一般社団法人社会構想デザイン機構

Park-PFI事業の全工程 — 構想から開業まで4年のロードマップ【2026年版】

ISVD編集部
約12分で読めます

Park-PFI事業のPhase 0(検討開始)からPhase 5(開業・事業運営)まで、全6フェーズの詳細タイムラインを解説。各フェーズの成果物・担当者・期間短縮のコツを整理し、郡山市開成山公園の4年間の実例と対比させて解説する。

XFacebookThreads

ざっくり言うと

  1. Park-PFI事業は構想から開業まで一般的に3〜5年を要する。郡山市開成山公園の事例では検討開始から開業まで正確に4年かかった
  2. 全工程はPhase 0〜5の6フェーズに分けられ、各フェーズに固有の成果物・手続き・所要期間がある
  3. 期間短縮のカギは、サウンディングの早期化・並行作業の設計・アドバイザリー業者の早期起用にある

全工程の概要

Phase 0〜5の6フェーズの概要と標準的な所要期間の全体像

事業の全工程は、構想(Phase 0)から開業・運営(Phase 5)までの6フェーズで構成される。標準的な所要期間は 3〜5年 であり、事業規模・行政手続きの複雑さ・サウンディングの回数等によって変動する。

郡山市開成山公園の事例では、事業支援業務委託の公募開始(2020年3月)から開業(2024年4月)まで約4年を要した。この4年間の実例を本記事のベンチマークとして、各フェーズを詳細に解説する。

全工程の鳥瞰図

フェーズ名称標準期間主な作業
Phase 0検討開始・庁内合意3〜6か月公園の現状把握・庁内検討・首長決定
Phase 1導入可能性調査6〜12か月アドバイザリー起用・サウンディング(第1段階)・事業スキーム設計
Phase 2公募準備6〜12か月サウンディング(第2段階)・指針・要求水準書・協定案の作成
Phase 3公募・選定4〜8か月公募・受付・審査・選定・認定
Phase 4整備工事12〜24か月設計・建築確認・工事・竣工検査
Phase 5開業・運営20年(認定期間)開業・日常管理・モニタリング・期間更新

Phase 0: 検討開始・庁内合意(3〜6か月)

主な作業

庁内での問題認識の共有: 公園の老朽化・維持管理費の増大・利用者減少等の課題を、データと現地写真を使って可視化する。財政課・企画課・法務担当との事前調整が必要である。

首長・議会への報告: Park-PFIは条例改正(使用料条例等)を伴う場合があるため、早期に首長レベルの意思決定を得ておくことが重要である。議会への事前説明も不可欠である。

公園整備の基本方針策定: 対象公園をPark-PFIで活用する方針を、緑の基本計画・総合計画等の上位計画との整合を確認しながら策定する。

この段階の成果物

  • 公園の現状分析資料(老朽化状況・来訪者数・維持管理費実績)
  • Park-PFI活用の内部方針・概念整理書
  • アドバイザリー業者の選定スペック(予算・業務範囲)

Phase 1: 導入可能性調査(6〜12か月)

アドバイザリー業者の選定

Park-PFIの導入検討には専門的なノウハウが必要なため、多くの自治体はこの段階で アドバイザリー業者(コンサルタント)を公募型プロポーザルで起用 する。

郡山市は2020年3月にアドバイザリー業者の公募を開始し、同年7月にオリエンタルコンサルタンツを選定。同社は2020年7月〜2022年3月の約2年間にわたってアドバイザリー業務を担当した

導入可能性調査の内容

アドバイザリー業者が中心となり、以下の4点を調査・設計する。

  1. 公園の立地・集客ポテンシャル分析: 近隣人口・交通アクセス・観光資源・競合状況の調査
  2. 事業スキームの設計: 収益施設の業態・規模・建ぺい率の適用・特定公園施設の整備範囲の設計
  3. 収支シミュレーション: 使用料水準・整備費負担・指定管理料の試算
  4. スケジュール設計: 第2段階以降の全工程のタイムライン案

第1段階サウンディング(事業発案時)

Phase 1でのサウンディングは「事業発案時」として位置づけられる。目的は市場性の確認と民間事業者のアイデア収集である。

提供資料の基本セット:

  • 公園の概要と課題の説明
  • 概念的な事業スキーム案(業態・面積・建ぺい率)
  • 試算ベースの使用料水準
  • 想定スケジュール

郡山市の工夫: トライアル・サウンディング(2020年10月、1か月間の試験的出店)を実施し、民間事業者が実際に公園で営業して収益性を検証する機会を設けた。この参加者には本選考で +5点のインセンティブが付与された。

この段階の成果物

  • 導入可能性調査報告書
  • トライアルサウンディング実施報告(実施した場合)
  • 第1段階サウンディング実施報告書
  • 基本スキーム案(事業概要・収支シミュレーション)

