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一般社団法人 社会構想デザイン機構

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マンションの建替え決議が成立したら、賃借人はすぐ退去するのか

2025年改正・2026年施行の決議要件、賃貸借終了の期間と補償について

更新: ヨコタナオヤ(横田直也)約10分で読めます

2025年改正・2026年施行の区分所有法等を、決議の対象と人数の数え方、建替えの条件、個別規約、賃借人の期間と補償から読む。図2点と一次資料で、管理の判断と住まいの継続を考える。

ざっくり言うと

  1. 改正・施行と招集手続きの時点を分ける
  2. 人数と議決権、定足数と賛成割合を区別する
  3. 所在不明者の裁判手続きと賃借人の生活を分けて読む

見出し画像はAIで生成した架空のマンションの共用部・会議準備の場で、実在する物件や建替え事例の写真ではない。

何が起きているのか

決議の条件と住まいを維持する条件を分ける

本稿は法制度に関する一般情報であり、個別案件への法的アドバイスではない。建物や規約、請求の具体的な判断は、弁護士等の専門家に相談する必要がある。

決議の成立と、実施・居住の条件を分ける。

マンションで必要な修繕を決めることと、その費用を負担し、住まいを維持することには、別の条件がある。決議が成立するよう制度を変えても、工事の費用や移転先の確保まで同時に解決するわけではない。所有して住む人、借りて住む人、離れた場所に住む所有者では、判断に必要な情報も異なる。

国土交通省のによると、マンションの管理・再生に関する改正法は2025年5月に公布され、一部を除き2026年4月から施行された。区分所有法だけでなく、管理の適正化や再生の事業に関する法律も含む改正である。

本稿は、単棟のマンションを中心に、決議の対象と人数の数え方、建替えの条件、賃借人の居住への影響を読む。分数だけを覚えるより、何を決め、誰を数える対象に含め、決めた後に誰の生活が変わるかを考える必要がある。修繕の発注に関する情報の差は既存のコラム(このサイトの記事)で扱っており、ここでは意思決定と居住の条件に焦点を当てる。

背景と文脈

戸数推計、人数の数え方、定足数、建替えの特例を読む

古い建物の戸数と、管理の状態を分ける

全国の戸数推計は、個々の建物の診断ではない。

国土交通省のでは、2025年末の分譲マンションのストックを約7,236,000戸と推計している。ここでいうマンションは、中高層の分譲共同住宅について定義したもので、全ての賃貸住宅を含む住宅総数ではない。

では、同じ時点で築40年以上が約1,588,000戸あるとする。戸数と建物の棟数は異なり、築年数だけで管理不全や建替えの必要性が判定されるわけでもない。

全国の推計は制度を考える背景になるが、個々の建物については、調査した状態、修繕の履歴、今後の計画、費用を確認する必要がある。全国で古い建物が増えるという話と、ある物件で特定の工事が必要だという説明の間には、この確認がある。将来の築年数別の推計を、現在の管理不全戸数として読むことも避けたい。

出席者の基準は、全ての決議に同じ形で適用しない

国土交通省のは、規約の変更や重大な共用部分の変更について、組合員数と議決権の双方で総数の過半数の出席を求め、その上で、出席した組合員とその議決権の各4分の3以上で決すると説明している。一定の共用部分の変更には別の要件があり、日常的な管理や建替えとも同じではない。

人数と議決権、定足数と賛成割合は、それぞれ分けて確認する必要がある。「来た人の多数で何でも決められる」という説明では、対象や条件が落ちる。さらに、書面や代理人によって議決権を行使した人を出席の数に含める扱いもあるため、当日会場に座っている人数だけを数える対象にすればよいわけではない。

標準管理規約は、各マンションの規約を作成・見直すためのひな型である。条文を参考にすることと、自分のマンションで現在有効な規約や手続きを確かめることは別になる。単棟の説明を、団地型や複合用途の建物、被災した建物にそのまま当てはめることもできない。

建替えの特例には、客観的な条件がある

標準管理規約が示す建替え決議は、組合員総数と議決権総数の各5分の4以上を原則とする。建物が区分所有法に定める事由に当てはまる場合に各4分の3以上となるため、全ての建替えで一律に割合が下がったという説明は正確ではない。

では、耐震性や火災への安全性、外壁等の落下による危険、一定の配管設備の劣化、移動の円滑化に関する基準などを挙げている。配管の劣化にも、工事が著しく困難であるなどの条件があり、単に年数が経過したというだけで特例を適用する仕組みではない。

決議の要件を確認する際には、対象となる建物の状態を誰がどの資料から判断するのかという仕事もある。特例に当てはまるかという判断と、建替えが費用・居住・地域の条件に合うかという検討を分けたい。割合が変わったことだけでは、建替え以外の選択肢との比較は終わらない。

