ざっくり言うと
- 令和7年3月時点でPark-PFIは全国165公園で活用済み。2017年制度開始から約8年で着実に普及
- 直近の注目事例は立体都市公園活用・スポーツ特化型・グランピング型など業態多様化が進んでいる
- 制度改正の焦点はスモールコンセッションとの連携・小規模自治体支援強化・GX(グリーン化)連動の3方向
2026年時点の統計
165公園の活用状況・都道府県別分布・都市規模別傾向・業態の変化
全国165公園の活用状況
Park-PFI(公募設置管理制度)は、令和7年3月時点で全国165公園で活用されている。2017年(平成29年)の都市公園法改正でPark-PFIが創設されてから約8年。当初は大都市・大規模公園での先行事例が中心だったが、現在は中小規模の自治体・公園にも着実に普及が進んでいる。
全国導入状況の主な数字(令和7年3月時点):
- 導入公園数: 165公園
- 導入自治体数: 110自治体以上(推計)
- 都市規模別: 政令市・中核市が全体の約5割、人口5万人未満の中小市町が約2割
都道府県別・地域別の傾向
活用が進んでいる地域には、都市整備部局によるPark-PFI導入支援・先行事例の横展開が積極的に行われている傾向がある。東北地方では復興まちづくりとの連携事例が多く、九州地方では観光ニーズとの組み合わせ事例が目立つ。
業態の変化:多様化の加速
2017〜2020年の初期は カフェ・飲食系 が大多数を占めていたが、近年は業態の多様化が加速している。
業態の変化傾向:
- カフェ・飲食: 依然として最多だが、比率は低下傾向(初期6〜7割→現在5割程度)
- グランピング・宿泊: 急増(2020年以降に事例が集中)
- スポーツ・健康施設: 増加傾向(フィットネス・テニス・多目的グラウンド)
- 保育所・子育て支援: 新規参入(都市部・住宅地隣接公園で増加)
- 複合型(2業態以上): 増加傾向(単一業態より複合が主流に)
→ 業態別の詳細な比較は公園の収益施設は何がいい?業態別の売上・利益モデルを参照されたい。
直近の注目事例
2024〜2026年に開業・選定された注目3事例の概要と特徴
事例1: 立体都市公園の活用(別府市・春木川パーク)
0.92haという狭小公園 でPark-PFIを実現した先進事例として注目されたのが、大分県別府市の春木川パークだ。通常、Park-PFIは一定の公園面積(3ha以上が目安)が必要とされるが、春木川パークは都市公園法の 立体都市公園 特例を活用し、地上・地上2階・地上3階に機能を積み重ねた。
- 地上1階: スーパーマーケット・テナント(民間収益施設)
- 地上2階: 人工芝グラウンド・屋上緑地(特定公園施設)
- 地上3階: カフェ・眺望デッキ(収益施設)
この事例が示したのは「公園面積が小さい」という制約が、垂直方向の利活用によって克服できることだ。年間収入 1,400万円 という実績は、0.92haの公園としては極めて高い水準である。
事例2: 温泉×Park-PFIの融合(二戸市・カダルテラス金田一)
岩手県二戸市(人口2.3万人)の事例は、 人口2万人台の小規模自治体でもPark-PFIが成立する ことを示した代表的事例だ。地元出資のまちづくり会社「カダルミライ」がSPCを設立し、近隣公園(2ha)に温泉・サウナ・宿泊・レストラン・屋内プールを整備。
土木学会デザイン賞2023年優秀賞を受賞し、地方中小都市の公園再生モデルとして全国から注目を集めた。地域の温泉資源を活かした「その土地でしかできない」事業設計が評価されている。
事例3: グランピング型の拡大(全国で急増中)
宿泊型グランピングをPark-PFIで展開する事例は、2020年以降急増している。青森県むつ市のPARK DAIKANYAMAは「本州最北端のグランピング」として集客に成功。都市近郊の公園でも、「都市の中の非日常体験」としてグランピングを展開する事例が増えている。
グランピング事例の共通点:
- 自然環境・立地の希少性 をコンセプトの核に据える
- 移動可能なトレーラーハウス・グランピングテントを活用してリスクを低減
- 食事・体験プログラムを付加して客単価を上げる(1泊15,000〜40,000円/人)
制度改正の動向
令和7年5月ガイドライン改正の内容・スモコンとの連携強化・GX方針
令和7年5月ガイドライン改正の概要
令和7年5月に改訂された国交省ガイドラインは、以下の点を強化・追記した。
主な変更点:
