齋藤 亮次/ Ryoji Saito
神山まるごと高等専門学校 教学マネジメント室長・社会科専任講師。厚生労働省公認キャリアコンサルタント、早稲田大学教育総合研究所特別研究員。50ヵ国以上のフィールドワーク経験を持ち、キャリア教育・探究学習・地理教育を専門とする。
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一般社団法人 社会構想デザイン機構(ISVD)
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ヤングケアラーは高2で4.1%に下がり、大学3年で6.2%に戻る — 世話の相手が、きょうだいから精神疾患の親へ変わる
こども家庭庁の資料で、世話をしている家族が「いる」と答えた割合は小学6年生6.5%、中学2年生5.7%、高校2年生4.1%、そして大学3年生で6.2%に戻る。同時に世話の相手はきょうだいから母親へ移り、その母親の状況は精神疾患が最多になる。終わるケアと終わらないケアが入れ替わる地点を、就職と重なる時期の問題として読む。
子どものSNS利用を年齢で制限する前に — 年齢を確かめる方法が、まだ検討事項の欄にある
こども家庭庁が2026年4月に示した検討資料には、SNS事業者に年齢確認を求めるかどうかが、まだ問いの形で並んでいる。携帯電話事業者からの年齢情報の提供、AIによる年齢判定。いずれも実現可能性を見極める段階にある。年齢で線を引く規制は、線を引く前に、その線を見分ける手段を必要とする。義務の置き場所と識別の手段から、この議論を読む。
考えは書けて、理由が書けない — 全国学力テストの英語で正答28.4%、理由だけが抜けた答案が43.6%
令和8年度の全国学力・学習状況調査の分析結果が8月3日に公表された。文部科学省は思考力・表現力に課題があるとしている。ただし誤答の内訳を見ると、白紙ではない。中学校英語で考えとその理由を書く問題は正答28.4%に対し、考えは書いたが理由を書かなかった答案が43.6%を占める。国語も英語も同じ壊れ方をしている。意見は出ていて、その先の根拠が続かない構造を読む。
教員の精神疾患による離職が過去最多1,319人 — 教職調整額の引き上げは「根」に効くのか
文部科学省の学校教員統計調査で、2024年度に精神疾患で離職した公立小中高の教員が1,319人と過去最多になった。前回比369人増。国は給特法を改正し教職調整額を4%から10%へ段階的に引き上げるが、休職の要因で「長時間勤務」はわずか0.5%にとどまる。金銭の上乗せは、教員が心を病む根に届くのか。離職と欠員が連鎖する負のスパイラルと、対症療法か根治かという論点を読む。
学校のプールが減っていく — 老朽化対応の自治体格差が、泳力習得の格差に変わる
全国の学校が持つ屋外の水泳プールは23,411箇所(スポーツ庁 令和6年度)で、1校あたりの数は小学校で0.87→0.83、中学校で0.65→0.63へと調査のたびに減っている。建設費は1億2,000万円から2億6,900万円、年間の維持費は1校あたり約180万円。地域への開放率は6.9%で学校施設のなかで最も低い。老朽化と猛暑への対応は更新・民間委託・座学化に分かれ、その分岐は自治体の財政力に強く左右される。公教育が担ってきた泳力習得の共通基盤が、家庭の負担能力へと移る構造を読み、何を公教育に残すかを問う。
教員不足を分けるのは「県」だった — 採用倍率4.4倍格差と43自治体悪化の構造
文部科学省の令和7年度教師不足調査は全国で3,827人の不足を示すが、本当の論点は総数ではない。自治体ごとに「悪化43・改善23・不足ゼロ8」と分布が割れ、採用倍率は高知4.8倍と秋田1.1倍の間に4.4倍もの開きがある。教員不足は均一な不足ではなく、地域格差が固定化する局面に入っている。

