メインコンテンツへスキップ
お問い合わせ

一般社団法人 社会構想デザイン機構

〒112-0001 東京都文京区白山2-22-20
実践ガイド — 資金・申請

休眠預金等活用制度の申請実践ガイド(2026年度版)公募要領から読む要件と準備

更新日
ISVD編集部
約12分で読めます

2026年度の資金分配団体(通常枠)公募要領をもとに、申請できる団体の条件、助成金の内訳、自己資金の割合、審査で見られる点、初めて申請する団体向けの支援プログラムまでを整理しました。数値はすべて公募要領の記載から引いています。

XFBThreads

ざっくり言うと

  1. 事業費は「実行団体への助成費85%以上・管理的経費15%以下」に分かれる
  2. 実行団体は事業費の20%以上を自己資金または民間資金で確保するのが原則
  3. 初めて申請する団体にはワークショップと個別面談の支援プログラムがある

はじめに

この記事が何をもとに書かれているかと、記事の位置づけ

この記事は、JANPIAが公表した2026年度 資金分配団体(助成)通常枠第1回の公募要領をもとに書いている。数値や要件は、すべて要領の記載から引いた。

休眠預金等活用制度は、10年以上入出金のない預金を原資として、行政が対応困難な社会課題の解決にあてる仕組みである。制度の全体像は休眠預金活用制度ガイド(このサイトの記事)にまとめた。本稿はその応用編として、申請にあたって実際に確認すべき要件を扱う。


お金がどう流れるか

3階層の資金の流れと、申請先の決まり方

休眠預金の資金は3つの階層を通って現場に届く。

  1. 指定活用団体(JANPIA)。制度全体を運営し、資金分配団体を公募で選ぶ
  2. 資金分配団体。JANPIAから助成を受け、実行団体を公募で選んで資金を配り、監督する
  3. 実行団体。現場で社会課題の解決事業を行う

NPOがJANPIAに直接申請することはできない。資金分配団体が行う公募に応募するのが実行団体の道である。したがって「どの資金分配団体が、どのテーマで公募を出すか」を追うことが、申請準備の出発点になる。

2023年には第2階層に活動支援団体が加わった。資金を配らず、人材・情報面の支援だけを行う枠である。支援内容は、事業実施(案件形成、ネットワーク形成)、組織運営(ガバナンス、資金管理)、広報・ファンドレイジング、社会的インパクト評価(評価支援、ロジックモデル作成等)の4分野とされている。


資金分配団体になるための条件

公募要領に書かれている資格要件と、対象にならない団体

ここから先は、資金分配団体として申請する場合の要件である。実行団体を目指す読者は、応募先である資金分配団体がどういう基準で選ばれ、どういう制約の下で資金を配るのかを知る材料として読んでほしい。実行団体に直接かかる条件は、次節の自己資金の項に出てくる。

2026年度通常枠の公募要領は、資金分配団体の申請資格を少数の要件で定めている。実行団体への助成と非資金的支援ができること、JANPIAが規定するガバナンス・コンプライアンス体制等を備え、公正かつ適確に業務を遂行できることが柱である。

法人格の種類による制限はない。 内閣府のQ&Aは「非営利団体(社団法人、財団法人、特定非営利活動法人、社会福祉法人、学校法人等)だけでなく、営利団体(株式会社等)も資金分配団体・実行団体に選定されることができます」と記している。

一方、次に当たる団体は対象にならない。

区分内容
目的による除外宗教の教義を広め儀式行事を行い信者を教化育成することを主たる目的とする団体/政治上の主義を推進・支持・反対することを主たる目的とする団体/特定の公職の候補者や政党を推薦・支持・反対することを目的とする団体
反社会的勢力暴力団、その統制下にある団体、暴力・威力と詐欺的手法で経済的利益を追求する反社会的団体
過去の措置指定活用団体・資金分配団体・活動支援団体・実行団体等の選定を取り消され、取消しの日から3年を経過しない団体
役員の要件禁錮以上の刑や法の規定による罰金刑を受け、執行を終えた日等から3年を経過しない者が役員にいる団体
独立性ガバナンス・コンプライアンスの体制面で特定の企業・団体等から独立していない団体
法人類型独立行政法人および国立大学法人(民間の団体に該当しないため)
利益相反JANPIAの役員・審査委員が役員に就いている団体、退任後6か月を経過していない団体

設立年数や決算年数の下限は設けられていない。 提出書類の欄には「過去3年分。設立から3年未満の団体は、提出可能期間分のみ提出してください」と注記があり、設立間もない団体も想定されている。