決議で確認する

対象と手続き

対象
管理・共用変更・建替えを区別
数える対象
人数と議決権、総数と出席を確認
条件
定足数・客観的事由・適用時点

実施で確認する

費用と住まい

比較
修繕や改修との費用・効果の比較
負担
誰が何をいつ負担するか
居住
移転、補償、暮らしへの影響
決議の要件と、実施・居住の条件を本稿の観点から整理。全ての決議を網羅した表ではない

構造を読む

参加、規約、賃借人の手続きと居住の違いを考える

不参加と、所在が分からないことを混同しない

成立法は、所有者を知ることができない、または所在を知ることができない場合に、裁判所の判断を経て、それ以外の所有者で決議する仕組みを設けている。標準管理規約でも、裁判所への請求、裁判の確定と、その後の議決権や数える対象の扱いを説明する。

会議に来ない人、ある提案に反対する人、連絡先が分からない人では、確認すべきことが異なる。管理組合が「関心がない」と評価した人を、任意に除外できるという意味にはならない。意思表示をしなかった理由には、資料が届かないことや、説明を理解するための支援が必要なこともあり得るが、本稿がその頻度を測ったわけではない。

手続きが進むことに加え、誰にどの説明を届け、どう判断する機会を確保するかが課題になる。制度を使う前に状態を区別しなければ、不参加と権利の確認ができない状況を同じ問題として扱うことになる。通知や記録を、形式の確認だけで終わらせないための議論が必要である。

法律とひな型、個別の規約を区別する

国土交通省のは、総会の手続きや決議要件などを含むひな型の改正に合わせ、各マンションでも規約を見直す必要があると説明した。国がひな型を公表したこと自体で、個々の規約の全条文が書き換わるわけではない。

一方、成立法の附則は、新法に抵触する旧規約の事項が施行日から効力を失うと定めている。「規約をまだ変更していないから、常に旧法の方法でよい」とも言えない。個別規約の見直しと、法律による効力の変更を区別する必要がある。

では、規約改正の総会の招集手続きを2026年3月末までに行うか、4月以降に行うかで、手続きが異なると説明する。は、特定の規定を人や行為に適用し始める日を指す。法律が効力を持ち始める日と、経過措置を含む個々の手続きの扱いを併せて確認したい。

借りて住む人の生活にも、手続きが及ぶ

標準管理規約は、所有者の承諾を得て住戸を占有する人が、会議の目的について利害関係を持つ場合、あらかじめ通知して総会に出席し、意見を述べる仕組みを示している。所有者として議決権を行使することと、自分の居住に関係する議案について意見を述べることは異なる。

成立法が設けた建替えに伴う賃貸借の終了請求では、請求できる人を定めた上で、請求から6か月を経過すると賃貸借が終了する。また、通常生じる損失の補償と、補償金が提供されるまで明渡しを拒めることを定めている。終了までの期間と補償、明渡しの条件を一組で読む必要がある。

建替え決議だけで、全ての賃借人が即日退去するという説明は成り立たない。補償が定められていることと、希望する地域に代わりの住まいを見つけられることも同じではない。補償対象を将来の生活費の全額に広げたり、金銭があれば生活上の問題が全て消えるとしたりする根拠にもできない。

所有する人の判断

建物と負担を考える

選択
維持・改修・再生の比較
決議
権利、議決権、手続きを確認
費用
資金と負担の時期を検討

借りて住む人の生活

居住の変化を考える

情報
計画を知り意見を述べる機会
手続き
終了請求・期間・補償を確認
移転
次の住まいと生活の継続
所有の判断と借りて住む人の居住を区別し、調整する情報を考える

決まった後の負担を、決める前に話せるか

制度の要件を満たしたという説明だけでは、費用の負担が難しい人の事情や、借りて住む人の移転の希望まで分からない。誰が相談を受け、何を判断の前に共有するかを検討する必要がある。これは調整のための提案であり、全てのマンションで相談機会が不足していると示す調査結果ではない。

修繕や改修、建替えなどを比べる場合も、初期費用だけでなく、住まいを使えない期間や、後に必要となる仕事を考えたい。条件を変えた場合に何が変わるかを示せれば、賛否だけでは表れない希望を話し合える。物件ごとの費用や採算について、全国の築年数の推計から結論を出すことはできない。

判断に使った資料の基準時点を残すことも、実施までの調整に役立つ。見積りの条件や工事の範囲が変わったとき、当初の決議が何を前提にしていたか分からなければ、変更を検討する理由を共有しにくい。決議書と説明資料、費用の比較をつなげ、何が決まり、何を後で確かめるかを区別して記録する方法が考えられる。