Phase 2: 公募準備(6〜12か月)

第2段階サウンディング(事業化検討時)

Phase 2では「事業化検討時」のサウンディングを実施する。Phase 1の基本スキームを踏まえ、公募条件案(使用料水準・特定公園施設の整備範囲・事業期間等)を開示して事業者の意見を収集する。

郡山市は2022年1月に第2段階(マーケットサウンディング)を実施。この参加者には本選考で +3点のインセンティブが付与された

公募設置等指針・要求水準書の作成

Phase 2の最大の成果物は 公募設置等指針 である。都市公園法第5条の2第2項の法定10項目を満たしながら、地域の課題・優先事項を反映した指針を作成する。

同時に作成すべき文書:

  • 要求水準書: 特定公園施設の仕様・整備水準の詳細
  • リスク分担表: 建設・運営・不可抗力の各フェーズでのリスク分担
  • 協定書案: 設置管理協定・指定管理協定の骨格
  • 選定委員会の設置準備: 学識経験者2名以上の確保

条例改正の準備(必要な場合)

使用料条例の改正が必要な場合、この段階で議会との調整を進める必要がある。条例改正には議会の可決が必要 であり、議会スケジュールとの整合を事前に確認しておくこと。

→ 公募設置等指針の具体的な書き方は 公募設置等指針の書き方 を参照のこと。

この段階の成果物

  • 第2段階サウンディング実施報告書
  • 公募設置等指針(完成版)
  • 要求水準書
  • リスク分担表
  • 協定書案
  • 条例改正案(必要な場合)

Phase 3: 公募・選定(4〜8か月)

公募の開始

公募設置等指針を公示した時点で公募が開始される。都市公園法施行規則第3条の4により、公示日から提出期限まで 1か月以上 の期間を設けることが義務づけられている。

郡山市のスケジュール:

  • 2022年4月: 公募開始(指針・要求水準書・指定管理仕様書を公表)
  • 2022年7月: 参加意思表明期限
  • 2022年8月: 申請書提出期限
  • 2022年10月: 第2次審査(プレゼンテーション)
  • 2022年11月: 設置等予定者の選定

審査・選定のプロセス

第1次審査(書類審査): 指針との適合性・財務健全性・技術力を客観的に確認。通過・不通過の二択判定。

第2次審査(プレゼンテーション・質疑): 第1次通過者がプレゼンテーションを行い、選定委員会が定量採点。郡山市の場合は500点満点の配点表で採点された。

→ 評価基準の詳細は Park-PFI評価基準の設計法 を参照のこと。

認定手続き

選定後、以下の手続きを経て事業が正式に始動する。

  1. 公募設置等計画の提出: 設置等予定者が認定申請書類を提出
  2. 認定: 公園管理者が計画を認定(都市公園法第5条の4第1項)
  3. 基本協定の締結: 事業の基本的条件を定めた協定の締結
  4. 建築基準法第48条許可: 公園内施設の建築確認(用途地域外の特別許可)
  5. 指定管理者議決: 議会での指定管理者指定の議決(指定管理一体型の場合)
  6. 各種協定の締結: 設置管理協定・指定管理協定の本締結

この段階の成果物

  • 選定通知書・選定審議会議事録
  • 公募設置等計画認定書
  • 基本協定書・設置管理協定書・指定管理協定書

Phase 4: 整備工事(12〜24か月)

整備工事の全体像

Phase 4は、選定された民間事業者が実際に施設を整備する段階である。整備は2種類の工事が並行して進む。

工事の種類発注者費用負担工事期間の目安
特定公園施設の整備民間(仕様は市が設定)市90%以下+民間10%以上12〜18か月
収益施設(公募対象公園施設)の整備民間全額民間6〜18か月

工程調整の重要性

特定公園施設と収益施設の工事が重複する場合、 工程調整(フェーズ分け) が必要になる。来園者への影響・安全確保・インフラ供給(電気・給排水)の調整等を事前に計画する必要がある。

郡山市の場合、本格整備工事は2023年7月から着工している。整備対象は開成山公園西側エリア(約119,900m²)および隣接3街区公園(約9,000m²)と大規模であったため、工事期間は約9か月(2024年4月開業)となった。

期間中の自治体の役割

  • 監理・監督: 特定公園施設の整備が要求水準書の仕様通りに進んでいるかを確認
  • 建築確認等の手続き支援: 民間の建築確認申請・消防設備検査等の庁内調整
  • 近隣住民への説明・調整: 工事期間中の騒音・振動・通行規制の事前説明

この段階の成果物

  • 設計図書(設計会社が作成)
  • 施工計画書・工程表
  • 竣工検査合格証
  • 工事完了報告書

Phase 5: 開業・運営(認定期間最大20年)

