一般社団法人社会構想デザイン機構
公共資産再生 — スモールコンセッション

スモールコンセッションとPark-PFIの違い — どちらを選ぶべきか【2026年版】

ISVD編集部
約8分で読めます

自治体・民間事業者向け:スモールコンセッションとPark-PFIの違いを比較表で解説。対象施設・法的根拠・事業規模・期間・施設類型別推奨・併用可能性・選定フローチャートまで2026年版。

XFacebookThreads

ざっくり言うと

  1. スモールコンセッションは事業費10億円未満の小規模PPP/PFI全般、Park-PFIは都市公園法に基づく公園専用制度。対象施設が根本的に異なる
  2. Park-PFIは都市公園限定だが20年の設置許可と建ぺい率特例がある。スモールコンセッションは公園以外の施設(廃校・古民家等)が対象
  3. 両制度は排他的ではなく、公園内の廃校や公園隣接施設では組み合わせが可能なケースもある

制度比較表

対象施設・根拠法・事業規模・期間・特例・所管省庁の6軸で両制度を一覧比較

はいずれも「公共空間・公的施設を民間の力で活用する仕組み」として語られることが多い。しかし、この2つは 対象施設・法的根拠・制度の目的 が根本的に異なる。混同したまま検討を進めると、そもそも適用できない制度を選んでしまうリスクがある。

まず全体像を比較表で整理する。

比較項目スモールコンセッションPark-PFI
対象施設廃校・古民家・遊休公共施設等都市公園のみ
法的根拠なし(概念)。PFI法・都市公園法・地方自治法等から選択都市公園法第5条の2〜第5条の9
事業規模10億円未満(目安)制限なし(小規模〜大規模)
事業期間案件による(手法選択による)最長20年(Park-PFI認定時)
設置許可特例なし設置許可延長(20年)・建ぺい率最大12%
整備義務なし特定公園施設の整備が必須(20年許可条件)
所管省庁国土交通省(不動産・建設経済局)国土交通省(都市局)
民間施設の設置手法による民間が施設を建設・所有
公募義務手法による(コンセッション等は必要)必須(法定公募手続き)

最大の違いは「対象施設」

この2つの制度を分ける最も重要な軸は 「対象施設が都市公園かどうか」 という一点だ。

Park-PFIは 都市公園法 に根拠を持つため、都市公園(街区公園・近隣公園・地区公園・総合公園・運動公園・特殊公園・国営公園)にのみ適用できる。廃校・古民家・公共施設への適用は不可能だ。

スモールコンセッションは、 特定の法律を根拠とする独立した制度ではない 。国土交通省が2024年に提唱した「事業費10億円未満の小規模PPP/PFI事業」という 概念的なカテゴリー であり、PFI法・都市公園法・地方自治法・賃貸借契約など様々な手法を組み合わせて実現される。つまり、スモールコンセッションは廃校・古民家・公共施設を対象とする事業を包括する上位概念であり、都市公園での事業(Park-PFI)もその一部として位置付けることも可能だ。

スモールコンセッションとは「地方公共団体が所有・取得する空き家等の身近な遊休不動産について、民間の創意工夫を最大限に生かした小規模なPPP/PFI事業」と定義されている


施設類型別の推奨

都市公園・廃校・古民家・公共施設(温浴等)・観光施設の類型別推奨

施設の種類に応じて、どちらの制度(または手法)が推奨されるかを整理する。

都市公園(カフェ・飲食・グランピング等の収益施設を新設) → Park-PFI

都市公園法に基づく制度であるPark-PFIが唯一の選択肢だ。特に以下の場合にPark-PFIの優位性が際立つ。

  • 収益施設の設置に20年の長期許可が必要な場合
  • 建ぺい率特例(最大12%)を活用したい場合
  • 公園インフラ(園路・ベンチ・トイレ等)の民間整備を実現したい場合

