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子どものSNS、年齢確認の後に何を変える?機能制限と誤判定への対応

カリフォルニア州の成立法、日本の制度検討、EUの指針とキッズ法案を分け、保護設定・情報収集・誤判定の訂正と相談へのアクセスについて

更新: ヨコタナオヤ(横田直也)約11分で読めます

カリフォルニア州の2026年9月の子ども保護法、日本の中間整理と10月6日の会議資料、EUの指針とキッズ法案から、年齢確認と機能制限の違いを読む。情報の収集、誤判定の訂正、相談へのアクセスを含めて安全な運用を考える。

ざっくり言うと

  1. 対象機能と年齢条件を、成立法・規則案・提案の段階から読む
  2. 年齢確認後の初期設定、情報の扱い、誤判定の訂正を分けて確かめる
  3. 処理件数と、子どもが相談や学びを続けられる条件を区別する

見出し画像はAIで生成したもので、実際の家庭や人物を撮影した写真ではない。

何が起きているのか

9月10日の署名からSNSとAIの保護対象、年齢と機能を読む

子どものSNS(情報を発信し交流するオンラインサービス)の利用をめぐる議論では、利用を始める年齢が注目されるが、同じ年齢の人がアカウントを持っても、自動再生や通知、推薦の仕組みによって使う環境は違う。年齢を確かめた後にどの機能を提供するかまで考えることが、プラットフォームの設計を問う理由である。

は、2026年9月10日、子どものオンライン安全に関する複数の法律への署名を公表した。今回署名されたAB1709はSNSの機能を扱う。AIコンパニオンの安全については、別の法律であるSB1119に規定がある。

州政府の説明では、SNSで16歳未満の利用者へ提供する自動再生や、履歴・プロフィールに基づく特定の推薦フィードなどが制限対象となる。何歳かを確かめることと、その年齢に応じて機能を変えることがつながった制度である。

には、対象機能を提供しなければ、16歳未満のアカウント作成・維持を認める規定もある。推薦の定義には、明示的に求めた投稿などに関する条件・例外があり、対象サービスからも商取引・レビューに限定されるものや、主に保存を目的とするものなどを除く。年齢の数字だけでSNS全面禁止と読み替えると、法が制限する機能と利用条件を見失う。

SB1119について、州政府の署名発表は、自殺念慮が生じた場合の危機への対応手順、保護者による管理、安全設定を無効にした場合の通知、独立した監査や年次リスク評価を挙げている。これは署名発表で確認できる内容であり、すべてのAIサービスにSNSと同じ機能制限がかかるという説明ではない。

背景と文脈

日本とEUも含め、成立した法律と検討・提案の段階を確かめる

同じ地域でも、文書の段階を確かめる

カリフォルニア州には、2024年9月に成立したSB976もある。によると、未成年へ依存的なフィード等を提供する際の、検証可能な保護者同意などを扱う法律だ。同案内が示す、年齢確認と保護者同意に関する規則の採択期限は、2027年1月1日である。

2026年10月8日に確認した司法長官の案内は、規則案が意見募集後の審査段階にあり、州の行政法局(Office of Administrative Law)による確認も必要だと説明していた。SB976の規則採択期限である2027年1月1日は、今回のAB1709のすべての義務が始まる日として使えるものではない。また、SB976の保護者同意を、別の成立法に当然ある例外として付け加えない。

法律への署名、具体的な規則の採択、義務のは、規定ごとに確かめる必要がある。訴訟がある場合は、対象条項の執行が制限されているかも別の確認事項となる。署名発表だけで全工程が終わったと判断せず、個別サービスの適法性をこの記事から結論づけることも避けたい。

日本にも、設計と事業者の役割を問う動きがある

日本のは、2024年9月9日に決定された。新しい機器に実効的な保護をあらかじめ組み込む「青少年保護・バイ・デザイン」の推進を掲げる。日本が設計に全く関心を向けてこなかったと説明するのは正確ではない。

