ざっくり言うと
- 関東1都6県の廃校活用公募情報は、各都県・市区町村の教育委員会・財政担当課のウェブサイトおよび文部科学省「みんなの廃校プロジェクト」が主な情報源。一元的な公募情報データベースは現時点で存在しない
- 東京都内では区部・多摩地区ともに廃校活用の実績が多く、NPO・社福・民間事業者による活用事例が豊富。神奈川・埼玉・千葉でも都市近郊型の産業利用(IT・食品加工等)事例が増加
- 茨城・栃木・群馬の内陸3県は過疎・農山村地域が多く、農業体験・観光・福祉系の活用が中心。補助金や無償貸付を組み合わせた活用が現実的なスキームとなる
公募情報の調べ方
文科省DB・都県HP・市区町村窓口の3ルート。更新頻度・情報の鮮度を踏まえた使い分け
廃校活用の公募情報は、一元的な全国データベース が存在しないため、複数の情報源を組み合わせて収集する必要がある。主な情報収集ルートは以下の3つだ。
ルート1: 文部科学省「みんなの廃校プロジェクト」
文科省「みんなの廃校プロジェクト」は、全国の廃校活用情報を集約する最も包括的なデータベースだ。自治体が登録した廃校施設情報(所在地・規模・構造・現状・希望活用方針等)を検索できる。
ただし登録情報の更新タイミングは自治体任せのため、最新の公募状況と一致しない場合がある。特定の施設に興味を持った場合は、直接当該市区町村に確認することが必要だ。
関東地方(1都6県)の登録施設数は2026年3月時点で数十〜百数十件規模が掲載されているが、実際の公募件数はこれより少ない(登録後も活用先が決まっていない、または再度公募中の物件が混在している)。
ルート2: 各都県・市区町村のウェブサイト
各都県の教育委員会・財政課・資産管理担当課のウェブサイトに公募情報が掲載されることが多い。特に大都市圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)では、独自の廃校活用ページを持つ自治体も増えている。
主な確認先:
- 都県の教育委員会(学校施設担当)
- 市区町村の財務部(資産管理・普通財産担当)
- 市区町村の教育委員会(施設整備担当)
ルート3: 直接問い合わせ
ウェブサイトには未掲載の廃校情報(非公表段階・事前相談段階)を把握するには、担当部署への直接問い合わせ が有効だ。教育委員会または財政担当課に「廃校施設の活用計画はあるか」「現在または今後の公募予定はあるか」を確認する。
東京都内の廃校活用
23区・多摩地区の傾向と主な活用事例。都教委・各区担当課の情報窓口
東京都内(23区・多摩地区)は全国でも廃校活用の先進地域のひとつだ。少子化による学校統廃合が早い時期から進んだため、NPO・社福・民間企業による活用事例が豊富に蓄積されている。
23区の傾向
特別区(23区) では、区立小中学校の廃校が保育所・高齢者施設・複合コミュニティ施設等に活用されるケースが多い。区教育委員会が公募を実施し、NPO・社福・民間事業者が応募する形式が一般的だ。
また、渋谷区・世田谷区・新宿区等の中心部では、廃校をIT企業・スタートアップのオフィス・インキュベーション施設として活用する事例も増えている。都心の不動産価格高騰を背景に、廃校のユニークな空間を活かした創造産業系の活用が注目される。
公募情報は各区の教育委員会または財務部のウェブサイトに掲載されることが多い。東京都教育委員会(都教委)の学校施設担当ページも参照されたい。
多摩地区の傾向
多摩地区(三鷹市・八王子市・調布市等)では、自然環境を活かした体験型施設・農業体験施設・アウトドア施設への転用事例がある。23区に比べると用地が広く、グラウンドや周辺自然環境を活かした活用が可能だ。
神奈川・埼玉・千葉
都市近郊型の産業利用・福祉系の動向。各県の支援制度
神奈川県
横浜市・川崎市等の都市部では、廃校を福祉施設・保育所・地域コミュニティセンターとして活用するケースが多い。また、相模原市・横須賀市等では産業系(IT・製造業)の活用事例も見られる。
神奈川県内の廃校情報は、市町村の教育委員会・財政担当課のほか、神奈川県教育委員会の廃校施設活用担当ページ(各市町村教委に照会)も確認するとよい。
埼玉県
さいたま市・川口市等の首都圏近郊では、廃校を子育て支援施設・IT企業サテライトオフィス等として活用する動きがある。秩父地域・北部地域では農業体験・観光系の活用も進んでいる。
埼玉県は独自の廃校活用支援施策を持っており、県内市町村向けの相談窓口を設けている。
千葉県
千葉市等の都市部は福祉・保育系が主流。一方、房総半島南部(南房総市・館山市等)は観光・農泊系の廃校活用が進んでいる。インバウンド観光の拡大を背景に、海外からの農泊・体験型観光ニーズに対応した廃校ゲストハウスの事例もある。
茨城・栃木・群馬
農山村型活用の実態と支援制度。補助金活用のポイント
内陸3県(茨城・栃木・群馬)は、農山村・過疎地域が多く、廃校活用の課題と支援制度が首都圏と異なる。
茨城県
筑波山・霞ヶ浦周辺・北部山間地域など、農業・自然体験観光の資源が豊富な地域が多い。廃校を農業体験施設・農泊施設・食品加工場として活用する事例が増えている。茨城県は移住・定住促進施策の一環として廃校活用を推進しており、県独自の補助金制度を持つ自治体もある。
栃木県
日光市・那須地区等の観光地では、廃校を宿泊・体験施設として活用する事例がある。宇都宮市等の都市部では福祉・保育系の活用が進んでいる。
群馬県
片品村・みなかみ町等のスキー・アウトドアの拠点地域では、廃校をアウトドア体験施設・ゲストハウスとして活用する事例がある。桐生市・太田市等の工業地帯では産業系(製造業・食品加工等)の活用も見られる。
応募準備のポイント
公募書類の構成・提案書作成の基本・審査のポイント
廃校活用公募に応募する際の基本的な準備ポイントを整理する。
提案書の構成: 一般的な廃校活用プロポーザルの提案書は、①事業者の概要・実績・体制②活用計画(業種・サービス内容・利用者対象)③施設改修計画(改修内容・費用・工期)④収支計画(5〜10年間)⑤地域連携・雇用計画⑥環境・安全対応計画の構成が求められることが多い。
審査のポイント: 廃校活用公募では「地域ニーズへの対応・地域雇用創出・持続可能性(財務の健全性)・改修計画の現実性」が主な審査項目だ。
→ 廃校活用の提案書作成の詳細については 廃校活用プロポーザルの書き方 を参照。
→ 活用できる補助金の詳細は 廃校活用の補助金・支援制度 で解説している。
参考文献
みんなの廃校プロジェクト 活用事例集 (2024)
廃校施設活用状況実態調査(令和7年3月) (2025)
廃校施設活用事例集(令和5年3月版) (2023)