総務省の調査で、自治体の臨時・非常勤職員は742,424人、うち会計年度任用職員は661,368人だった。そのうちフルタイムは10.9%で、89.1%はパートタイムである。性別では75.8%が女性。ただしこの調査が数えているのは、6か月以上かつ週19時間25分以上の職員に限られ、その線の外側にさらに452,697人がいる。数え方の線が何を見えなくしているかを読む。
ざっくり言うと
- 自治体の臨時・非常勤職員は742,424人で、うち会計年度任用職員が661,368人と89.1%を占める
- 会計年度任用職員のうちフルタイムは72,030人で10.9%、パートタイムは589,338人で89.1%である
- 性別では女性が501,182人で75.8%、男性が159,733人で24.2%だった
- パートタイムの勤務時間は「週23時間15分以上31時間00分未満」が48.4%で最も多く、線のすぐ上の区分は10.9%にとどまる
この調査が数えているのは、任用期間が6か月以上かつ1週間あたりの勤務時間が19時間25分(常勤職員の半分)以上の職員である。その線の外側にも452,697人がいて、うち会計年度任用職員は319,700人にのぼる。臨時・非常勤職員の総数は742,424人で、前年から301人、0.04%の減少にとどまる。
何が起きているのか
66.1万人の9割がパートタイムで、4分の3以上が女性である
74.2万人のうち66.1万人
総務省の調査で、自治体の臨時・非常勤職員は742,424人だった。
内訳は会計年度任用職員が661,368人で89.1%、臨時的任用職員が76,016人で10.2%、特別職非常勤職員が5,040人で0.7%である。
団体別では市区町村等が565,737人で76.2%、都道府県が176,687人で23.8%。住民に近い側に集中している。
9割がパートタイム、4分の3以上が女性
その661,368人の働き方を見ると、偏りが出る。フルタイムは72,030人で10.9%、パートタイムは589,338人で89.1%。9割近くが、常勤職員より短い時間で働いている。
性別も偏っている。女性が501,182人で75.8%、男性が159,733人で24.2%である。性別不明が453人あり、男女の合計は総数と一致しない。
フルタイムが1,919人減り、パートタイムが1,386人増えた
前年と比べると、内訳が動いている。令和5年度はフルタイム73,949人で11.2%、パートタイム587,952人で88.8%だった。
フルタイムは1,919人減り、パートタイムは1,386人増えた。 差し引き533人の減少である。総数の変化は小さいが、中身は片方へ寄っている。
背景と文脈
調査は勤務時間と任用期間で線を引き、その外側にさらに45.2万人がいる
何をしている人たちか
一般事務職員が215,422人で32.6%と最も多く、次いで技能労務職員が90,999人で13.8%、保育所保育士が56,347人で8.5%。教員・講師が4.9%、教育業務支援員が3.9%、看護師が2.9%、図書館職員が2.8%、放課後児童支援員が2.7%と続く。
窓口の対応、保育、給食、図書館、放課後の居場所。住民が自治体と接する場面の多くを、この人たちが担っている。
資料は職種の定義も置いている。技能労務職員には給食調理員が含まれる。事務補助職員は一般事務職員のうち常勤職員の補助業務を行う者を指す。
制度は令和2年に始まった
会計年度任用職員という制度は、令和2年4月に始まった。それまで自治体の臨時・非常勤職員は、根拠となる規定がばらばらで、期末手当も支給できなかった。制度を統一し、期末手当を支給できるようにしたのがこの改正である。処遇の改善を意図した制度だった。
ただし任期は1会計年度以内である。年度末に一度切れ、翌年度に改めて任用される。同じ人が続けて働くことは多いが、それは制度上の継続ではない。
時給は事務補助職員で1,118円
金額も調査されている。1時間あたりの給料または報酬の額を、団体ごとに単純平均した数字である。
事務補助職員は2,375団体で平均1,118円、図書館職員は1,385団体で1,163円、保育所保育士は1,377団体で1,269円、消費生活相談員は866団体で1,502円、義務教育の教員講師は1,207団体で1,697円。地域手当に相当する報酬も含んだ額である。
平均額は団体ごとの単純平均であって、働いている人の平均ではない。 職員が多い団体も少ない団体も、1団体として同じ重みで数えられている。
1,000円以下の団体は1,077から243へ減った
分布も出ている。事務補助職員の1時間あたりの額は、1,000円超1,100円以下の区分に属する団体が1,078で最も多く、1,000円以下は243団体である。
前年は区分の切り方が違う。令和5年度は900円以下が36団体、900円超1,000円以下が1,041団体で、合わせて1,077団体が1,000円以下だった。母数は2,505団体である。
1,000円以下の団体は、43.0%から10.2%へ下がった。 平均額も令和2年度990円、令和5年度1,059円から1,118円へ動いている。3年で128円、12.9%の上昇である。
数え方の線は、常勤の半分に引かれている
調査の対象は、こう定義されている。
任用期間が6ヶ月以上かつ1週間当たりの勤務時間が19時間25分(常勤職員の半分)以上の職員が対象
つまり、6か月未満の人と、週19時間25分未満の人は、742,424人に入っていない。
その外側の人数も、同じ資料に載っている。452,697人で、うち会計年度任用職員が319,700人、特別職非常勤職員が121,934人、臨時的任用職員が11,063人。合わせると、自治体で働く臨時・非常勤の人は約120万人になる。
構造を読む
常勤の半分という線が、数えられる人と数えられない人を分けている
線のすぐ上に集まっているわけではない
パートタイムが89.1%を占めるなら、線のすぐ上に人が多いのではないか。同じ資料に、それを確かめる表がある。
