提案である。各家庭の生活や移動を細かく集めるのではなく、相談に必要な情報と伝える相手を決めておきたい。

相談が特定の担当者だけに集中すると、その人が休む間の対応も決める必要がある。代替方法を案内できたか、返答を待っているかを次の担当者へ渡せれば、利用者に最初から事情を説明し直してもらう仕事を減らす方法になる。ただし、記録を用意しただけで困り事が解消したとは判断できない。案内した方法を本人が実際に使えるかまで確認する時間を、設備の維持と一緒に考えたい。

納品の変更を、発注時点の相談へ戻す

運転者の時間を短くする変更では、移る仕事の担当と費用も確かめたい。

本稿の提案として、発注する担当、荷物を受ける担当、運送する担当が、予定する納品条件と準備できる仕事を合わせて確認する方法が考えられる。受取側へ積み下ろしの仕事を移すなら、その担当が同じ時間に対応できるか、必要な人員と設備を用意できるかを聞く。運転者が待たなくなっても、別の場所で準備や確認の仕事が増えた場合には、それを変更後の負担として扱う必要がある。

条件を変えた日だけで終えず、誰がその後の時間と作業を確かめ、困った場合に誰へ相談するかを決めたい。比べる物量や距離、扱う荷物が違うときは、その違いも残す。これは関係者が調整するための方法であり、一定の短縮時間や費用削減を保証するものではない。変更後の仕事を担う担当者が準備できない場合に、元の条件を含めて相談し直せる余地があるかも確認の対象になる。

関連ガイド

残る問い

使える選択肢と変更後の負担を確かめる条件を問う

一度で受け取る方法を増やすとき、利用者は自分の住宅や働く時間に合う選択肢を持てるだろうか。受取設備の管理や窓口までの移動を含め、誰の仕事が変わるかを確認したい。利用方法の説明をどこで読めるか、困ったときに連絡がつくかも、設備の数とは別に確かめる必要がある。機器の操作や移動が難しい場合も相談できる方法を残し、再配達率の低さだけで使いやすさを判断しない設計を考えられるか。案内された方法が使えなかったとき、事情を伝え直す負担を減らしながら、別の方法を相談できるだろうか。

運転者の拘束時間が短くなったと読む際、その調査は誰のどの運行を扱っているのだろうか。宅配の荷物と一般貨物の代表日、違う事業者の系列、平均と個別の状況を分けたい。取組の公表を成果の確認に変えず、距離や物量、荷役の範囲を含めて同じ条件で比較できる記録を、誰が用意できるか。時間が短くなった担当だけでなく、作業を引き受けた側の人員と安全を確認し、比較した範囲を説明できるだろうか。

配送の時間帯や納品の条件を変える相談では、運転者だけでなく、発注・販売・受取設備を管理する人も決定に関われるだろうか。費用と安全、利用者の代替方法を扱い、変更した後にも確かめる担当と時間を残したい。便数や選択肢を減らすことを最初から解決と決めず、何を守り、どの負担を減らしたかを説明し続ける条件が問われる。

この記事で使った統計の出典

  1. 1国土交通省 宅配便の多様な受取方法の利用率は約31.0%(2026年4月調査) 出典を開く
  2. 2国土交通省 トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果(2025年度調査・2026年7月公表) 出典を開く

参考文献

宅配便の多様な受取方法の利用率は約31.0% ~前回調査(令和7年10月)に比べ1.1%増加~ — 国土交通省 (2026). 一次資料(2026年10月6日参照)

お届け指定時間帯の12時から14時と20時から21時は、できなくなったのですか? — ヤマト運輸 (n.d.). 一次資料(2026年10月6日参照)

建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 — 厚生労働省 (n.d.). 一次資料(2026年10月6日参照)

トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果の公表 ~荷待ち・荷役等時間が約3時間から約2時間へ減少~ — 国土交通省 (2026). 一次資料(2026年10月6日参照)

トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果 — 国土交通省 (2026). 一次資料(2026年10月6日参照)

物流情報局(荷主の皆さまへ) — 厚生労働省 (n.d.). 一次資料(2026年10月6日参照)

宅配便の再配達率サンプル調査について — 国土交通省 (n.d.). 一次資料(2026年10月6日参照)

実態調査に基づく宅配便の再配達率の推移 — 国土交通省 (2026). 一次資料(2026年10月6日参照)

参考書籍

『図解即戦力 物流の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる本』(外部サイト、新しいタブで開きます)(鈴木邦成、技術評論社、2026年)は、出版社の紹介と目次で、輸送、保管、荷役、情報管理などの仕事を扱っている。本稿では公開書誌・紹介・目次に基づく関連読書として挙げる。本書全体や試し読みは未読で、特定の受取方法や納品条件の変更による改善効果を示す資料としては扱わない。

読んだ後に考えてみよう

  1. 比べる二つの数値は同じ対象と単位か。
  2. 変更によって誰の移動や作業が増減したか。
  3. 利用できない受け取り方を相談する経路はあるか。

この記事の用語

リードタイム
物流で、運送依頼や発注から積込み・納品までに確保される時間を指す。荷主の判断基準は、運送事業者が貨物の積合せや共同配送などを準備できる時間の確保を求める。
情報の非対称
取引をする二者のあいだで、持っている情報の量や質に差がある状態。売る側が毎日その取引をしていて、買う側が一生に数回しか経験しない場合に大きくなる。差が大きいほど、情報を多く持つ側が価格や条件を有利に決められる。詐欺や過大な見積もりは、この差を利用して成立する。

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