一般社団法人社会構想デザイン機構
実践ガイド — デジタルツール活用Google for NonprofitsNPOガイド

Google for Nonprofits審査に通るための事業計画の書き方

Google for Nonprofitsの審査をGoodstack経由で通過するための実践ガイド。審査で見られるポイント、事業計画書の書き方のコツ、日本の法人類型別の注意点、否認時の対処法まで、申請から承認までに必要な情報を網羅する。

ISVD編集部
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ざっくり言うと

  1. Google for Nonprofitsの審査はGoodstack経由で行われ、法人格・ウェブサイト・事業内容の公益性が主な評価ポイントである
  2. 日本ではNPO法人・非営利型一般社団法人・公益法人・社会福祉法人が対象であり、法人類型ごとに必要書類が異なる
  3. 否認された場合は3ヵ月後に再申請が可能であり、ウェブサイトの充実と公益性の明示が再審査通過の鍵となる

はじめに

Google for Nonprofits審査の概要と本ガイドの目的を説明

は、非営利団体にとって月$10,000相当の広告枠やGoogle Workspaceの無償利用など、年間数百万円規模の価値を持つプログラムである。しかし、申請すれば自動的に承認されるわけではない。Goodstack(旧Percent)による審査を通過する必要があり、審査では法人格だけでなく、ウェブサイトの質や事業内容の公益性まで確認される。

実際に、申請が否認されるケースは珍しくない。「書類を揃えて出せば通る」という認識で臨むと、予想外の否認に直面することがある。本ガイドでは、審査で見られるポイント、事業計画書の書き方のコツ、日本の法人類型別の注意点、否認された場合の対処法まで、審査通過に必要な実務知識を体系的にまとめる。

なお、Google for Nonprofitsプログラム自体の概要については、シリーズ第1回「Google for Nonprofitsとは」を参照されたい。


審査プロセスの全体像

Goodstack経由の申請フロー5ステップを図解付きで解説

Google for Nonprofitsの申請は、Goodstackを経由した5ステップで構成される。

1
要件確認目安: 1日

法人類型・定款・活動内容の適格性を確認

2
Goodstack登録目安: 1日

アカウント作成・法人情報入力・書類アップロード

3
Goodstack審査目安: 3〜14営業日

法的地位・活動実態・公益性の確認

4
Google登録目安: 即日

認証コードでGoogle for Nonprofitsアカウントを作成

5
サービス有効化目安: 1〜3日

Workspace・Ad Grants・YouTube等を個別に申し込み

図: Google for Nonprofits 申請から利用開始までの5ステップ

ステップ1: 要件確認

申請前に、自団体が対象法人類型に該当するかを確認する。日本では以下の4類型が対象となる。

  • 特定非営利活動法人(NPO法人)
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • 社会福祉法人

営利法人(株式会社・合同会社)、政府機関、病院、学校、宗教法人は対象外である。

ステップ2: Goodstackへの登録

Goodstackのサイトでアカウントを作成し、団体情報を入力する。登録時に求められる情報は以下の通りである。

  • 法人名(日本語・英語)
  • 法人類型
  • 設立年月日
  • ウェブサイトURL
  • 活動内容の説明(英語での記載が推奨される)
  • 法人登記事項証明書(法務局発行)
  • 定款の写し

ステップ3: Goodstackによる審査

提出された情報をもとに、Goodstackが団体の適格性を審査する。審査期間は通常 3〜14営業日 である。追加の書類提出や情報の補足を求めるメールが verifications@mail.goodstack.org から届く場合があるため、迷惑メールフォルダも含めて確認が必要だ。

ステップ4: Google for Nonprofitsアカウントの作成

Goodstackの審査を通過すると認証コードが発行される。このコードを使い、Google for Nonprofitsの管理ページでアカウントを登録する。

ステップ5: 各サービスの有効化

アカウント作成後、ダッシュボードから必要なサービスを個別に申し込む。Google Workspaceの場合はドメイン所有権の証明(DNS TXTレコードの追加等)が追加で必要となる。の場合はGoogle Adsアカウントとの連携が必要である。


審査で見られる3つのポイント

法人格・ウェブサイト・公益性の各評価基準を詳述

Goodstackの審査では、主に以下の3つの観点から団体の適格性が評価される。

1. 法人格の確認

申請団体が対象法人類型に該当し、法的に有効な登録状態であることが確認される。具体的には以下が審査対象となる。

  • 法人登記が有効であること: 登記事項証明書で設立日・所在地・代表者が確認される
  • 法人類型が対象に含まれること: NPO法人・非営利型一般社団法人・公益法人・社会福祉法人のいずれかであること
  • 活動停止状態でないこと: 休眠法人や解散手続き中の法人は対象外

2. ウェブサイトの質と情報の充実度

Googleは 適格性ガイドラインの中で、ウェブサイトの質を重要な審査基準のひとつとして位置づけている。以下に該当する場合、否認される可能性が高い。

  • ウェブサイトが存在しない、または「準備中」と表示される
  • 活動内容の説明が不十分で、団体の目的が不明確
  • 連絡先情報(メールアドレス・電話番号・所在地)の記載がない
  • ウェブサイトの内容がGoogleのポリシーに違反している

