ざっくり言うと
- サウンディングは3種類(トライアル・プレ・マーケット)。段階的に実施するのが成功パターン
- 質問項目テンプレート8項目を提供。施設の条件に合わせてカスタマイズして使える
- 結果の公表が次の参入者を呼び込む。非公表は機会損失
サウンディングとは何か
公募前に民間と対話し、参入意欲��アイデアを把握する調査手法
サウンディング型市場調査とは、公有資産の活用にあたり、公募前に民間事業者の意見・アイデアを聞く対話型の市場調査である。「公募すれば事業者は集まるだろう」という前提は、特に地方の小規模施設では��険である。サウンディングは「そもそも民間が参入したいか」を事前に確認する安全装置として機能する。
スモールコンセッションの進��方5ステップのフェーズ3に位置づけられ、事業化の成否を左右する最も重要なプロセスである。
3種類のサウンディング
トライアル(社会実験型)・プレ(意向把握型)・マーケット(本格型)の特徴と使い分け
サウンディングには3つの種類がある。これらを段階的に実施するのが成功パターンである。
| 種類 | 目的 | 形式 | 時期 |
|---|---|---|---|
| トライアル・サウンディング | 施設の活用可能性を実地検証 | 社会実験(実際に出店等) | 構想段階 |
| プレ・サウンディング | 民間の意向を広く把握 | アンケート・簡易ヒアリング | 導入可能���調査段階 |
| マーケット・サウンディング | 事業スキームの詳細を詰める | 個別対話(1社30〜60分) | 公募指針策定直前 |
トライアル・サウンディング
施設を一定期間(1週間〜1ヶ月)民間に��放し、試験���に活用してもらう方式。飲食の出店、イベントの開催などが典型的である。
Park-PFI成功事例5選で紹介した開成山公園の事例では、2020年10月に1ヶ月間のトライアルサウンディングを実施。参加者に��公��時に5点の加点を付与し、早期関与のインセンティブとした。
メリット: 民間事業者が実際に施設を使うことで、机上では見えない課題(動線・設備・需要)が顕在化する。 デメリット: 実施に手間とコストがかかる。施設の利用許可手続きが必要。
プレ・サウンディング
導入可能性調査の段階で、広く民間の意向を把握する方式。メールやWebフォームでの問い合わせ形式が���い。
メリット: 低コスト・短期間で実施可能。多数の事業者から意見を収集できる。 デメリット: 対話の深さは限定的。「関心はあるが詳細がわからない」レベルの回答が多い。
マーケット・サウンディ���グ
公募指針の策定直前に、個別の民間事業者と1対1で対話する方式。事業スキーム、費用負担、条件整備について具体的に意見交換する。
メリット: 事業者の参入条件や課題を具体的に把握できる。公募条件の設計に直接反映可能。 デメリット: 実施���1〜3ヶ月を要する。対���の内容を公表する際、事業者の競争力に影響する情報の取扱いに注意が必要。
質問項目テンプレート
施設への関心度から参入条件まで、8項目のテンプレートを提供
マーケット・サウンディングにおける質問項目テンプレートを以下に示す。施設の特性に合わせてカスタマイズして使用されたい。
テンプレート(8項目)
1. 施設への関心度
- 本施設の活用に関心はあるか(高い/ある程度/低い/なし)
- 関心がある場合、どのような活用を想定しているか
2. 希望する事業内容
- 具体的な事業内容・業態
- 想定する���用者層(ターゲット)
- 年間の集客・利用者数の見込み
3. 施設の改修・整備
- 必要な改修の内容��概算費用
- 自社負担可能な改修費の上限
- 行政側に求める整備事項
4. 事業条件
- 希望する事業期間(年数)
- 許容可能な賃料・使用料の水準
- 収益還元(売上の一部を行政に還元)の可否
5. 事業スキーム
- 希望する手法(PPP/PFI・賃貸借・指定管理等)
- 単独参入かコンソーシアムか
- コンソーシアムの場合、どのような構成を想定するか