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サウンディングの2段階推奨の明確化: 従来の「実施を推奨」から「事業発案時・事業化検討時の2段階実施を推奨」へ具体化。段階ごとの目的と実施事項が整理された
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小規模公園・自治体への配慮規定: 人口5万人未満の自治体・面積3ha未満の公園でのPark-PFI実施に際し、サウンディング参加者への加点・コンサルタント費用補助の活用を奨励する記述が追加された
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GX(グリーントランスフォーメーション)連動の規定: 収益施設の整備における再生可能エネルギー設備・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)対応を公募条件の加点要素として設定できることを明記
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スモールコンセッションとの連携: 公有地全体での活用を見据え、公園に隣接する廃校・旧施設等との一体活用について、スモールコンセッション制度との連携可能性に言及
スモールコンセッションとの制度的接続
Park-PFIとスモールコンセッションは、従来は別々の制度として運用されてきたが、両制度の接点が広がりつつある。
接続が生まれる典型パターン:
- 公園に隣接する廃校・旧公民館をスモコンで活用しながら、公園部分をPark-PFIで一体整備
- Park-PFI事業者がスモールコンセッションプラットフォームを通じて自治体とマッチング
- スモコン専門家派遣の対象自治体が、公園活用も含めた包括的なPPP/PFI推進計画を策定
→ スモールコンセッション制度の最新動向については、スモールコンセッション最新動向【2026年版】を参照されたい。
今後の見通し
3〜5年先のPark-PFI普及見通しと、自治体が今準備すべき事項
3〜5年先のPark-PFI普及予測
現在のペースで普及が進むと仮定すると、 2028〜2030年には全国300公園超 での活用が見込まれる。特に以下の3つの動きが普及を加速させると予測される。
加速要因1: 自治体の財政圧力の強まり
社会資本の老朽化対応・維持管理コストの増大が自治体財政に重くのしかかる中、「民間の収益で公園整備費用を賄う」というPark-PFIのモデルは財政的合理性が一層高まる。
加速要因2: 民間事業者の参入経験の蓄積
全国165公園での実績が蓄積され、「Park-PFIで何ができるか」という民間側の知識・ノウハウが深まっている。これが新規参入へのハードルを下げ、小規模自治体でも応募者が確保しやすくなる。
加速要因3: ガイドラインの実務充実
国交省ガイドラインの改訂が続いており、サウンディング・選定基準・公益要件の設計手順が詳細化されている。担当者が「実施できる」と感じやすい環境が整いつつある。
自治体が今準備すべき3点
Park-PFIを3〜5年以内に実施したいと考える自治体は、以下の3点から着手することが推奨される。
準備1: 対象公園の候補を絞る
すべての公園でPark-PFIが成立するわけではない。年間来園者数・周辺の民間需要・建ぺい率緩和の余地・既存施設の老朽化度合いを整理し、有望な候補公園を2〜3件 ピックアップする。
準備2: 庁内の合意形成を始める
Park-PFIは公園担当部署だけでは進められない。財政・法制・都市計画・議会対応の担当部署を巻き込んだ 庁内横断チームの発足 が不可欠だ。首長・副首長への早期報告も重要だ。
準備3: 近隣成功事例の視察
同規模・近似条件の自治体での成功事例を視察し、担当者が「できる」というイメージを持つことが最初の壁を越える有効な手段だ。国交省が開催する Park-PFI担当者向け研修・ワークショップ(年2〜3回程度)への参加も有益だ。
→ Park-PFIの基本的な仕組みと導入フローについては、Park-PFI(公募設置管理制度)完全ガイドを参照されたい。
→ 小規模自治体での事例については、Park-PFI小規模事例ガイドが参考になる。
参考文献
Park-PFI等の活用 (2025)
Park-PFI活用ガイドライン(令和7年5月改正版) (2025)
Park-PFI活用事例集 (2025)