齋藤 亮次/ Ryoji Saito
神山まるごと高等専門学校 教学マネジメント室長・社会科専任講師。厚生労働省公認キャリアコンサルタント、早稲田大学教育総合研究所特別研究員。50ヵ国以上のフィールドワーク経験を持ち、キャリア教育・探究学習・地理教育を専門とする。
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一般社団法人社会構想デザイン機構(ISVD)
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教育資金贈与の非課税措置が終わった: 格差の連鎖を深化させる税制の構造
2026年3月31日、祖父母から孫へ最大1,500万円を非課税で一括贈与できる教育資金贈与の非課税措置が終了した。政府は廃止理由の一つに「格差固定化への懸念」を挙げたが、この制度は13年間にわたって誰を利してきたのか。世帯年収別の教育支出格差と大学進学率のデータから、格差の連鎖メカニズムを読む。
デジタル教科書が『正式教科書』になった日: 閣議決定の制度論的意味
2026年4月7日の閣議決定で、デジタル教科書は「補助教材」から「正式教科書」へと法的地位を変えた。2019年の制度開始から7年をかけた変遷の意味、2027年施行・2030年使用開始までのロードマップ、そしてスカンジナビアが紙に戻り韓国が失敗したタイミングで日本が前進する理由を制度論から読み解く。
不登校35万4,000人・12年連続最多: 増加率2.2%への急減速が示す構造転換
2024年度の不登校は小中合計35万3,970人と12年連続で過去最多を更新した。一方、前年比増加率は2.2%と2021年度の24.9%から急減速し、新規不登校は9年ぶりに減少した。この逆説的な数字が示すのは、コロナ禍急増の一巡と、制度・意識・受け皿の三位一体で始まった構造転換の入口である。
デジタル教科書「正式化」後の現実 : 3形態選択制が固定化する地域格差
2026年4月7日、政府は学校教育法等の改正法案を閣議決定し、デジタル教科書を正式な教科書に位置づける道筋をつけた。施行は2027年4月、小学校での本格適用は2030年度。だがその約1.5ヶ月後の現場では、紙のみ・紙+デジタル併用・デジタルのみという3形態選択制が地域格差を固定化させる構造が見え始めている。高校の整備率は11.5%で小中の99.8%と圧倒的な差があり、教員のICT活用指導力研修受講率は岐阜95.8%・群馬58.8%と37ポイントの開きがある。海外では韓国のAIDTが導入わずか1学期で「教科書」から「教育資料」に格下げされ、世宗市の中高生接続率は0.3-0.5%という数字を残した。日本の正式化は出発点であって、移行期4年間の設計次第で同じ轍を踏むリスクがある。
私立高校「完全無償化」の死角: 所得制限撤廃が拡げる格差
2026年4月施行の高等学校等就学支援金の所得制限撤廃により、私立高校の授業料は「完全無償化」と報じられた。しかし授業料以外の隠れた費用、都道府県間格差、逆進性の問題など、制度が解消できない構造的格差を分析する。
教育に投資しない国 — OECD平均の56%しか出さない日本の公財政支出が生む格差の連鎖
日本の高等教育への公的支出はOECD平均の約56%にとどまり、家計が費用の過半を負担する構造が固定化している。防衛費が文教費の2倍を超える予算配分の中で、教育を「社会投資」として再定義する視座がなぜ必要なのかを、OECDデータと社会投資論から読み解く。

