一般社団法人社会構想デザイン機構

公募設置等指針の書き方 — 国交省Word雛形の活用法と実例解説【2026年版】

ISVD編集部
約12分で読めます

都市公園法が定める10の法定記載事項を丁寧に解説。国土交通省のWord雛形のダウンロード先・活用方法と、郡山市開成山公園の実物指針(11章61ページ)との比較を通じて、実務で使える公募設置等指針の設計を習得する。

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ざっくり言うと

  1. 公募設置等指針には都市公園法第5条の2第2項第1号〜10号の10項目の法定記載事項がある。これを満たさないと公募手続きが無効になる
  2. 国土交通省はWord形式の雛形を公開しており、自治体はこれをベースにカスタマイズするのが標準的な実務手順
  3. 郡山市開成山公園の公募設置等指針は全11章61ページ。法定10項目を网羅しつつ、サウンディング加点やリスク分担表など実務的工夫が凝縮されている

公募設置等指針とは

Park-PFI公募の法的根拠となる文書。法定10項目が記載されていなければ手続きが無効になる

を実施するにあたって、公園管理者(自治体)が最初に公示しなければならない法定文書が 公募設置等指針(以下「指針」)である。都市公園法第5条の2第1項に基づき、「公募対象公園施設の設置又は管理を行う者を公募しようとするとき」に作成・公示が義務づけられている。

指針は単なる募集要項ではない。指針に記載された条件が、その後のすべての手続き(参加資格審査・計画認定・協定締結)の法的根拠となる。指針に記載のない条件を審査で突然持ち込んだり、指針と矛盾する認定要件を課したりすることは法律上できない。

指針の公示から公募設置等計画の提出期限まで、都市公園法は 1か月以上 の期間を設けることを義務づけている(法施行規則第3条の4)。民間事業者が事業計画を精査するのに必要な最低限の期間として設定されている。

指針の作成ミス(法定記載事項の漏れ・矛盾した条件設定)は、公募手続き全体の瑕疵につながる。自治体法務・顧問弁護士との事前確認が不可欠である。


法定10項目の詳細解説

都市公園法第5条の2第2項は、指針に記載すべき事項として第1号から第10号の10項目を列挙している。以下に各号の内容と実務上の留意点を整理する。

第1号: 公募対象公園施設の種類

設置を求める施設の種類を記載する。「飲食店舗」「カフェ」「レストラン」のように具体的に列挙する方法と、「にぎわい創出に資する商業施設」のように幅を持たせて記載する方法がある。

実務上の留意点: 業態を絞りすぎると参加事業者が限定される。一方、幅広すぎると事業者の提案が拡散し、評価が困難になる。地域の課題(飲食不足・休憩場所不足・子ども向け施設不足等)から逆算して「求める機能」を明示するアプローチが有効である。

第2号: 公募対象公園施設の場所

設置区域の位置・面積・現況・法的規制を記載する。位置図・配置図の添付が必須である。建ぺい率(条例で定める値)・電気・ガス・水道等のインフラ引込み状況も記載する。

実務上の留意点: インフラの引込み状況の誤記は後のトラブルの原因となる。特にガス管の有無・下水排水の処理方法は飲食業態の可否を左右する。公募前に現地調査を実施し、図面との突き合わせを確認すること。

第3号: 設置・管理開始時期

収益施設の設置開始時期と管理開始時期を記載する。設計・工事・建築確認・各種法的手続きに要する期間を見込んで設定する必要がある。

実務上の留意点: 民間事業者が融資を受ける場合、着工から開業まで1〜2年を要することが多い。竣工期限を短く設定しすぎると参加者が減少する。また、 特定公園施設の整備と収益施設の工事の工程調整 は事前に検討が必要である。

第4号: 使用料の額の最低額

収益施設設置者が支払う使用料の最低額を記載する。条例で定める額を下回ってはならないことが法律上の制約である(法第5条の2第2項第4号)。

実務上の留意点: 使用料は民間事業者の収益性に直結する。最低額を高く設定しすぎると参加者が集まらない。一方、低すぎると公園管理者への収益還元が薄くなる。周辺類似公園の使用料実績・民間の想定年商(坪効率)をもとに妥当性を検証すること。

第5号: 特定公園施設の建設に関する事項

民間事業者が整備すべき特定公園施設(トイレ・園路・広場・ベンチ・照明等)の種類・仕様・数量・費用負担の上限額を記載する。

実務上の留意点: 「公園管理者が整備するものは何か」「民間が負担すべき最低額は何か」を明確に記載する。曖昧な記載は計画認定後の交渉リスクになる。費用負担の上限額(市が負担する最大値)を設定することで、民間側の費用計算が可能になる。