2団体以上で共同して意思決定と実施を行う場合は、共同事業体(コンソーシアム)での申請ができる。


助成金の内訳

助成額・自己資金・PO関連経費・評価関連経費の区分と割合

申請書を書く前に、お金の区分を押さえておく必要がある。公募要領は総事業費を次の式で定義している。

総事業費 = A(助成額)+ B(自己資金・民間資金)+ C(PO関連経費)+ D(評価関連経費)

このうちJANPIAからの助成は A・C・D で、B は各団体が自ら確保する。補助率は「助成額(A)÷ 事業に係る経費(A+B)」で計算する。

助成額(A)の内訳

区分内容割合
実行団体の助成に充当される費用資金分配団体から実行団体に対する助成費用。ただし社会的インパクト評価に係る実行団体への助成金は「評価関連経費」として支払われるため、ここには含まないAの85%以上
管理的経費役職員の人件費、管理部門などの管理経費、事務所の家賃等。本事業に要する経費として特定が難しいものの一定の負担が生じている経費、活動を実施するための調査費等Aの15%以下

⚠️ この85%と15%は、Aだけを分母にした割合である。積算の手引きはAを「事業費」と呼び、 「『実行団体への助成』の助成申請額は、『事業費』の助成申請額に対して85%以上(管理的経費が 15%以下)とします」と書いている。CのPO関連経費とDの評価関連経費は分母に入らない。 JANPIAからの助成額全体(A+C+D)で計算すると割合が変わるので、資金計画を作るときは Aの中だけで見ること。

管理的経費に人件費を含む場合は、その旨と人件費水準の幅や平均値等を特記して公表する必要がある。共通的経費など申請事業のみの経費として特定が難しい費用は、他事業と按分し、算出根拠を明らかにする。

自己資金・民間資金(B)

ここは実行団体に直接かかる条件である。助成期間合計の事業費の20%以上を、自己資金または民間からの資金で確保することが原則とされている。

財務状況や緊急性のある場合など、希望する団体には理由の明示を求めたうえで自己負担分を減じる扱いもある。ただし複数年度の事業では、助成終了後の事業継続を見据えて、最終年度の補助率は80%以下とされる。

公募要領はこの原則の趣旨を「休眠預金等に係る資金に依存した団体を生まないための仕組み」と説明している。資金分配団体の選定では、資金基盤(寄附等による自己資金比率、他の資金調達状況等)、事業基盤(休眠預金等以外を含めた事業規模、助成事業の経験等)、組織基盤(職員数、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備状況等)、実行団体への支援方針が総合的に評価される。

助成申請額の計算方法は、公募要領とは別に「積算の手引き」が用意されている。予算書を作る際はそちらを参照する。


優先的に解決すべき社会の諸課題

申請事業が該当する必要のある8分野

申請する事業は、次の8分野のいずれか、または複数・複合的な課題の解決に資するものである必要がある。

(1)子ども及び若者の支援に係る活動

  1. 経済的困窮など、家庭内に課題を抱える子どもの支援
  2. 日常生活や成長に困難を抱える子どもと若者の育成支援
  3. 社会課題の解決を担う若者の能力開発支援

(2)日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動

  1. 働くことが困難な人への支援
  2. 孤独・孤立や社会的差別の解消に向けた支援
  3. 女性の経済的自立への支援

(3)地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動

  1. 地域の働く場づくりや地域活性化などの課題解決に向けた取組の支援
  2. 安心・安全に暮らせるコミュニティづくりへの支援

この8つ以外でも、社会の諸課題の解決において多大な影響や効果が期待され優先して取り組むべきと考えられるものは、解決策や事業目標に関する提案ができる。

なお、資金の活用にあたっては9つの基本原則(国民への還元/共助/持続可能性/透明性・説明責任/公正性/多様性/革新性/成果最大化/民間主導)が定められている。これは「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針」(平成30年3月30日内閣総理大臣決定)によるもので、申請書の内容がこれらと整合しているかは審査の下敷きになる。


審査で見られること

評価の4段階と、申請の方法・日程

申請の実績

2026年度の結果はまだ公表されていないため、直近で結果が出ている年度を挙げる。2024年度 通常枠第1回では、70件の申請に対して14件が採択された。回によって申請数と採択数は変わるため、比率を一般化せず、応募しようとする回の公募結果を確認してほしい。

評価の4段階

公募要領は評価を事業の実施段階に応じて4つに分けている。申請時点で必要になるのは、このうち事前評価の設計である。

段階内容
事前評価事業開始時に実施する評価
中間評価複数年度にわたる事業の進捗状況を把握する評価
事後評価事業の終了する際に成果の達成状況や事業の妥当性を検証する評価
追跡評価課題の解決に時間を要する事業について、資金の活用後しばらく経過した後に副次的成果や波及効果等を把握する評価