令和7年3月31日時点で全国165公園で活用済み、136公園が検討中という実績が、制度の安定性を示している。

廃校(校舎・グラウンドの活用) → スモールコンセッション(賃貸借・コンセッション)

廃校は都市公園でないため、Park-PFIは適用できない。スモールコンセッションの枠組みで、PFI法に基づくコンセッション方式、賃貸借方式、または指定管理者制度を案件の規模・性格に応じて選択する。

廃校の場合の手法選択の目安:

  • 事業費1〜10億円・長期民間経営:コンセッション方式
  • 事業費1億円未満・民間への賃貸:賃貸借方式
  • 民間のノウハウで管理改善:指定管理者制度

古民家・空き家(地域資源型の活用) → スモールコンセッション(賃貸借・寄付受け活用)

住民から寄付を受けた古民家や自治体が取得した空き家は、賃貸借方式によるスモールコンセッションが最も柔軟な対応が可能だ。事業規模が小さく、PFI法に基づく手続きが煩雑すぎる場合は、定期借地権付き賃貸借契約での民間活用が現実的な選択肢となる。

温浴施設・スポーツ施設等の公共施設 → スモールコンセッション(コンセッション方式)

老朽化した市営温浴施設・スポーツセンター等は、PFI法に基づくコンセッション方式で民間に運営権を付与するスモールコンセッションが適している。二戸市カダルテラス金田一は、老朽化市営温浴施設の建替とPark-PFIを組み合わせた複合スキームの成功事例として参考になる。

観光施設・宿泊施設 → 案件規模による選択

観光施設・宿泊施設のうち、都市公園内に設置するものはPark-PFI、公園外は事業費10億円未満であればスモールコンセッションの対象となる。グランピング施設は公園内設置の場合Park-PFI(むつ市事例)、公園外設置の場合はスモールコンセッションの枠組みで対応する。

施設類型推奨制度/手法根拠
都市公園(収益施設新設)Park-PFI都市公園法第5条の2
廃校(校舎・グラウンド)スモールコンセッションPFI法・賃貸借・指定管理から選択
古民家・空き家スモールコンセッション(賃貸借)定期借地権付き賃貸借等
公共温浴・スポーツ施設スモールコンセッション(コンセッション)PFI法
公園内の廃校(区域内)Park-PFI+スモールコンセッション(検討)都市公園法+PFI法の組み合わせ

組み合わせは可能か

公園内廃校・公園隣接施設での両制度の組み合わせ可能性と条件

公園内廃校での組み合わせ可能性

都市公園の区域内に廃校施設が存在する場合、理論上はPark-PFIの収益施設として廃校建物を活用しつつ、スモールコンセッションの補助メニュー(専門家派遣・案件形成支援)を並行して活用することが可能だ。

ただし、廃校建物が都市公園の「公園施設」として都市公園法上に位置づけられているか(届出・許可の状況)によって、法的な整理が複雑になるため、公園管理者と学校管理者(教育委員会等)の間で事前に法律関係を確認することが必要だ。

公園隣接施設との一体活用

都市公園の隣接地に廃校・公共施設がある場合、Park-PFIと賃貸借方式のスモールコンセッションを隣接して展開することで、 エリア全体の価値向上 を図ることができる。この場合、各事業は法的には独立した手続きとなるが、同一のコンソーシアムが両方の事業を担うことで、運営の一体性・効率性を確保できる。

スモールコンセッション支援メニューの活用

スモールコンセッション推進事業(国交省)の専門家派遣・案件形成支援は、Park-PFI案件であっても事業費10億円未満の小規模案件であれば活用できる可能性がある。自治体担当者は、案件検討段階でスモールコンセッションプラットフォームへの問い合わせを行うことを推奨する。