が公開したは、SNS等の事業者について、リスク評価、保護措置、その内容の公表と継続的な改善を検討する。一律の年齢制限の是非は、引き続き議論する論点としている。これは制度見直しの途中の整理であり、提案された義務がすべて成立した法律になったわけではない。

さらに、には、端末の基本機能を管理するOS(オペレーティングシステム)が提供する保護機能の位置づけ、関係者の役割、保護者と子どもが理解して使える条件を検討する問いがある。資料の公表から、会議での合意や新しい義務の決定まで推測することはできない。

EUの指針と、新しい立法提案

は、未成年のアカウントを初期状態で非公開にすること、自動再生や過度な利用を促す通知などを初期状態で無効にすることを推奨する。EUのデジタルサービス法(DSA)の未成年保護規定への適合を評価する際の参考となる指針であり、指針に従っただけで適合が自動的に保証されるものではない。

一方、2026年9月のEUのキッズ法案について、は「提案」と明記する。独立したSNSアカウントを15歳からとするなどの段階を提案しているが、成立済みのEU共通の義務としては扱わない。制度を比べるときは、年齢の厳しさだけでなく、文書がどの段階にあるかを見る必要がある。

成立法と具体化

カリフォルニア州の例

2026年の署名
AB1709・SB1119
2024年の別法
SB976
個別の確認
規則・対象・適用日

指針と検討・提案

日本とEUの例

日本
基本計画・中間整理
EU
DSA指針・キッズ法案
読む際の確認
推奨と義務を区別

2026年10月6日に確認した一次資料を基に、SB976の案内は10月8日の確認内容を反映。制度全体の優劣や、全条項の執行・サービスの適合を判定する図ではない。

子ども保護を扱う文書の段階

構造を読む

年齢確認後の設定、情報の収集、誤判定と相談へのアクセスを考える

年齢を確かめた後の画面を点検する

年齢確認の目的は、確認画面を通過させることだけではない。たとえば、未成年と判定したのに自動再生がそのまま続けば、確認と保護の機能がつながっていない。年齢情報を受け取る部分と、通知・推薦・連絡の設定を変更する部分の担当を明らかにすることが、運用を点検する出発点になる。

これは制度を読むための本稿の提案であり、特定のサービスで対策が失敗したと確認した例ではない。設定項目が存在すること、初期状態で保護が働くこと、本人が内容を理解できることを順に確認したい。設定を変更した際の説明が曖昧なら、機能を用意しても、何が変わったのか利用者に伝わらない。

年齢の条件と、本人の詳しい情報を分ける

では、他の個人情報をサービスへ共有せず、18歳以上であることを証明する仕組みが示される。2026年4月には機能面で準備が整ったと説明されているが、すべての国・利用者への配備が完了したという意味ではない。

この例は、年齢の条件を知るために、サービスが必ず氏名や身分証の全情報を保管する必要があるのかという問いにつながる。取得する情報を減らしても、年齢確認を担う主体が持つ情報、証明の保存期間、他の利用履歴との結びつきは別に点検する必要がある。方式の説明だけで、実装後の安全性を証明したことにはならない。

年齢を確かめる役割をOS、ストア、個々のサービスのどこに置くかでも、利用者が相談する相手は変わる。学校や地域の支援団体が独自に身分証を集めることを、この議論から直ちに導くべきではない。提供者は、どの機能にどの程度の確認が必要かを定め、必要な条件を越えた収集を防ぐ方法を考える必要がある。

誤判定と、相談できる場所を考える

保護の仕組みは、正しく年齢を判定できた場合だけで評価しない方がよい。年齢を誤って判定された人が、理由を知り、訂正を申し立てられるかを確認したい。申立てに必要な資料を本人が用意できない場合や、保護者へ相談しにくい場合も考慮する必要がある。

また、利用を制限する機能と、助けを求めるための情報や連絡先を分けて考えたい。外部の相談先を紹介していても、制限された画面からその案内へ到達できなければ、本人にとって使える支援にならない。これは現在の各制度が一律に相談を遮断するという主張ではなく、運用を設計する際に確かめたい条件である。