事前評価・中間評価・事後評価は団体による自己評価が基本である。追跡評価だけは事業期間終了後にJANPIAが対象事業を選定し、資金分配団体と協働して実施する。

評価計画にはやTheory of Change(このサイトの記事)が用いられる。作り方はロジックモデルガイド(このサイトの記事)、指標の設計はアウトカム指標の設計(このサイトの記事)にまとめた。評価の詳細な考え方は、JANPIAが公開している「休眠預金活用における社会的インパクト評価」に記載がある。

申請の方法と日程

申請は公募受付システムからの書類アップロードで行う。提出後の加筆・修正はできない。 申請書類には「情報公開同意書」の確認と承諾が含まれる。

2026年度通常枠のスケジュールは次のとおりだった。

回申請受付開始公募締切
第1回6月15日(月)6月24日(水)17時
第2回10月21日(水)10月30日(金)17時

公募説明会と個別相談会も実施される。


初めて申請する団体への支援

申請サポートプログラムの内容と日程

2026年度は申請サポートプログラムが用意された。対象は、2026年度資金分配団体(通常枠)への申請を予定していて、これまでに資金分配団体(通常枠)・活動支援団体に採択されたことのない団体である(緊急枠のみの採択経験がある団体は対象に含まれる)。

内容は、社会課題の構造化と助成プログラムのつくり方を扱うオンラインのワークショップと、その後の書類提出、フィードバック面談(上限1回、1回あたり最大45分)である。申込みをしたすべての団体にワークショップとフィードバックが実施される。

2026年度第1回の日程は、受付が4月10日から14日、ワークショップが4月17日と23日(2回とも同じ内容で、いずれかに参加)、書類提出が5月11日、フィードバック面談が5月18日から22日だった。公募締切(6月24日)の2か月前に申込みが締め切られている点に注意したい。

第2回に申請する場合の道も用意されている。要領には「2026年度通常枠第1回公募でなく第2回公募に申請する場合には、公募申請の意向のみの回答をしてください。別途、第2回公募に向けた対応についてご案内いたします」とある。第1回のサポートプログラムの受付が終わっていても、第2回を目指すなら問い合わせる価値がある。


採択後に続く義務

取得財産の処分制限と、不動産の扱い

財産の処分制限

事業の実施により取得し、または効用の増加した財産は、助成期間中および事業終了後5年間(建物については法人税法に定める減価償却資産の耐用年数の間)、善良な管理者の注意をもって管理する義務がある。

事業計画書に定める事業以外の目的で使用・譲渡・交換・貸付け・担保設定などの処分を行う場合は、JANPIAの事前の書面による承諾が必要である。処分により金銭その他の利益を得た場合、JANPIAはその全部または一部の返還を求めることができる。

財産は固定資産台帳その他の書類を備えて管理する。また、本事業を含む毎年度の決算書類について、内部監査または外部監査を実施する。

不動産の扱い

建物や土地を伴う事業を考えている場合、次の点を先に確認しておきたい。

  • 土地の購入は助成の対象外で、対象は賃貸のみ
  • 建物も賃貸が原則。購入または新築は「事業目的の達成のために必要不可欠であり、他に代替手段がない場合に限り特例として認めることとします」という扱い
  • 特例が認められた場合も、JANPIAが不動産鑑定士等による評価を行い、当該評価額の80%を上限に助成する
  • 建物を購入または新築する事業を計画する場合は、申請前にJANPIAに相談する

拠点整備を資金計画の柱に据えると、この条件で行き詰まることがある。施設が必要な事業では、賃貸や既存施設の活用を含めて資金の組み立てを考えるほうが、制度の設計に沿う。


まとめ

準備の要点

公募要領を読むと、この制度が申請団体に求めているものが見えてくる。実行団体への資金が85%以上という配分は配る側の取り分を抑える設計であり、自己資金20%以上の原則は「休眠預金等に係る資金に依存した団体を生まないための仕組み」だと要領自身が説明している。5年間の財産管理義務も、公的な資金の性格から来る。

申請の準備で先に固めるべきは、事業が8分野のどれに当たるかと、事業費の20%をどう確保するかの2点である。そのうえで評価計画を組み立てる。初めて申請するなら、申請サポートプログラムに申し込むのが実質的な第一歩になる。第1回の受付は公募締切の2か月前に終わっているが、第2回に向けた案内は別途受けられる。

申請の準備で詰まったときに

どの制度が使えるかの調べ物から、申請計画とロジックモデル、予算書の作成まで。初回相談は無料。

この記事で使った統計の出典

  1. 1JANPIA「資金分配団体向け積算の手引き」(Version 2.0)(2024) 出典を開く

参考文献

2026年度 資金分配団体(助成)通常枠第1回 公募要領 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2026)