選定フローチャート

あなたの施設はどちらの制度を選ぶべきかのステップ別判断フロー

以下のフローチャートに従って、あなたの施設・案件に適した制度を選定する。

STEP 1: 対象施設は「都市公園」か?
    YES → STEP 2へ
    NO  → スモールコンセッション(廃校・古民家・公共施設等)
            └ STEP A: 事業費は10億円未満か?
                YES → スモールコンセッション
                        └ STEP B: 施設を民間に長期運営させたい?
                            YES → コンセッション方式(PFI法)
                            NO  → 賃貸借方式 または 指定管理者制度
                NO  → 通常のPPP/PFI(PFI法・指定管理等)

STEP 2: 収益施設(カフェ・飲食等)を「新規設置」したいか?
    YES → STEP 3へ
    NO  → 指定管理者制度(既存施設の管理委託)
            または通常の設置許可(法第5条)

STEP 3: 設置許可を「20年」確保したいか?
    YES → STEP 4へ(Park-PFI要件確認)
    NO  → 通常の設置許可(法第5条・最長10年)

STEP 4: 特定公園施設の整備(ベンチ・園路等)を事業に含められるか?
    YES → Park-PFI認定取得 → 最長20年の設置許可
    NO  → 通常の設置許可(法第5条・最長10年)
           ※ 20年特例は取得不可

このフローチャートの最初の分岐点は「対象施設が都市公園かどうか」という一点だ。ここが明確になれば、制度選択の方向性は自然に絞られる。

判断に迷う典型ケース

ケース①:市営公園内に老朽化した管理棟がある → 管理棟を収益施設(カフェ等)にリノベーションする場合:Park-PFI(都市公園内の施設設置のため)

ケース②:廃校の校庭が公園として開放されている → 校庭(都市公園の区域外):スモールコンセッション。都市公園区域内に編入されている場合:公園管理者に確認

ケース③:公園に隣接する旧公民館を民間に貸したい → 旧公民館が都市公園区域外:スモールコンセッション(賃貸借方式)。公園区域内に含まれる場合:Park-PFIまたは法第5条による設置許可


まとめ:2つの制度を正しく使い分ける

スモールコンセッションとPark-PFIは、 対象施設が重なる部分は限定的 であり、多くのケースでは施設の種類によって制度は自動的に決まる。

混乱を防ぐための基本的な認識として:

  • 都市公園 → Park-PFI一択(収益施設の新設・整備が目的の場合)
  • 廃校・古民家・公共施設 → スモールコンセッション(PFI法・賃貸借等から最適手法を選択)

制度比較の詳細についてはPark-PFIと指定管理者制度の違いも参照されたい。スモールコンセッション全体の仕組みはスモールコンセッションとは?、Park-PFIの仕組みはPark-PFI(公募設置管理制度)とは?に詳述している。

都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン(令和7年5月30日改正版) (2025)

スモールコンセッション推進方策について (2024)

PPP/PFI推進アクションプラン(令和6年改定版) (2024)

関連するご相談・サポート

戦略設計支援

条件付き無償

ソーシャルプロジェクトの上流戦略設計を支援します。ビジョン・ミッションの整理からロジックモデル構築まで伴走します。

読んだ後に考えてみよう

  1. あなたが対象としている施設は都市公園か、それ以外の公共施設か?この一点でまず制度が絞られる
  2. 事業費の規模はどの程度を想定しているか?10億円未満ならスモールコンセッション、公園収益施設ならPark-PFIという基本的な分岐を確認したか?
  3. 対象施設が公園隣接地にある場合、都市公園の区域内に含まれているかどうかを公園管理者に確認したか?

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
スモールコンセッション
地方公共団体が所有する空き家・廃校等の遊休不動産について、民間の創意工夫を活かした小規模(事業費10億円未満程度)なPPP/PFI事業を行う取組み。2024年に国交省がプラットフォームを設立。
XFacebookThreads

関連コンテンツ

あなたの自治体に合った官民連携を、一緒に設計しませんか?

事例の構造分析は読んだ。でも、自分の街で同じことができるかは別の話。前提条件の整理、手法の選定、事業設計——ISVDが無料で伴走します。