提供者の設計

機能と情報の扱い

確認
必要な年齢条件
初期設定
通知・再生・推薦
訂正
理由説明と申立て

利用者の経験

本稿が提案する点検

理解
変更点が分かるか
情報
過剰な収集がないか
支援
相談先へ届くか

一次資料を参考にした運用上の問い。個別のサービスの実装や、改善効果を確認した結果ではない。

年齢確認から保護の運用まで、何を確かめるか

機能を導入した件数と、子どもの経験を分ける

安全設定の導入件数や年齢確認の処理件数は、実施した活動の記録になる。そこから、睡眠が改善した、被害が減ったと結論づけるには別の検証が必要だ。を考える際は、何の問題を減らしたいかを先に定め、設定後の変化と、相談や学習を続けられる条件を調べたい。

たとえば、夜間通知を制限する試行なら、設定の有効状態、本人の理解、通知で起きる経験、変更を望む理由を確かめる方法が考えられる。時期や対象、他の生活変化も記録し、前後の数字が変わっただけで因果効果としない。子どもの意見を聞くことは、設定の賛否を集めるだけでなく、想定していなかった不便や支援の途切れを見つける機会にもなる。

誤判定から戻るまでを、一つの対応として考える

年齢を訂正した記録と、利用者が必要な情報へ戻れた記録を分ける。

例えば、年齢を誤って判定された人が、サービスへ訂正を申し立てたとする。これは運用を考えるための例であり、実在する事業者の対応を調べた結果ではない。受付の通知が届いても、審査が終わったか、年齢情報が直ったか、使える機能が変わったかは別の段階になる。訂正が済んだという説明だけで、本人が必要としていた相談情報へ再び到達できたと判断することはできない。

この例で、年齢を確かめる相手と、機能を提供する相手が異なるなら、どちらへ質問すればよいかを本人が理解できる説明が要る。同じ証明を複数の窓口へ提出させる前に、提供者が受け渡す情報の範囲と、訂正が反映される場所を説明できることも、点検したい条件である。身分証を用意できない人や、保護者との関係から相談が難しい人の申立てが止まる条件も確認事項になる。ここで挙げるのは具体的な法律が一律に命じる手順ではなく、保護を利用できる条件を点検する問いである。

設定の訂正と、確認のために提出した情報の扱いも分けて説明する必要がある。機能が使える状態に戻っても、証明のための画像や判断の記録がどう保存されるかは別の問題として残る。サービスの説明に保存期間や削除の条件があるか、他の履歴との結びつきを説明しているかを確かめたい。訂正の申立てに必要な記録を保つ目的と、必要を越えて情報を集め続けることを混同しないためにも、利用者が質問できる窓口が重要になる。

公表する数字に、対象と途中の段階を添える

機能を提供した件数だけで、子どもが保護を使えたとは判断しない。

日本の中間整理は、保護措置の公表と、その評価を改善につなぐ仕組みを検討している。こうした説明を読む際には、集計した人数やアカウント、利用した端末のどれを数えているかを先に確認したい。一人が複数のサービスを使う場合、処理件数をそのまま保護された子どもの人数として読むことはできない。制限の後に使い方が変わったという回答についても、調査対象と時期を確認し、その変更だけで起きた効果とはしない。

本稿が提案する点検では、保護の設定が有効なこと、説明を理解できたこと、誤りを訂正できたこと、相談先を利用できたことを別々に記録する。どこかの段階で止まった人の経験を含めれば、完了した件数だけからは分からない課題を検討できる。記録の詳しさを増やすために本人の情報を過剰に集めず、必要な情報を残す方法と公表する範囲を合わせて考えることが課題になる。提供者の説明と利用者の経験を照合できる形を作ることが、制度の比較を実際の運用の評価へつなぐ。