ウェブサイト改善のチェックリスト:

項目確認事項
ミッション・ビジョン団体の存在意義と目指す社会像が明記されているか
活動内容具体的な事業内容が説明されているか
成果・実績活動の成果や受益者の声が掲載されているか
組織情報代表者名・設立年・所在地が明記されているか
連絡先メール・電話番号・住所のいずれかが記載されているか
財務情報事業報告書・活動計算書へのリンクがあるか(推奨)

3. 事業内容の公益性

Googleは、申請団体が 明確で実質的な社会的インパクト を持っているかを重視する。以下のような団体は審査で高く評価される傾向にある。

  • 社会課題の解決を主たる目的としている
  • 対象者(受益者)が明確に定義されている
  • 活動の成果が具体的に測定可能である
  • 収益の大部分が公益活動に充てられている

逆に、以下に該当する場合は否認リスクが高まる。

  • 会員向けの相互扶助が主な活動で、社会全体への公益性が不明確
  • 事業内容が営利活動と区別しにくい
  • 政治活動や選挙活動を主たる目的としている

日本の法人類型別の注意点

NPO法人・非営利型一般社団法人・公益法人・社福それぞれの留意事項

NPO法人(特定非営利活動法人)

NPO法人は都道府県または市区町村による認証を受けた法人であり、Google for Nonprofitsの対象として最も審査がスムーズな法人類型である。

準備すべき書類:

  • 法人登記事項証明書
  • 定款の写し
  • 最新の事業報告書

注意点: 認証取消し・解散済みの法人は対象外となる。内閣府の「NPO法人ポータルサイト」で自団体の登録状況を事前に確認しておくことを推奨する。

非営利型一般社団法人

非営利型一般社団法人は 最も審査で注意が必要な法人類型 である。一般社団法人の中でも、法人税法施行令第3条の要件を満たす「非営利型」のみがGoogle for Nonprofitsの対象となる。

非営利型の要件(主なもの):

  • 定款に剰余金の分配を行わない旨が定められていること
  • 定款に解散時の残余財産を国・地方公共団体・公益法人等に帰属させる旨が定められていること
  • 上記に違反する行為を行ったことがないこと
  • 各理事について、理事とその親族等の合計が理事総数の3分の1以下であること

準備すべき書類:

  • 法人登記事項証明書
  • 定款の写し(非営利性要件を充足している旨が確認できるもの)
  • 最新の事業報告書または活動計算書

注意点: Goodstackの審査では、定款の記載内容から非営利型であるかが判断される。定款に剰余金の分配禁止条項や残余財産の帰属条項が 明記されていない場合、非営利型として認められない。申請前に定款を確認し、必要に応じて定款変更の手続きを行うこと。

公益社団法人・公益財団法人

公益認定等委員会による認定を受けた法人であるため、公益性の証明は比較的容易である。

準備すべき書類:

  • 法人登記事項証明書
  • 定款の写し
  • 公益認定書の写し(推奨)

注意点: 公益認定の取消しを受けた法人は対象外となる。認定の有効性を事前に確認しておくこと。

社会福祉法人

厚生労働省または都道府県・市区町村による認可を受けた法人であり、公益性の証明は比較的容易である。

準備すべき書類:

  • 法人登記事項証明書
  • 定款の写し
  • 認可に関する書類

注意点: 医療法人が母体の場合、社会福祉法人としての独立した法人格であることを明示する必要がある。


事業計画書の書き方

審査通過に必要な事業計画の4要素と記載のコツ

Goodstackの審査では、団体のウェブサイトや提出書類から事業内容の実態が確認される。ウェブサイトに掲載する事業計画・活動概要には、以下の4要素を含めることが推奨される。

要素1: 社会課題の特定

取り組む社会課題を具体的に記述する。

良い例: 「東京都内のひとり親世帯における子どもの学習機会格差の解消」

悪い例: 「社会をよくする活動」

課題の深刻さを示す統計データや調査結果を引用できると、説得力が増す。

要素2: 対象者(受益者)の明確化

活動の対象者を具体的に定義する。

良い例: 「東京都内の児童扶養手当受給世帯の小学3年生〜中学3年生」

悪い例: 「支援を必要とするすべての人」

要素3: 活動内容の具体化

実施する事業の内容を、実施頻度・場所・方法を含めて記載する。

良い例: 「週2回(水・土曜日)、区立公民館にて無料学習支援教室を開催。大学生ボランティア20名が個別指導を行い、年間延べ500名の児童・生徒に学習支援を提供」

悪い例: 「学習支援を行っている」

要素4: 成果指標の設定

活動の成果をどのように測定するかを記載する。

良い例: 「参加児童の学力テストの平均偏差値が1年間で3ポイント向上(前年度実績)」「保護者アンケートにおける満足度が90%以上」

悪い例: 「多くの子どもたちの笑顔が増えた」


審査期間とステータス確認

審査の所要期間と進捗確認の方法

審査期間の目安

段階所要期間
Goodstackアカウント登録即日
Goodstack審査3〜14営業日
追加書類提出(該当する場合)提出後さらに5〜10営業日
Google for Nonprofitsアカウント作成即日
各サービスの有効化1〜3営業日

