健康・医療
5件のコンテンツ
後期高齢者保険料上限「80→85万円」(2026年度) : 高所得高齢者ピンポイント引上げと中低所得層への波及構造
2025年12月12日、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会は、後期高齢者医療制度の年間保険料の上限額を2026年度に80万円から85万円へ引き上げる方針を了承した。さらに2026年4月から新たに「子ども・子育て支援納付金」分2万1000円が別枠で上乗せされ、医療分85万円との合計上限は87万1000円となる。引上げの対象は年金と給与収入を合わせて年1,150万円以上の高所得者層で、加入者全体の1.2%が該当する。報道のフレーミングは「75歳以上の保険料が上がる」だが、構造を読むと、これは高所得層へのピンポイント上限引上げによって中低所得層の保険料伸び率を抑制する設計である。年収400万円のケースでは2026年度年間保険料が約29.7万円(前年比+4.2%)の伸びにとどまる。本稿は厚労省の制度設計、対象1.2%の意味、子ども・子育て支援納付金分2.1万円の新設、そして「世代内応能負担の強化」と「世代間給付構造」の関係を読み解く。
高齢者の多剤処方問題 — 5種類以上の薬を飲む人が4割の構造
75歳以上の高齢者の約4割が5種類以上、約25%が7種類以上の薬を処方されている。6種類を超えると薬物有害事象の発生率が有意に跳ね上がるにもかかわらず、多剤処方は構造的に増え続ける。処方カスケード、縦割り医療、減薬への心理的障壁——問題の構造を読み解く。
騒音は「見えない暴力」か — WHOが警告する健康リスクと日本の規制空白
騒音による年間160万DALYもの疾病負担は看過できない水準にある。心血管疾患・睡眠障害・認知機能低下など、WHOが「大気汚染に次ぐ第2の環境リスク」と位置づける騒音問題について、日本の規制基準の国際比較と健康被害の実態をデータから検証する。
予防医学の経済合理性 — 医療費48兆円時代の社会設計
国民医療費48兆円のうち生活習慣病関連が約3割を占める現状において、予防医学への投資は経済合理性を持ちうるのか。特定健診・がん検診・ワクチン接種の費用対効果をエビデンスベースで分析し、治療偏重の医療制度から予防重視の社会設計への転換を構造的に論じる。
医療費48兆円の構造 — 2030年に向けた持続可能性の分岐点
2023年度の国民医療費は48兆915億円、過去最高を更新した。2040年には68兆円に達するとの政府推計がある一方、後期高齢者医療制度の積立金は給付費のわずか0.23か月分。高額療養費の限度額引き上げ、OTC類似薬の保険給付見直しなど、患者負担増の改革が相次ぐ。財源構造と地域格差から、制度の持続可能性を読み解く。