開業準備

工事完了後、収益施設の開業に向けた準備が進む。

  • テナント誘致: 複数店舗を誘致する場合は、先行して開業するアンカーテナントの確保が重要
  • PR・マーケティング: オープニングイベントの企画・プレスリリース・SNS展開
  • スタッフ採用・研修: 地元雇用の確保と開業前トレーニング

日常管理・モニタリング

開業後は、自治体と民間事業者の継続的な対話が重要である。

自治体の役割(モニタリング):

  • 収益還元の確認(年次報告書の確認)
  • 維持管理状況の確認(年1〜2回の現地確認)
  • 事業者の財務状況の定期確認(経営悪化の早期発見)

民間事業者の義務:

  • 年次事業報告書の提出
  • 収益還元の実施
  • 施設の日常維持管理・修繕

期間終了後の選択肢

認定有効期間(最大20年)満了後の対応は以下の3通りがある。

選択肢内容建ぺい率特例
再公募(Park-PFI継続)再度公募を実施し、新たな事業者またはリニューアルされた計画で継続特例適用可
同一事業者との交渉延長再公募を省略し、同一事業者と協議の上で継続法的根拠が薄いためリスクあり
通常許可に移行都市公園法第5条第1項の通常の設置管理許可に切り替え特例消滅(最長10年・建ぺい率は条例水準に戻る)

開成山公園4年の実例

郡山市の実際のタイムラインと標準モデルの比較

郡山市開成山公園の実際のタイムラインを、標準モデルと対比させて整理する。

時期フェーズ開成山公園の実際の動き
2020年3月Phase 0→1移行アドバイザリー業者を公募型プロポーザルで公募開始
2020年7月Phase 1開始オリエンタルコンサルタンツ選定・業務開始
2020年10月Phase 1中トライアルサウンディング(1か月間・加点+5点)実施
2021年9月Phase 1後半プレサウンディング(導入可能性調査段階)
2022年1月Phase 2中マーケットサウンディング(公募指針案を開示・加点+3点)実施
2022年4月Phase 3開始公募設置等指針・要求水準書・指定管理仕様書を公表
2022年7〜8月Phase 3中参加意思表明・申請書提出
2022年10月Phase 3中第2次審査(プレゼンテーション)
2022年11月Phase 3完了大和リースグループ(開成山フロンティアパートナーズ)を選定
2023年7月〜Phase 4本格整備工事着工
2024年4月Phase 5開始西側エリアリニューアルオープン

標準モデルとの比較

項目標準モデル郡山市の実績
Phase 0→13〜6か月約4か月
Phase 1(導入可能性調査)6〜12か月約12か月(トライアルサウンディング含む)
Phase 2(公募準備)6〜12か月約4か月(2022年1月〜4月)
Phase 3(公募・選定)4〜8か月約8か月(2022年4月〜11月)
Phase 4(工事)12〜24か月約9か月(2023年7月〜2024年3月)
合計(開業まで)3〜5年約4年

期間短縮のコツ

早期にアドバイザリー業者を起用する

Phase 1でのアドバイザリー起用の遅れは、全体スケジュールの遅延に直結する。予算確保と公募準備を Phase 0のうちに並行して進める ことが重要である。

サウンディングは早く・多く実施する

サウンディングの回数と質は、Phase 2〜3のスムーズな進行に直結する。「参入意欲があるか」「使用料水準は妥当か」を早期に確認することで、指針作成の手戻りが減る。

庁内横断チームを早期に組成する

Park-PFIは公園管理担当だけで進めることはできない。財政課・法務担当・都市計画課・議会対応担当を早期にプロジェクトチームに組み込み、部門間の調整コストを最小化する。

並行して進められる作業を活用する

  • Phase 2での指針作成と条例改正準備は 並行可能
  • Phase 3での公募期間中に工事発注準備(設計会社選定等)を 並行可能
  • Phase 4の特定公園施設工事と収益施設工事は 部分的に並行可能

参考文献

都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン(令和7年5月30日改正版) (2025)

郡山市 Park-PFI事業(開成山公園) (2024)

開成山公園 Park-PFI 事業概要(58564.pdf) (2022)


関連記事

関連するご相談・サポート

PPP・官民連携支援

初回相談無料

行政・民間企業・NPOなど多セクターが連携するプロジェクトの座組み設計と推進を支援します。

読んだ後に考えてみよう

  1. スケジュールの中で最も時間がかかる工程はどこか?その短縮に何ができるか?
  2. 並行して進められる作業は何か?直列でなければならない作業との区別はできているか?
  3. 事業開始4〜5年前の時点で、内部での合意形成(首長・議会・庁内)はどのように進めるか?

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
XFacebookThreads

関連コンテンツ

あなたの自治体に合った官民連携を、一緒に設計しませんか?

事例の構造分析は読んだ。でも、自分の街で同じことができるかは別の話。前提条件の整理、手法の選定、事業設計——ISVDが無料で伴走します。