6. 参入障壁
- 参入を検討する上での課題・懸念事項
- 行政側にどのような条件整備を求めるか
- 規制・許認可上のハードルはあるか
7. 地域貢献
- 地元雇用の計画
- 地域との連携方針(住民参加・地元調達等)
- 災害時等の公共的役割の担い方
8. スケジュール
- 参入が可能となる最短の時期
- 準備に必要な期間(設計・許認��・工事等)
実施の進め方
公告→受付→対話→結果整理→公表の5ステップ
サウンディングの実施は以下の5ステップで進める。
Step 1: 公告(2〜4週間前) 自治体HPに実施要領を掲載。対象施設の概要、サウンディングの目的、参加申込方法、対話日程を明記する。
Step 2: 参加受付(2〜3週間) 参加申込書の受付。事前に会社概要と簡易な活用提案を提出してもらうと、対話の効率が上がる。
Step 3: 個別対話(1社30〜60分) テンプレートの8項���に沿って対話。記録を取り、後日の結果整理に備える。守秘義務の取扱いを事前に説明する。
Step 4: 結果整理 全事業者の意見を項目別に集約。共通する要望・課題を抽出し、公募条件への反映可���を検討する。
Step 5: 結果の公表 概要(参加者数、主な意見の傾向)を自治体HPで公表。個社の特定につながる情報は伏せる。
結果の公表と活用
概要の公表が追加参入者を呼び込む効果を持つ
サウンディング結果の公表は、 次の参入者を呼び込む効果 がある。「他にも関心を持つ事業者がいた」という事実が、公募への参加意欲を後押しする。��果を非公表にすることは機会損失である。
公表すべき内容:
- 参加事業者数(社名は非公表)
- 活用提案の傾向(業態の分布)
- 参入にあたっての共通課題
- サウンディングを踏まえた公募条件の方向性
外部委託の相場と判断基準
150〜500万円。庁内リソースと案件規模で判断
サウンディングの設計・実施を外部のコンサルタントに委託する場合の費用は、一般的に150万〜500万円程度である。
| 項目 | 自前実施 | 外部委託 |
|---|---|---|
| 費用 | 人件費のみ | 150〜500万円 |
| 所要期間 | 3〜6ヶ月 | 2〜4ヶ月 |
| メリット | コスト抑制・庁内知見蓄積 | 専門性���第三者��しての信頼性 |
| デメリット | 担当者の負荷大 | コスト��外部依存 |
判断基準: 初めてサウンディングを実施する場合や、大手事業者の参入が想定される案件では外部委託が有効。過去に実施経験があり、担当者のノウハウが蓄積されていれば自前実施も可能である。
応募0者だった場合の対処法
条件緩和・手法変更・エリア拡大の3つのアプローチ
サウンディングを実施しても参加者が0の場合、以下の3つのアプローチで対処する。
1. 条件の緩和
賃料の引き下げ、事業期間の延長、行政負担の拡大など、参入障壁を下げる条件変更を検討する。「なぜ参加しなかったのか」を推定し(情報が届いていな���、条件が厳しすぎる、施設���状態が悪い等)、原因に対処する。
2. 手法の変更
スモールコンセッションの手法自体を見直す。コンセッション方式が重ければ賃貸借方式に、PFI法に基づく���続きが煩雑なら簡素な包括連携協定に変更するなど、手法のダウングレードを検討する。
3. エリアの拡大
施設単体ではなく周辺エリアを含めた面的な活用計画に拡大することで、事業者にとっての魅力を高める。Pool町の事例のように、複数施設をパッケージ化するアプローチもある。
サウンディングは「聞���だけ」の調査ではなく、官民の対話を通じて事業を共創するプロセスである。設計の質が公募の成否を左右する。
ISVDでは、サウンディングの設計(質問項目のカスタマイズ、対話の進行、結果の分析)を無料で���援している。
参考文献
スモールコンセッション推進方策 (2024)
開成山公園 Park-PFI事業 公募設置等指針 (2022)
スモールコンセッションプラットフォーム (2024)