パートタイム589,338人の1週間あたりの勤務時間は、19時間25分以上23時間15分未満が64,055人で10.9%、23時間15分以上31時間00分未満が285,468人で48.4%、31時間00分以上37時間30分未満が175,502人で29.8%、37時間30分以上が64,313人で10.9%。
線のすぐ上の区分にいるのは10.9%である。89.1%は週23時間15分以上働いている。 最も多いのは23時間15分以上31時間00分未満で、資料は週3日勤務(1日7時間45分)、週4日勤務(1日7時間)、週5日勤務(1日6時間)のような設定がここに当たると書いている。
むしろ10.9%は週37時間30分以上働いている
分布のもう一方の端にも、同じ10.9%がいる。64,313人が、週37時間30分以上働きながらパートタイムに分類されている。
パートタイムの定義は、常勤職員の勤務時間より短いことである。1分でも短ければパートタイムになる。
職種で見ると差がある。週37時間30分以上の割合は、保育所保育士のパートタイム41,399人のうち9,831人で23.7%、技能労務職員は79,732人のうち13,541人で17.0%、一般事務職員は195,586人のうち17,845人で9.1%。
保育所保育士のパートタイムは、4人に1人近くが週37時間30分以上働いている。
線のすぐ上の区分が多い職種は別である。19時間25分以上23時間15分未満の割合は、教育業務支援員が21.7%、教員・講師が20.0%、放課後児童支援員が18.1%で、いずれも学校に関わる職種である。
「ほとんど動いていない」は、線の内側だけの話である
総数は前年から301人、0.04%の減少で、ほとんど動いていないように見える。線の外側を足すと、見え方が変わる。
会計年度任用職員は、線の内側で661,901人から661,368人へ533人減った。同じ期間に、線の外側では306,376人から319,700人へ13,324人増えている。
内側と外側を足すと、968,277人から981,068人へ12,791人、1.3%増えている。
減ったのは特別職非常勤職員である
線の外側の合計は476,615人から452,697人へ23,918人減った。この減少の中身は一つに寄っている。
特別職非常勤職員は線の外側で160,969人から121,934人へ、39,035人減った。会計年度任用職員は13,324人増え、臨時的任用職員は1,793人増えている。
線の内側と外側を合わせた総数は、1,219,340人から1,195,121人へ24,219人減った。その内訳を見ると、減ったのは特別職非常勤職員であって、会計年度任用職員は増えている。
線の内と外で、担い手は同じ
線を常勤の半分に引くと、見える人数がおよそ6割になる。 週19時間25分で働く人は数えられ、週19時間20分で働く人は数えられない。線の位置に理屈はあるが、線の外にいる人が45万人いることは、数字を読むときに一緒に見ておく必要がある。
外側の45万人について、性別も職種も勤務時間の分布も、この資料には載っていない。内側についてだけ、4分の3以上が女性だと分かっている。
公共サービスの現場は、常勤より短い時間で働く女性によって支えられている。同じ構図は「時間がない」は個人の問題ではない(このサイトの記事)で見た無償労働の偏りとつながる。任期が1年で区切られ、勤務時間が常勤の半分から常勤直下までのどこかに置かれた仕事に、誰が就きやすいかという問題である。
分かっていないこと
分かっているのは、線の内側の人数と内訳、線の外側の人数だけである。分かっていないことが三つある。
一つは、 線の外側45万人の中身 である。性別も職種も勤務時間も公表されていない。
二つは、 同じ人が何年続けているか である。任期は1会計年度で、この調査は毎年4月1日時点の人数を数える。前年と同じ人かどうかは分からない。
三つは、 時給の分布が地域別にどうなっているか である。1,000円以下の243団体がどの都道府県にあるかは載っていないので、その地域の最低賃金と突き合わせることはこの資料からはできない。
指標の選び方が結果を左右する構図はアウトカム指標の設計(このサイトの記事)で扱ったが、ここでは指標の分母そのものが線引きで決まっている。数えられていないものは、政策の対象にもなりにくい。
この記事で使った統計の出典
- 1総務省 令和6年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果(任用件数等)(令和6年4月1日時点) 出典を開く
- 2総務省 令和5年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果(任用件数等)(令和5年4月1日時点) 出典を開く
- 3総務省 令和5年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果(任用件数等)(令和2年度・令和5年度) 出典を開く
参考書籍
- 『生活保障のガバナンス -- ジェンダーとお金の流れで読み解く』(外部サイト、新しいタブで開きます)(大沢真理、有斐閣)。誰の暮らしが何によって支えられているのかを、ジェンダーとお金の流れから検証した一冊。公共サービスの担い手の偏りを制度の側から読むのに使える。
参考文献
令和6年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果(任用件数等) — 総務省 自治行政局公務員部 (2024). 総務省
会計年度任用職員制度等に関する調査結果(施行状況の概要等) — 総務省 (2024). 総務省
令和5年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果(任用件数等) — 総務省 自治行政局公務員部 (2023). 総務省
