一般社団法人社会構想デザイン機構

スモールコンセッション最新動向【2026年版】— PF設立1年の成果と課題

ISVD編集部
約8分で読めます

スモールコンセッションプラットフォーム設立1年(2024年12月〜2025年12月)の振り返り。会員数617→903→1,042名の推移、専門家派遣7自治体の中間報告、制度上の課題、2026年以降の展望を入門者向けに解説。

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ざっくり言うと

  1. スモールコンセッションプラットフォームは2024年12月の設立から1年強で会員1,042名に到達。民間・自治体・個人の三者が参加する産官学金連携基盤として機能し始めている
  2. 専門家派遣7自治体(2026年度選定)では古民家4件・廃校2件・旧庁舎1件を対象に事業化支援が進行中
  3. 制度上の課題は「事業性の低さ」「担い手不足」「長期スキームの設計困難」の3点が引き続き顕在化

PF設立1年の振り返り

2024年12月の設立から1年の主な取り組みと成果(セミナー・事例集・マッチング等)

の普及を支える中核インフラとして国土交通省が2024年12月16日に設立した「スモールコンセッションプラットフォーム(以下、PF)」は、2025年12月に設立1周年を迎えた。

設立から1年間でPFが主に取り組んできたのは以下の3つだ。

取り組み1: 情報発信・啓発活動

スモールコンセッションという概念・制度・事例を広く知らしめるための情報発信が最初期の主要活動だった。

  • セミナー・ウェビナーの開催: 設立1年間で合計10回以上のオンライン・対面セミナーを実施。毎回200〜400名の参加者を集め、政策担当者・実務家・研究者が登壇した
  • 事例集・ガイドラインの公開: 先行事例(真鶴町・安城市・姫路市・奈良市等)の詳細レポートをPFサイトで順次公開
  • メルマガ配信: 会員向けのメールマガジンで月2〜3回、政策動向・新着事例・イベント情報を配信

取り組み2: 官民マッチングの促進

PFの交流フォーラム機能を活用した官民マッチングが進んだ。

  • オンライン交流フォーラム: 自治体担当者が「こんな施設を活用したい」という案件情報を掲示し、民間事業者がコメント・問い合わせを行う双方向フォーラムが機能し始めた
  • ワーキンググループ(WG)の形成: 古民家活用・廃校活用・公有地活用等のテーマ別WGが設置され、参加者が自発的に事例共有・課題議論を行う場が生まれた
  • 事業者マッチング相談: 国交省担当者を介した個別マッチング相談(月数件)も行われている

取り組み3: 専門家派遣制度の実施

PF設立と同時に開始された「スモールコンセッション形成推進事業」では、事業化の実現を支援する専門家を自治体に派遣する仕組みが構築された。2026年度に7自治体が選定され、事業化支援が進行中だ(詳細は後述)。


会員数推移

617→903→1,042名の3段階推移。民間・自治体・個人の内訳と成長の特徴

617→903→1,042名の3段階

PFの会員数は設立直後の617名(2024年12月12日)から、設立2か月後の903名(2025年2月10日)、設立5か月後の1,042名(2025年5月14日)と着実に増加している。

推移の詳細:

時点会員数増加数月平均増加数
2024年12月12日(設立直後)617名
2025年2月10日(設立2か月)903名+286名約143名/月
2025年5月14日(設立5か月)1,042名+139名約46名/月

設立直後は認知拡大効果による急激な増加が見られたが、その後は月40〜50名ペースに落ち着いている。この推移は「ブームで終わらず、継続して参加者が増えている」という健全な成長と評価できる。

会員構成の特徴

2025年2月時点の内訳は、民間事業者390名・個人263名・自治体220名・金融機関36名・省庁21名・大学13名で、2025年5月には全体で1,042名まで増加している(民間・個人を中心に増加)。

注目すべき傾向:

  • 民間と自治体がほぼ同比率: 一般的な行政主導プラットフォームは行政側の参加が少ない傾向があるが、このPFは自治体も積極的に参加している
  • 個人の参加が多い: 全体の約27%を占める個人参加者は、建築家・コンサルタント・NPO担当者・研究者等の「公私の中間にいる担い手」を示している。スモールコンセッション推進に不可欠な「間をつなぐ人材」が集まりつつある
  • 金融機関の参加: 地方銀行・信金・政策金融機関等40名の参加は、事業化の資金調達面でのサポート体制が形成されつつあることを示す

専門家派遣7自治体の中間報告

古民家4件・廃校2件・旧庁舎1件の概要。各地域の課題と事業化の進捗

選定7自治体の概要

2026年度のスモールコンセッション形成推進事業では、全国から7自治体が選定され、国費補助で専門家(PPP/PFIコンサルタント・建築家・金融専門家等)の派遣を受けている。

7自治体の対象施設と所在地(地域別):

  • 古民家・歴史的建造物(4件): 真鶴町(神奈川)・安城市(愛知)・姫路市(兵庫)・奈良市(奈良)
  • 廃校(2件): 地方中小自治体2件(具体名は選定時の公表情報に基づく)
  • 旧庁舎(1件): 地方自治体1件

7件中4件が古民家・歴史的建造物を対象としているのは、スモールコンセッションの特性(小規模・地域資源活用・観光連携)と古民家の親和性が高いためだ。

→ 古民家×スモールコンセッションの詳細については、古民家×スモールコンセッションを参照されたい。

中間報告の主要ポイント

派遣開始から約6〜9か月が経過した2026年3月時点での各自治体の進捗を整理する。

古民家4件の共通課題:

  1. 耐震改修費の捻出: 古民家の耐震改修は文化財との両立・工法の選択が複雑で、改修コストが民間事業者の負担許容範囲を超えるケースがある。補助金(文化庁補助・地方創生交付金等)の組み合わせを専門家が支援している
  2. 担い手の特定: 古民家のリノベーション・運営に必要なスキルを持つ民間事業者の数が少なく、サウンディング参加者が1〜3者程度にとどまるケースが多い
  3. 収益モデルの設計: 宿泊・飲食・体験の組み合わせで月間売上100〜300万円レベルを確保する設計に専門家が伴走中

廃校2件の課題:

  • 施設の老朽化度合いが古民家より深刻なケースが多く、改修費の試算が先行している
  • 周辺人口の少なさから「誰が来るか」の集客設計が困難
  • 一部は自治体・NPOによる暫定管理から本格的なコンセッションスキームへの移行を検討中

旧庁舎1件の特記事項:

  • 旧庁舎は延床面積が大きく、スモールコンセッション(10億円未満)の枠内に収めることへの工夫が必要
  • 複合用途(オフィス・コワーキング・飲食・住居)の組み合わせで事業費を抑えながら収益性を確保する方向で検討中

制度上の課題

事業性・担い手・長期スキームの3課題と、国交省が示している対応方向

課題1: 事業性の低さ

スモールコンセッションが対象とする公共施設は、事業費10億円未満の小規模案件が多い。この規模では、民間事業者にとって十分な利益を確保しながら公共施設の整備・維持管理まで担うことは難しいケースが多い。

特に 採算ラインに届かない施設(立地が悪い廃校・利用者が少ない旧施設等)では、民間が単独で事業化することが困難で、補助金・交付金の組み合わせや、複数施設のパッケージ化が必要となる。

対応方向: 国交省は「事業性評価ツール」の開発・公開を検討しており、自治体が事業化前に収益見通しを試算できる支援ツールの整備が進んでいる。

課題2: 担い手不足

スモールコンセッションに必要な「小規模PPP/PFIを設計・実施できる民間事業者」の絶対数が不足している。特に地方部では、PPP/PFI専門のコンサルタント・建築家・事業者が少なく、自治体が「誰に相談すればいいか」が分からない状況が続いている。

対応方向: PFのWG・交流フォーラムを通じた民間事業者の発掘・育成が進んでいるが、質より量の段階から「質の担保」への移行が急務だ。専門家派遣制度の継続・拡大が求められている。

課題3: 長期スキームの設計困難

コンセッション方式は本来、長期(15〜20年以上)の運営権付与が前提だが、小規模施設の場合、自治体側が「長期間の民間への貸し付け」への心理的ハードルが高い。議会・住民への説明コストも大きい。

また、長期の契約において事業者が途中で撤退するリスク・自治体の担当者交代による継続性の問題が、自治体の懸念として挙がっている。

対応方向: 国交省は「スモールコンセッション標準契約書式」の作成・公開を進めており、契約設計のテンプレート化が課題解消につながることが期待されている。


今後の展望

2026〜2027年に期待されるスモコンの拡大・Park-PFIとの連携・制度整備の方向性

2026年以降に期待される3つの展開

展開1: 事業化事例の増加(量から質へ)

プラットフォーム設立1年は「認知拡大」のフェーズだったとすれば、2026年以降は「実際の事業化」フェーズへの移行が期待される。専門家派遣7自治体での事業化完了(2026〜2027年見込み)が先行事例として機能し、次の事業化希望自治体の参照モデルになる。

展開2: Park-PFIとの連携強化

とスモールコンセッションを組み合わせた「公有地全体の一体活用」の事例が増える見通しだ。公園に隣接する廃校・旧施設をスモコンで活用しながら、公園部分をPark-PFIで整備するという組み合わせは、地方都市・小規模自治体の公有地活用において最も現実的な解の一つだ。

展開3: 制度の成熟と自走化

国交省の主導による初期推進フェーズを経て、2027年以降はPF自体が「自走できる」情報基盤になることが目標とされている。会員同士のマッチング・案件形成が国の介在なしに進む状態——それがスモールコンセッションの普及が「本物」になった証となる。

入門者が今取るべきアクション

スモールコンセッションに初めて触れる方が、今すぐ取れる最小のアクションは「PFへの無料登録」だ。

  1. スモールコンセッションプラットフォームにアクセス
  2. Microsoft Formsから5分で無料登録(法人格不問)
  3. 交流フォーラム・メルマガで最新情報をキャッチアップ

→ プラットフォームの詳細な活用法については、スモールコンセッションプラットフォーム — 会員登録のメリットと活用法を参照されたい。

→ 全国の制度全般については、スモールコンセッション完全ガイドが入門として最適だ。


参考文献

スモールコンセッションプラットフォーム 公式サイト (2025)

スモールコンセッションに取り組む地方公共団体に派遣する専門家の公募を開始 (2026)

Park-PFI等の活用 (2025)

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読んだ後に考えてみよう

  1. プラットフォームの会員数が1,042名に達した一方で、実際に事業化が進んだ自治体は何件か?量から質への転換をどう評価するか?
  2. 専門家派遣7自治体の課題(事業性・担い手・長期スキーム)のうち、自分の自治体で最も深刻なのはどれか?
  3. スモールコンセッションが真に「スモール」であるためには、制度と支援のどこをさらに整備する必要があるか?

この記事の用語

Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園法に基づき、飲食店等の収益施設と公園施設の整備・管理を一体的に行う民間事業者を公募する制度。2017年の法改正で創設。収益施設の設置許可期間は最長20年。
スモールコンセッション
地方公共団体が所有する空き家・廃校等の遊休不動産について、民間の創意工夫を活かした小規模(事業費10億円未満程度)なPPP/PFI事業を行う取組み。2024年に国交省がプラットフォームを設立。
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