第6号: 利便増進施設の設置に関する事項

収益施設に附随する自転車駐車場・看板・広告塔・案内板等(「利便増進施設」)の設置を認める場合、その種類・場所・条件を記載する。

実務上の留意点: 広告塔・看板の設置条件は景観条例と整合させる必要がある。許可する場合は、色彩・大きさ・設置位置の基準も明示することが望ましい。

第7号: 環境の維持及び向上措置

収益施設の事業者に求める清掃・植栽管理等の日常維持管理の要求事項を記載する。

実務上の留意点: 指定管理者制度と一体化する場合は、指定管理業務との役割分担を明示することが必要である。「誰がどのエリアをどの頻度で清掃するか」を指針段階で整理しておかないと、後の協定交渉で混乱が生じる。

第8号: 認定の有効期間

公募設置等計画の認定の有効期間(最長20年)を記載する。事業規模・投資回収期間を考慮して設定する。

実務上の留意点: 20年を設定するためには「特定公園施設の整備を含む計画」であることが必要条件である(法第5条の8第1項)。収益施設のみの場合は最長10年(通常の設置管理許可に準ずる)となる点に注意が必要である。

第9号: 評価基準

応募計画の評価に用いる基準を記載する。ガイドラインは6つの評価項目(①事業の実施方針、②事業実施体制、③施設の設置計画、④施設の管理運営計画、⑤事業計画、⑥価額提案)を例示している

実務上の留意点: 配点の割合が事業者の提案内容に影響する。例えば「価額提案」の配点が高いほど価格競争型になり、「事業の実施方針」の配点が高いほど提案の質勝負になる。地域の優先課題(にぎわい創出・地元雇用・高齢者対応等)を配点に反映することが重要である。評価基準の詳細は Park-PFI評価基準の設計法 を参照のこと。

第10号: 公募の実施に関する事項等

参加資格・提出書類・審査スケジュール・協定事項等、第1号〜第9号以外の実施上の事項を記載する。

実務上の留意点: 参加資格条件(財務要件・実績要件・コンソーシアム構成等)は絞りすぎると競争性が確保できなくなる。一方、要件が緩すぎると事業実施能力のない事業者が応募するリスクがある。


国交省Word雛形の活用

ダウンロード先・構成・カスタマイズの手順を解説。雛形の限界も把握する

雛形のダウンロード先

国土交通省都市局は「公募設置等指針に関するひな形」をWord形式で公開している。以下のページからダウンロードできる。

雛形の構成と活用方法

雛形は法定10項目を網羅したひな形文書であり、各項目に記載例と注記が付されている。活用手順は以下の通りである。

  1. 雛形をベースに対象公園の情報を埋める: 第1〜4号は公園の物理的条件(場所・面積・インフラ)に基づき記載
  2. 第5号(特定公園施設)は整備計画と連動させる: 事前に整備計画(老朽施設の更新内容・工事費見積り)を作成した上で記載
  3. 第9号(評価基準)は配点表を別紙として作成: 雛形の評価項目をベースにしつつ、地域の優先課題に応じて配点を調整
  4. 第10号はスケジュール表・提出書類リストを別紙化: 参加意思表明・申請書提出・審査の各段階の期日を明示

雛形の限界

国交省の雛形はあくまでひな形であり、以下の点では実務的なカスタマイズが必要である。

  • 地元の条例との整合: 建ぺい率・占用規制・景観条例の条件は各自治体で異なる
  • 指定管理者制度との連携: 指定管理と一体化する場合は、指針に指定管理の仕様書を組み込む必要がある
  • サウンディング加点の明記: 事前サウンディングへの参加を加点する場合は、指針段階でその旨と加点幅を明記する

郡山市開成山公園の実物指針との比較

郡山市が2022年4月に公表した開成山公園の公募設置等指針は、170KB・全61ページの詳細文書である。法定10項目をカバーしつつ、実務的な工夫が随所に見られる。

章構成の対応関係

タイトル対応する法定号
第1章事業の概要全体概要・第3号・第8号
第2章公募の手続き第10号
第3章設置等予定者の選定第9号(評価基準)
第4章選定後の手続き第10号(協定等)
第5章特定公園施設の整備第5号
第6章公募対象公園施設第1号・第2号・第4号
第7章利便増進施設第6号
第8章環境維持向上措置第7号
第9章指定管理第10号(指定管理連携)
第10章リスク分担第10号(リスク分担)
第11章その他第10号(破綻時措置等)

郡山市指針の特徴的な工夫

①サウンディング加点の明文化: 指針第3章の評価基準に「インセンティブ点」として、トライアルサウンディング参加で +5点、マーケットサウンディング参加で +3点が明記されている。公募前から民間との対話を促す設計である。

②費用負担の明確化: 特定公園施設の整備費は「市90%以下・民間10%以上」と明示。公募対象公園施設(収益施設)は「全額民間負担」と区別されており、民間事業者が資金計画を立てやすい構造になっている。

③リスク分担表の収録: 第10章に詳細なリスク分担表を収録。設計・建設・運営の各フェーズで「誰がどのリスクを負うか」が一覧化されており、事業者が事業計画を立てやすくなっている。

④指定管理との一体化: 第9章で指定管理の業務内容・経費(指定管理料上限14億4,160万4千円/19年間)を明示。Park-PFIと指定管理者制度の一体公募を行う際のモデルとなっている。