関連コラム

関連ガイド

成果指標を設計する(このサイトの記事)では、実施した活動と利用者に生じた変化を分けて評価する考え方を扱う。年齢確認の処理と、その後の保護の利用も区別して確かめたい。

残る問い

家庭の負担、必要なつながり、事業者の説明を評価する責任を問う

安全な初期設定が広がっても、家庭と学校の仕事が自動的に減るとは限らない。保護者が理解する説明、複数の端末にまたがる設定、変更をめぐる親子の話し合いは残る。事業者へ責任を求める制度を考える際には、機能を置いた後の理解と訂正まで、誰が支えるかを確かめたい。家庭の時間や知識の違いによって、保護を利用できる条件が変わらないかも重要な問いである。説明を用意しただけで支援が届いたと判断せず、理解が難しい場合に質問できる機会も確かめたい。

次に、利用が制限された子どもに、別の学びや相談、交流の機会があるか。画面を閉じたことで危険への接触が減っても、その人が必要としていたつながりを失う場合がある。どんな機能を抑え、どの連絡や情報へのアクセスを残すかを、本人の経験から点検する必要がある。制限の件数だけを成果とせず、使いにくくなった支援がないかも聞いていきたい。年齢を訂正する途中でも、本人が困り事を伝えられる場所を残せるかが、この確認を続ける際の課題になる。

日本の検討が具体化する過程では、事業者の説明を誰が評価し、改善されない場合にどう対応するかが問われる。法律、指針、学校のルールが扱う範囲は同じではない。それぞれの責任と、変更した後に確かめる条件を明らかにし、子ども自身が質問や訂正を申し立てられる運用へつなげられるか。年齢を確かめる仕組みの先に、本人が理解し、必要な支援を利用できる環境を作れるかが残る課題である。

この記事で使った統計の出典

  1. 1カリフォルニア州政府(2026年9月10日) 出典を開く
  2. 2カリフォルニア州司法長官(2024年成立のSB976) 出典を開く

参考書籍

著、訳『スマホ脳 (新潮新書)』(外部サイト、新しいタブで開きます)(、2020年)は、注意と端末利用を考える背景読書である。紹介は出版社の公開書誌・目次に基づく。2026年の法律の適用や、特定の機能と疾病の因果関係は、この紹介から判断せず、法律本文と個別の研究で確かめたい。

参考文献

Governor Newsom signs the strongest child safety chatbot and social media laws in the nation — Governor of California (2026). Governor of California

AB-1709 Covered platforms: age restriction: e-Safety Advisory Commission — California Legislature (2026). leginfo.legislature.ca.gov

Protecting Our Kids from Social Media Addiction Act (SB 976) — California Department of Justice (2026). California Department of Justice

青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第6次) — こども政策推進会議 (2024). こども家庭庁

青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ 中間整理報告書 — 青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ (2026). こども家庭庁

技術的保護手段の在り方について(第9回資料1) — 青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討WG事務局 (2026). こども家庭庁

Commission publishes guidelines on the protection of minors — European Commission (2025). European Commission

The EU approach to age verification — European Commission (2026). European Commission

The KIDS Act explained — European Commission (2026). European Commission

読んだ後に考えてみよう

  1. 年齢を確かめた後、どの機能と初期設定が変わるか。
  2. 誤判定された本人が、理由を知り訂正を申し立てられるか。
  3. 制限した後も、子どもが相談や学びを続けられるか。

この記事の用語

クラウド
ネットワークを使い、サーバーや保存領域などの共有された計算資源を必要に応じて利用する仕組みを指す。クラウドを使うことだけでは、情報を閲覧できる人や第三者へ提供する条件は決まらない。
成果指標
事業で解決しようとする課題に対応した変化や効果を確かめる指標。活動の回数などの直接的な結果とは区別して設計し、指標の改善だけで事業の因果効果が証明されたとはしない。
適用日
特定の規定を対象となる人や行為へ適用し始める日。対象の範囲、経過措置、改正の有無を、その規定と併せて確認する。

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