総務省消防庁の調査で、令和7年4月1日現在の消防団員は732,223人となり、前年から14,458人減った。入団は37,757人あり、退団が52,215人である。重点的に取り組んできた女性団員、学生団員、機能別団員はいずれも増えているが、増加分を合計しても3,944人で、減少幅の27%にとどまる。増やす施策が効いていても総数が減り続ける構造を読む。
ざっくり言うと
- 令和7年4月1日現在の消防団員は732,223人で、前年から14,458人、1.9%減った
- 入団者は37,757人、退団者は52,215人で、差し引き14,458人の減少になる
- 女性団員は3.1%増、学生団員は6.3%増、機能別団員は7.0%増と、いずれも増えている
- 入団者の減少の83%は21〜30歳が担っており、51歳以上の入団はむしろ増えている
令和7年4月1日時点の消防団員数は732,223人で、前年から1.9%減った。昭和29年には1,944,233人おり、平成2年に100万人を割り込んでいる。処遇の面では、年額報酬・出動報酬・各報酬の支給方法について基準を満たす市区町村が92%を超えた。
何が起きているのか
入る人はいるが、出る人がそれを上回っている
入団37,757人、退団52,215人
総務省消防庁の調査で、令和7年4月1日現在の消防団員は732,223人となった。前年から14,458人、1.9%の減少である。
減った理由の内訳が、同じ資料に書かれている。入団者数が37,757人、退団者数が52,215人。差し引きで14,458人減った。
入る人がいないわけではない。1年で3万7千人が新しく入っている。それを上回る5万2千人が抜けている。
退団は2年続けて減っている
資料の見出しは、そこにもう1行足している。
消防団員数は依然として減少傾向にあるものの、退団者数は2年連続の減少となった。
推移が図で示されている。退団者数は令和5年度57,303人、令和6年度56,071人、令和7年度52,215人。2年で5,088人減っている。
一方、入団者数は令和6年度の40,082人から令和7年度の37,757人へ2,325人減った。抜ける人は減り、入る人も減った。
10年で見ると、崩れたのは入る側である
同じ図に10年分が載っている。平成27年度は入団52,129人、退団58,206人だった。
入団は10年で14,372人、27.6%減った。退団は5,991人、10.3%の減少にとどまる。 差は6,077人から14,458人へ広がった。
減っているのは両方だが、速さが違う。
条例で定めた数は862,625人である
もうひとつ、資料に並んでいる数字がある。条例定数は862,625人で、実員数は732,223人。
定数に対して84.9%で、130,402人分の欠員がある。 条例定数は市町村の条例が定めた数であって、必要な人数を積み上げたものではない。それでも、自治体が自ら定めた数には届いていない。
背景と文脈
重点3分野はいずれも増えており、施策自体は効いている
重点3分野はいずれも増えている
消防庁が重点的に取り組んできた分野がある。女性、学生、機能別の3つで、いずれも増えている。
女性団員は29,478人で883人、3.1%の増加。女性団員がいる消防団は1,775団で、前年から29団増えた。女性団員がいる消防団の割合は81.8%で、平成27年度の64.3%から17.5ポイント上がっている。
学生団員は7,568人で446人、6.3%の増加。学生団員がいる消防団は896団で34団増えた。学生消防団活動認証制度を導入した市町村は417で、平成27年度の36から11.6倍になった。
機能別団員は、活動の内容や時間を限って参加する仕組みである。全ての活動に出るのではなく、たとえば大規模災害のときだけ、あるいは平日の昼間だけ、といった形をとる。40,195人で2,615人、7.0%の増加となり、3分野のなかで伸び幅が最も大きい。制度を導入した市区町村は803で、前年から53増えた。
10年で見ると伸びは大きい。女性団員は22,747人から29,478人へ29.6%、学生団員は3,017人から7,568人へ150.8%、機能別団員は14,196人から40,195人へ183.1%増えた。3分野の10年の増加分を合計すると37,281人になる。
処遇の基準は9割超の市区町村が満たした
年額報酬、出動報酬、それぞれの支給方法について、基準を満たす市区町村が92%を超えた。報酬が個人にきちんと支払われる形が広がっている。
30代以下は33.5%である
年齢の構成も同じ資料に載っている。資料の見出しはこう書いている。
年齢階層別に消防団員数を見ると、若年層の団員構成率が減少しており、30代以下は4割弱程度(33.5%)にとどまる。
内訳は19歳以下0.4%、20〜29歳9.0%、30〜39歳24.1%、40〜49歳34.8%、50〜59歳21.5%、60歳以上10.2%。60歳以上のうち65歳以上は4.5%である。
4年前と比べると動きが速い。令和3年度は19歳以下0.3%、20〜29歳11.1%、30〜39歳30.1%で、30代以下は4割を超えていた。
入団者数
- 平成27年度
- 52,129人
- 令和7年度
- 37,757人
- 10年の変化
- −14,372人(−27.6%)
退団者数
- 平成27年度
- 58,206人
- 令和7年度
- 52,215人
- 10年の変化
- −5,991人(−10.3%)
差は6,077人から14,458人へ広がった。退団は2年連続で減っているが、入団の落ち方のほうが速い。
都道府県で18倍近い差がある
地域差も大きい。人口10万人あたりの団員数は全国平均で589人。最も多いのは佐賀県の1,981人、最も少ないのは大阪府と沖縄県の112人である。
17.7倍の差がある。 東京都は152人、神奈川県は190人、埼玉県は177人で、人口の多い都府県が下位に並ぶ。
構造を読む
分子を増やす施策では、分母の減少を止められない
3分野を足しても、減少幅の27%である
施策は効いている。3分野とも増えており、処遇の改善も9割超の市区町村で進んだ。それでも総数は減る。