相談の際にも、金銭の負担、工事期間中の不便、住み替え先の希望を同じ質問でまとめない方が、必要な対応を考えやすい。本人が話した内容をどこまで共有してよいかを確認し、公開する計画と個別の生活情報を分ける必要もある。これらは管理組合に新たな法定義務があると断定する説明ではなく、生活を含めた調整を検討するための提案である。

図面の説明と、住み替えの見通し

同じ計画を知っても、移転を考えられる条件は違う。

架空のマンションで、建替えの説明資料を受け取った住民が、次の住まいを相談する場面を考える。図面には工事の範囲が示されていても、その人が通う医療機関や、仕事へ移動できる経路までは載っていない。家族と一緒に転居したい人と、離れた場所に頼れる人がいる人でも、探せる住まいは変わる。これは実際の相談件数や移転先を調査した結果ではなく、計画の説明で確かめる条件を考える例である。

同じ金額を示した見積りでも、住民が何を含むと理解したかを確かめたい。工事の負担についての説明と、次の住まいを確保する際の支出が混ざれば、比較したつもりの選択肢が違っていた可能性が残る。法律上の補償の範囲を広げる説明とは区別し、計画を比較する資料に何を含めたかを明らかにすることが考えられる。

生活の希望を聞いたことだけで、希望が実現するとは言えない。計画に反映できる点、個別に調べる点、まだ判断できない点を分けて返すなら、相談した人は次に何を確かめる必要があるかを知りやすくなる。意見を伝えられる機会と、所有者として決議に参加する権限は同じではない。その違いを説明しながら、暮らしに影響する未確定の条件も検討に残せるかが課題になる。

関連ガイド

残る問い

判断への参加と生活の継続を支える条件を問う

マンションで必要なことを決められるようにする制度は、誰が判断に参加できる条件と一緒に整えられるのか。会議への不参加と、所在が分からないこと、説明を理解する支援が必要なことを分けて扱えているか。賛否を数える前に、資料や選択肢を知る機会が届いていたかも確かめたい。決議が成立したという結果からは、届かなかった説明や、表明されなかった事情まで分からない。

所有する人と借りて住む人の間で、計画を知る時期に差があれば、移転や費用の検討に使える時間も異なる。法定の期間や補償を確認した上で、通院、仕事、子育てなどの生活を次の住まいにつなぐ相談を、いつ誰と行えるのか。居住の事情を伝えることと、所有者の議決権を行使することを区別しながら、計画の比較や説明に反映する方法は考えられるだろうか。

建物を維持・再生する判断を、成立した決議の数だけで評価してよいのか。安全性や必要な性能、費用の継続的な負担、居住の変化を、どの範囲で確認するかを決める必要がある。全国の古い建物の推計と、個々の物件の状態を分けた上で、決定から実施までに判明した課題を記録し、次の判断に使うには何が必要か。工事の範囲や費用が変わったときには、以前の説明の前提が今も成り立つかを確かめたい。賛否の結果を残すだけでなく、比較した条件と、その後に未確定となった点を読み返せるだろうか。建物の管理と住まいの継続を、ともに考えるための問いが残る。

この記事で使った統計の出典

  1. 1国土交通省『分譲マンションストック数の推移』(2025年末) 出典を開く
  2. 2国土交通省『築40年以上のマンションストック数の推移』(2025年末) 出典を開く

参考文献

マンション関係法令 — 国土交通省 (2026). 一次資料・該当規定または推計の範囲

「マンション標準管理規約」を改正します(10月17日) — 国土交通省 (2025). 一次資料・該当規定または推計の範囲

マンション標準管理規約・改正手続きの案内 — 国土交通省 (2025). 一次資料・該当規定または推計の範囲

分譲マンションストック数の推移(2025年末) — 国土交通省 (2025). 一次資料・該当規定または推計の範囲

築40年以上のマンションストック数の推移(2025年末) — 国土交通省 (2025). 一次資料・該当規定または推計の範囲

老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(法律第47号) — 衆議院 (2025). 一次資料・該当規定または推計の範囲

令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)・コメント — 国土交通省 (2025). 一次資料・該当規定または推計の範囲

参考書籍

『老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書 2397)』(外部サイト、新しいタブで開きます)(野澤千絵、講談社、2016年)は、住宅の供給と既存の住まいを維持する問題を考える関連読書として挙げる。書誌と出版社の紹介に基づく選定であり、書籍本体は未読である。本稿の2025年改正・2026年施行の法制度の根拠は上記の公的資料であり、2016年刊行の本から現行の決議要件を確認したものではない。

読んだ後に考えてみよう

  1. 決議の種類と数える対象、人数と議決権を分けて確認したか。
  2. 計画を知る時期が違う人の生活をどう考えるか。
  3. 決議後の課題をどの記録から評価できるか。

この記事の用語

適用日
特定の規定を対象となる人や行為へ適用し始める日。対象の範囲、経過措置、改正の有無を、その規定と併せて確認する。

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