⑤選定審議会の構成明示: 第3章で選定審議会のメンバー(大学教授・公認会計士・公園財団常務理事等)を事前に明示。審査の透明性と権威を担保している。


推奨記載事項の設計

任意だが実務上ほぼ必須の記載事項とその設計ポイント

法定10号に加えて、ガイドラインが推奨する記載事項(通称「推奨記載事項」)がある。法律上は任意だが、実務上はほぼ必須の内容である。

参加資格の設計(推奨記載事項イ)

参加資格は「事業の確実な実施能力を持つ事業者を選ぶ」という目的に沿って設計する。過度に絞った参加資格は競争性を損なう。

標準的な参加資格要件の例:

  • 法人格を有すること(単独またはコンソーシアム)
  • 直近の決算で債務超過でないこと
  • 建設業許可を有すること(整備工事が伴う場合)
  • 食品衛生法上の営業許可を取得できること(飲食業の場合)
  • 指名停止・公表・欠格事由に該当しないこと

コンソーシアムを認める場合は、代表企業の要件・構成員の役割・責任分担の記載も必要である。

事業破綻時の措置(推奨記載事項ク)

事業者が経営破綻した場合の対応を事前に定めておくことは、自治体にとっての最大のリスクヘッジである。

記載すべき内容:

  • 特定公園施設の修繕・原状回復の義務と保証金
  • 損害保険への加入義務と保険証券の提出
  • 後継事業者への事業承継の要件と手続き
  • 市による施設の買取り・代替管理の条件

都市開発資金の貸付けに関する事項(推奨記載事項サ)

国は「都市開発資金(賑わい増進事業資金)」として、地方公共団体が事業者に貸し付ける場合に国が1/2を有利子貸付する支援制度を設けている。この制度を活用する場合は指針に記載が必要である。


評価基準の設計(第9号の深掘り)

2段階選定の構造

ガイドラインは選定を 第1段階(審査)第2段階(評価) の2段階で実施することを推奨している。

  • 第1段階(審査): 法第5条の4第1項に基づく客観的審査。指針との適合性・財務健全性(債務超過でないこと)・建設・管理実績の確認
  • 第2段階(評価): 審査通過者のみを対象とした定量的採点。学識経験者 2名以上 で構成する委員会が評価する(法律上の義務)

6つの評価項目と配点設計

国交省ガイドラインが示す6評価項目の一般的な配点ウェイトの例は以下の通りである。

評価項目主な評価内容配点ウェイトの目安
①事業の実施方針地域課題解決・公園の質向上・地域経済活性化15〜25%
②事業実施体制地元企業参画・財務健全性・役割分担15〜20%
③施設の設置計画デザイン・バリアフリー・施工計画10〜20%
④施設の管理運営計画安全・災害対応・地域連携15〜20%
⑤事業計画収支計画・撤退リスク対応15〜20%
⑥価額提案特定公園施設費の市負担額・使用料の額10〜20%

重要な設計原則: 評価項目⑥(価額提案)に過度な配点を付けると、価格ダンピングを誘発するリスクがある。民間が無理な価格提案をして後で経営破綻するシナリオを防ぐため、価額提案の配点は全体の15〜20%程度に抑えることが多い。

最低制限基準の設定

評価の公平性と実施可能性を担保するため、最低制限基準の設定が推奨される。郡山市の事例では「全委員の合計点が配点合計の60%以上、かつ主要3項目(事業総括・課題解決・管理運営)がそれぞれ60%以上」が最低制限基準として設定された。


指針の品質チェックリスト

指針を公示する前に確認すべきチェックリストを以下に示す。

法的要件の確認:

  • 第1〜10号のすべての法定記載事項が含まれているか
  • 第4号の使用料最低額が条例の水準を下回っていないか
  • 第8号の認定有効期間が20年を超えていないか(特定公園施設整備が条件)
  • 公示から計画提出期限まで1か月以上あるか

実務的な確認:

  • 建ぺい率・占用規制の条例数値を正確に記載しているか
  • インフラ(電気・ガス・水道・下水)の引込み状況を現地確認したか
  • リスク分担表は「建設リスク」「運営リスク」「不可抗力リスク」を区別しているか
  • 選定審議会の構成員(学識経験者2名以上)は確保できているか

参考文献

都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン(令和7年5月30日改正版) (2025)

開成山公園 公募設置等指針(2022年4月) (2022)

国土交通省 Park-PFI等の活用ページ(ひな形・事例集等) (2025)

PPP/PFI推進施策説明会資料 (2024)


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読んだ後に考えてみよう

  1. 対象公園の法的規制(条例の建ぺい率制限・占用規制)を事前に確認し、第2号の記載に反映しているか?
  2. 第4号の使用料最低額は条例との整合が取れているか?また、民間事業者が採算を取れる水準か?
  3. 第9号の評価基準は「地域の優先課題」を反映した配点になっているか?

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
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