数を合わせると理由が見える。女性883人、学生446人、機能別2,615人で、増加分の合計は3,944人。全体の減少幅14,458人の27.3%である。重点3分野をすべて足しても、減った分の4分の1しか埋まらない。
しかも、この3分野は互いに重なりうる。女性の学生団員も、機能別の女性団員もいる。単純に足した3,944人が実際の増加分だとは限らない。
入団の減少の83%は、21〜30歳が担っている
入団が誰の分減ったのかも、同じ資料に載っている。 年齢階層別の入団者数の推移である。
21〜30歳の入団は平成27年度の23,001人から令和7年度の11,052人へ11,949人、51.9%減った。半分になっている。
31〜40歳の入団者は平成27年度16,018人から令和7年度9,572人へ、10年で4割ほど減った。
一方で増えている層もある。20歳以下は3,977人から4,291人へ7.9%、41〜50歳は6,030人から7,057人へ17.0%、51歳以上は3,103人から5,785人へ86.4%増えた。
入団者の減少14,372人のうち、21〜30歳だけで11,949人、83.1%を占める。 51歳以上の入団はこの10年で1.9倍近くになっている。
- 21〜30歳−11,949人23,001 → 11,052(−51.9%)
- 31〜40歳−6,446人16,018 → 9,572(−40.2%)
- 51歳以上+2,682人3,103 → 5,785(+86.4%)
- 41〜50歳+1,027人6,030 → 7,057(+17.0%)
- 20歳以下+314人3,977 → 4,291(+7.9%)
資料は「下げ止まり」と書いている
同じ図に、消防庁の読み方が添えられている。
各年齢階層別の入団者数はここ数年、一定の水準で推移。特に、若年層(20歳代、30歳代)の入団者数減少も下げ止まりの傾向。
令和4年度からの4年を見れば、そう読める。21〜30歳は令和4年度10,727人、令和5年度11,203人、令和6年度11,832人、令和7年度11,052人。底は令和4年度で、2年上がってから下がった。
ただし、令和7年度は20歳代も30歳代も前年より減っている。 21〜30歳が780人減、31〜40歳が796人減である。「下げ止まり」は、その両方が下がった年に書かれている。
分子を増やす施策と、分母の減少を止める施策は別のものである
女性や学生に入ってもらう取組は、新しく入る人を増やす。退団する人を減らすわけではない。5万2千人が抜ける流れが続く限り、3千9百人の上乗せでは追いつかない。
そして、入団の側で起きているのは全体の落ち込みではなく、21〜30歳の半減である。 41歳以上と20歳以下は増えている。年齢の構成が入口で変わり、その結果として在籍者の30代以下が4年で8ポイント下がった。
機能別団員の伸びが最も大きいことは、この点で示唆的である。全ての活動に参加するのではなく、できる範囲で関わる形なら人が集まる。裏を返せば、従来の形での参加が難しくなっている。仕事、家族の事情、住んでいる場所。地域に住み、平日の昼間も動ける人という前提が、成り立ちにくくなっている。
分かっていないこと
分かっているのは、入団と退団の人数、年齢階層別の入団者数、在籍者の年齢構成である。分かっていないことが二つある。
一つは、 退団の理由 である。定年、転居、仕事の都合、健康。この資料に内訳はない。在籍者の年齢構成は分かるが、それは辞めた理由を示すものではない。
二つは、 条例定数と実員数の差130,402人が何を意味するか である。定数は市町村の条例が定めた数で、その根拠がこの資料には書かれていない。
同じ構図は、地域の担い手全般に出ている。クマの人身被害が過去最多216件(このサイトの記事)で見たのは、里山という境界を管理する人が過疎で消えたという話だった。消防団も、地域に人がいることを前提にした仕組みである。
制度が用意されていても届かないという構図は制度からの排除と未受給(このサイトの記事)で扱ったが、ここでは制度を担う側が細っている。災害のときに動く人の数は、平時の人口構成の帰結として決まる。
この記事で使った統計の出典
- 1総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(令和7年4月1日現在) 出典を開く
- 2総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(令和5〜7年度) 出典を開く
- 3総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(令和6〜7年度) 出典を開く
- 4総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(平成27年度) 出典を開く
- 5総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(平成27〜令和7年度) 出典を開く
- 6総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(令和3年度) 出典を開く
- 7総務省消防庁 消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(令和4〜7年度) 出典を開く
参考書籍
- 『人口減少社会のデザイン』(外部サイト、新しいタブで開きます)(広井良典、東洋経済新報社)。人口が減る前提で社会をどう組み直すかを、都市と地域の両面から論じた一冊。担い手を前提にした仕組みの限界を考えるのに使える。
参考文献
消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果 — 総務省消防庁 (2025). 総務省消防庁
消防団の組織概要等に関する調査(令和7年度)の結果(報道資料) — 総務省 (2025). 総務省
令和7年版 消防白書 — 総務省消防庁 (2026). 総務省消防庁