休眠預金等活用制度について — 内閣府 (2025)

休眠預金等の活用に関するQ&A — 内閣府 (2024)

公募結果 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2026)

訂正履歴

  1. — 85%と15%の分母を「助成額」から「事業費(A)」に改めました。

    訂正前
    助成額の85%以上/助成額の15%以下
    訂正後
    Aの85%以上/Aの15%以下(Aを積算の手引きは「事業費」と呼ぶ。PO関連経費と評価関連経費は分母に入らない)

    誤った理由 JANPIA「資金分配団体向け積算の手引き」は「『実行団体への助成』の助成申請額は、『事業費』の助成申請額に対して85%以上(管理的経費が15%以下)とします」と定めています。分母は事業費であり、JANPIAからの助成額全体(A+C+D)ではありません。「助成額の85%」と書くと分母が広く読めるため、資金計画の金額がずれます。

  2. — 2026年度公募要領に記載のない「制度変更点」3件を削除し、要領の記述に基づいて全面的に書き直しました。

    訂正前
    「成果連動型(Pay for Success)助成の本格導入」「伴走支援加算(最大10%)の新設」「紙ベースの申請受付の完全廃止」の3件を、2026年度の制度変更点として記載していました。
    訂正後
    3件とも削除しました。助成金の構成、自己資金の割合、審査の観点、申請サポートプログラムなど、2026年度公募要領に記載のある内容に差し替えています。

    誤った理由 本記事の公開は2026年4月1日、2026年度資金分配団体(通常枠)の公募開始は同年4月3日でした。公募要領が公表される前に「その年度の変更点」を数値つきで書いており、記載の裏づけがありませんでした。公表後の公募要領を確認したところ、上記3件のうち2件は要領に該当する記述がなく、申請方法についても「2026年度からの変更」という記述はありませんでした。

  3. — 自己資金の割合を、公募要領の記載どおり「事業費の20%以上」に改めました。

    訂正前
    自己資金10〜20%の拠出が望ましい
    訂正後
    実行団体は助成期間合計の事業費の20%以上を自己資金または民間資金で確保することが原則

    誤った理由 公募要領では「助成期間合計の事業費の20%以上を自己資金又は民間からの資金で確保することを原則とします」と定められています。当サイトの基礎編ガイドでは20%以上と書いており、記事間で数値が食い違っていました。

  4. — 「間接経費率は近年15%が一般的」という記述を削除しました。

    訂正前
    間接経費率はJANPIAの公募要項で定められた上限(近年は15%が一般的)を超えない設計
    訂正後
    助成額のうち管理的経費は15%以下、実行団体への助成に充当される費用は85%以上と定められている

    誤った理由 2026年度公募要領に「間接経費」という区分はありません。近い規定は資金分配団体の「管理的経費」で、助成額の15%以下と定められています。別の概念に同じ数値を当てていました。

  5. — 採択率の記述を、公表されている公募結果の実数に置き換えました。

    訂正前
    近年の採択率は約25〜30%
    訂正後
    2024年度通常枠第1回は70件の申請に対し14件が採択されている

    誤った理由 「約25〜30%」の出典としてJANPIA年次報告書を挙げていましたが、該当する記述を確認できませんでした。公表されている公募結果の実数に改めています。回によって比率は変わるため、幅で示すのをやめました。

  6. — 事後モニタリングの年数の記述を、公募要領の財産処分制限の規定に置き換えました。

    訂正前
    事後モニタリングは事業終了後1〜3年
    訂正後
    取得財産の処分制限は事業終了後5年間、建物は法定耐用年数の間

    誤った理由 「事業終了後1〜3年」の根拠を確認できませんでした。公募要領に明記されているのは取得財産の管理義務で、事業終了後5年間(建物は法人税法に定める減価償却資産の耐用年数の間)です。

読んだ後に考えてみよう

  1. 自団体の事業は、優先的に解決すべき社会の諸課題の8分野のどれに当たるだろうか?
  2. 事業費の20%以上を自己資金または民間資金で確保する見通しは立つだろうか?
  3. 事業終了後5年間続く財産の管理義務に、組織として対応できるだろうか?

この記事の用語

ロジックモデル
事業の投入(インプット)から活動、産出(アウトプット)、成果(アウトカム)までの因果関係を図式化したフレームワーク。

関連コンテンツ

XFBThreads

新着コラムをメールで受け取る

週1-2本の社会構造分析コラムを配信します。登録は無料です。

ISVDの活動に参加しませんか?

会員登録で最新の研究・活動レポートをお届けします。協業やプロジェクト参加のご相談もお気軽にどうぞ。

検索

⌘K で検索を開く・閉じる