合計で最短 1週間、追加書類が必要な場合は 3〜4週間 を見込むのが現実的である。

ステータス確認の方法

Goodstackのヘルプページからログインすることで、申請のステータスを確認できる。ステータスは以下のいずれかで表示される。

  • Pending Review: 審査待ち
  • Under Review: 審査中
  • Action Required: 追加情報の提出が必要
  • Approved: 承認済み
  • Rejected: 否認

「Action Required」の状態で放置すると、一定期間後に申請が取り下げられる場合があるため、速やかに対応すること。


否認された場合の対処法

再申請の条件と通過確率を上げるための改善策

否認の主な理由

Googleの公式ヘルプによると、否認の主な理由は以下の通りである。

  1. 法人類型が対象外: 営利型の一般社団法人、任意団体、個人事業主など
  2. ウェブサイトの不備: サイトが存在しない、内容が不十分、「工事中」表示
  3. 公益性の不足: 事業内容が会員向けサービスに限定され、社会的インパクトが不明確
  4. 書類の不備: 登記事項証明書が古い、定款の非営利性要件が未記載
  5. 情報の不整合: 提出書類とウェブサイトの記載内容に矛盾がある

再申請の手順

否認から 3ヵ月後 に再申請が可能となる。再申請ページにログインすると「Reapply」ボタンが表示される。再申請後の審査には最大 30日 かかる場合がある。

再申請前にやるべきこと

再申請前に以下を実施することで、通過確率を大幅に向上させることができる。

  1. ウェブサイトの充実: ミッション・活動内容・成果・組織情報・連絡先を網羅する
  2. 事業計画の明確化: 前述の4要素(社会課題・対象者・活動内容・成果指標)を明示する
  3. 定款の見直し(一般社団法人の場合): 非営利性要件の条項が定款に明記されているか確認する
  4. 最新の書類を準備: 発行日から3ヵ月以内の登記事項証明書を取得する
  5. 英語での説明を充実させる: Goodstackの審査は英語が基本のため、団体の活動概要を英語で明確に説明できるようにしておく

まとめ

申請準備の最初のステップ

Google for Nonprofitsの審査は「書類を出せば通る」ものではなく、法人格・ウェブサイト・事業内容の3つが総合的に評価される。特に日本の非営利型一般社団法人は、定款における非営利性要件の充足が最大のハードルとなるため、申請前の確認が不可欠である。

審査通過の最短ルートは、(1) 自団体の法人類型を確認し、(2) ウェブサイトを充実させ、(3) 事業計画を4要素で整理することである。否認された場合でも、3ヵ月後に改善のうえ再申請が可能であるため、最初の否認を最終結果と捉える必要はない。

Google for Nonprofitsの各サービスの活用方法については、シリーズ内の他の記事も参照されたい。


参考文献

Get verified by Goodstack — Google for Nonprofits HelpGoogle LLC (2025). Google for Nonprofits ヘルプセンター

Eligibility guidelines — Google for Nonprofits HelpGoogle LLC (2025). Google for Nonprofits ヘルプセンター

Guidelines Rejected: NOW eligible — Google for Nonprofits HelpGoogle LLC (2025). Google for Nonprofits ヘルプセンター

Submit a new request for a Google for Nonprofits accountGoogle LLC (2025). Google for Nonprofits ヘルプセンター

Legal Framework — Japan NPO CenterJapan NPO Center (2025). Japan NPO Center

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読んだ後に考えてみよう

  1. 自分の団体のウェブサイトは、初めて訪問した人に活動内容と社会的意義が伝わる構成になっているだろうか?
  2. 事業計画書に「誰の」「どのような課題を」「どう解決するか」を具体的に記載できているだろうか?
  3. 非営利型一般社団法人の場合、定款が法人税法上の非営利性要件を満たしていることを書面で証明できるだろうか?

この記事の用語

Google Ad Grants
Google for Nonprofitsの一部として提供される検索広告プログラム。対象非営利団体に月額最大$10,000(年間$120,000)相当のGoogle検索広告枠を無償で付与する。CPC上限$2.00、CTR 5%以上の維持が条件。
Google for Nonprofits
Googleが非営利団体に提供するプログラム。Google Ad Grants(月額最大$10,000相当の検索広告枠)、Google Workspace無償化、YouTube Nonprofit Programなどの特典を含む。日本ではNPO法人・非営利型一般社団法人・公益法人・社会福祉法人などが対象。
非営利型一般社団法人
一般社団法人のうち、定款で非営利性が確保された法人。法人税法施行令第3条の要件を満たすことで、収益事業以外の所得が非課税となる。設立は2名以上の社員で可能で、NPO法人と異なり活動分野の制限がない。
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