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一般社団法人 社会構想デザイン機構

人口動態

11件のコンテンツ

論考・インサイト

クマの人身被害が過去最多216件 — 里山という境界を管理する担い手が、過疎で消えた

環境省の速報値で、令和7年度のクマ類による人身被害が216件・死亡13人と統計開始以来の過去最多になった。出没は50,801件で令和5年度の2.1倍。だが木の実の凶作は引き金にすぎない。過疎で里山の手入れをする人が消え、荒廃農地が質的に山林へ戻り、人と野生の緩衝地帯が内側から溶けている。駆除か共生かではなく、境界を誰が管理するかという担い手の空白を読む。

論考・インサイト

熊本の車社会は、道路では解けない — 公共交通の負のスパイラルと、立地から逆算する交通

半導体産業が集まる熊本都市圏で、渋滞が深刻になっている。熊本都市圏パーソントリップ調査によれば、車の分担率は64.4%から67.3%へ上がり、公共交通は5.9%から5.2%へ下がった。道路を増やしても渋滞は解けず、高速道路の無料化実験では交通量が約79%増えた。運転手不足から減便・利用減・不採算・撤退が循環する負のスパイラルを読み、道路の拡張ではなく居住立地と公共交通を逆算で結び直す論点を示す。

論考・インサイト

古民家を買った後に、修繕が次々と現れる — 相続と高齢化が生む情報の非対称

奈良県山間部で古民家を買った移住者は、住んで初めて井戸の2か月枯れやカビ、排水の不具合に直面した。全国の空き家は900万2千戸・空き家率13.8%、一戸建の空き家の80.9%が放置型である。買った後に修繕が現れるのは、法律の告知が施設の存在で止まること、売主も相続と高齢化のなかで実態を知らないこと、空き家を解消できた世帯でも空き家バンク経由がわずか3.3%であること、という三層の情報非対称の帰結だ。

論考・インサイト

相続した山林は境界がわからない — 負の資産化と所有者不明土地の予備軍

佐賀県伊万里市の家族が相続した約4,300平方メートルの山林は、境界が口伝でしか残らず、木材の価値が測量費用を下回っても土砂災害の責任は所有者に残る。所有者不明土地は2016年に約410万ヘクタール(九州本島を上回る)、2040年に約720万ヘクタールと推計され、地籍調査は全国で約53%どまり。所有・境界・受益・責任という四つの側面がばらばらに分かれ、相続登記義務化・地籍調査・森林経営管理・森林環境税・国庫帰属といった制度が個別に追う構造を読み、所有の再設計という論点を示す。

論考・インサイト

農機具は年に数日しか動かない — 個別保有が解けない構造と共同利用の壁

熊本県高森町の新規就農者が直面する「数百万円の農機具が年に数日しか動かない」構造は、特殊な不運ではない。農水省統計が示す1経営体3.8haの零細規模、有償農業支援サービス利用24.3%、機械設備供給型28.5%というデータから、共同利用が広がらない情報・価格・タイミングの壁を読み、農機具を準公共財として再設計する論点を示す。

論考・インサイト

移住推進の『稼げない』問題 — 地方創生のキャリア設計空白

地方創生1.0は移住者数を追ったが、移住後のキャリアと所得の制度設計が抜け落ちた。FHL「ますい」事例から、月数万円の地域案件と都市部給与の構造的ギャップ、地域おこし協力隊定住率55.7%の奥にある所得追跡不在、二地域居住促進法と関係人口2,263万人の制度間隙を読む。

論考・インサイト

2025年の出生数67万人 — 想定より15年早い少子化、婚姻は増えたのに

2026年6月3日、厚生労働省は2025年の人口動態統計(概数)を公表した。出生数67万1,236人、合計特殊出生率1.14、東京都が初めて1.0を割り込む0.96となった。注目すべきは、社人研中位推計が67万人到達を2040年と想定していたところ、2025年で現実化した点である。「想定より15年早い」加速と、婚姻数2年連続増にもかかわらず出生数が前年比2.2%減という同時並走のパラドックスを、こども未来戦略3.6兆円加速化プラン本格実施初年度のデータと突き合わせて構造分析する。

論考・インサイト

令和の丙午と少子化の真実 : 迷信が動かす余地のない構造化への移行

60年に一度の丙午にあたる2026年、1月の出生数速報は前年同月比+0.5%。1966年の-25.4%とは桁違いに小さい。だが「迷信効果が消えた」と読むのは早計である。1906年は-4%、1966年は-25.4%、そして2026年はほぼゼロ。三つの丙午が同じ迷信を共有しながら違う結果を出した理由を辿ると、迷信単独ではなく、避妊普及・家族計画政策・メディア増幅・既婚女性の合理的選択が同期したときにのみ巨大なショックが現れることが見えてくる。令和の丙午が動かないのは、迷信を打ち消す余地すら残っていないほど、少子化が単年ショックから慢性ショックへと構造化したからである。

論考・インサイト

出生率1.13 — 有配偶出生率が示す「結婚しても産まない」

2025年の出生率は推計1.13、出生数66.5万人で社人研の2041年想定水準に16年早く到達。転換点は2015年。有配偶出生率がこの年を境に押し下げ要因に転じ、完結出生児数は過去最低の1.90人に落ちた。

論考・インサイト

地方自治体「消滅」の構造分析 — 744自治体が直面する人口減少と財政の臨界点

人口戦略会議が2024年に公表したレポートで744の自治体が消滅可能性ありと分類された。増田レポートの発表から10年が経過し、日本の人口減少は予測通りに進行、自治体財政は構造的な転換点を迎えている。消滅可能性都市論の現在地と展望を読み解く。

論考・インサイト

人口減少と東京一極集中 — 構造から読み解く地方消滅の力学

地方から東京圏への人口流出は年間十数万人規模で続き、2040年までに自治体の半数が消滅可能性に直面するとの推計もある。しかし「消滅可能性都市」という概念だけでは問題の本質は捉えられない。社人研データを用い、集中と縮小の構造的力学を多角的に分析する。