休眠預金等活用制度の活動支援団体は、資金を配らず人材と情報だけを支援する枠である。2023年度から2025年度までの採択一覧と不採択一覧を全部数えると、通ったのは11事業、助成予定額の合計は約5億4,294万円だった。顔ぶれの中心は地域の財団、NPOセンター、分野別ネットワークで、自ら現場の事業を持つ団体が支援側に回った例も含まれる。何が通り、何が落ちたのかを公表資料から読む。
ざっくり言うと
- 2023年度から2025年度までの3年間で、活動支援団体に採択されたのは11事業。申請は公表された2つの一覧の合計で30件、27件、20件と推移した
- 採択された11事業の助成予定額を本稿で合計すると約5億4,294万円。1件あたりの幅は2,451万円から6,462万円である
- 顔ぶれの中心は地域の財団やNPOセンターだが、自ら現場の事業を持つ団体が支援側に回った例もある。資金以外の支援を受けるために応募した団体は一覧にない
何が起きているのか
3年分の採択・不採択を数えた結果と、採択団体の顔ぶれ
休眠預金等活用制度には、資金を配らない枠がある。活動支援団体という。第2階層に置かれ、支援対象団体に対して人材と情報の面からの支援だけを行う。JANPIAが資金を出すのは活動支援団体までで、そこから先へ資金は流れない。
この枠の公募結果は2023年度分から公表されている。3年分の採択一覧と、採択に至らなかった団体の一覧を全部数えた。
採択は3年で11事業だった。申請の件数は、2つの一覧を合わせると30件、27件、20件になる。2025年度については、JANPIA自身が報道発表で「20事業(20団体)からの申請があり、審査の結果、4事業(4団体)を活動支援団体として選定」と記しており、この数え方で合っていることが確認できる。
通った顔ぶれは次のとおりである。
| 年度 | 区分 | 団体 | 事業名 | 助成予定額 |
|---|---|---|---|---|
| 2023 | 資金支援の担い手 | 一般社団法人BLP-Network(神奈川県) | リスクマネジメントに基づく運営・支援体制の確立 | 24,512,000円 |
| 2023 | 民間公益活動の担い手 | 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(東京都) | 災害に対応できる民間支援団体の増加と基盤強化事業 | 51,497,705円 |
| 2023 | 民間公益活動の担い手 | 特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都) | こども食堂ネットワーク団体基盤強化への伴走支援プログラム | 58,780,000円 |
| 2023 | 民間公益活動の担い手 | 特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズ(愛知県) | 「かなめびと」養成による組織基盤強化 | 54,863,100円 |
| 2024 | 民間公益活動の担い手 | 特定非営利活動法人青少年自立援助センターほか(東京都、共同事業体) | 外国ルーツ支援における地域的・分野的ひろがり応援事業 | 51,500,000円 |
| 2024 | 民間公益活動の担い手 | 一般財団法人ちくご川コミュニティ財団(福岡県) | 筑後川関係地域の子ども若者支援の持続可能性向上プログラム | 49,911,820円 |
| 2024 | 民間公益活動の担い手 | 公益財団法人長野県みらい基金ほか(長野県、共同事業体) | 信州 社会課題解決の担い手 ステップアップ事業 | 52,019,918円 |
| 2025 | 資金支援の担い手 | 一般社団法人全国コミュニティ財団協会ほか(京都府、共同事業体) | 地域の声を聞き、最適な案件形成を実現する伴走支援事業 | 50,000,000円 |
| 2025 | 資金支援の担い手 | 公益財団法人パブリックリソース財団(東京都) | 社会課題分野及び空白地域における自立的資金分配団体の創生支援事業 | 64,623,600円 |
| 2025 | 民間公益活動の担い手 | 認定特定非営利活動法人コミュニティ・サポートセンター神戸(兵庫県) | 見えにくい社会課題を解決するためのコミュニティ創出と組織基盤強化支援事業 | 35,231,000円 |
| 2025 | 民間公益活動の担い手 | 公益社団法人日本サードセクター経営者協会(東京都) | 「共創型ストラテジスト」育成を通じた団体の事業実施力・組織運営力の向上 | 50,001,800円 |
表の11件はいずれもJANPIAの採択一覧に載っている額をそのまま写した。これを本稿で合計すると542,940,943円になる。最小は2023年度の24,512,000円、最大は2025年度の64,623,600円で、公募要領が目安とする「3年間のプログラムで5,000万円程度」の周辺に、ほぼ全件が集まっている。
顔ぶれの中心は、地域の財団、NPOセンター、分野別のネットワーク組織である。ただし全部がそうではない。2024年度に採択された特定非営利活動法人青少年自立援助センターは、海外にルーツを持つ子ども・若者に日本語教育と学習支援を自ら行っている団体で、現場を持つ側にあたる。その団体が、同じ分野の他団体を支えるプログラムで採択されている。
11件に共通するのは組織の種類ではなく、申請の向きである。すべてが「他団体を支えるプログラム」として出されている。逆に、資金以外の支援を受けるためにこの枠へ応募した団体は、3年分の一覧の中にない。制度上、支援を受ける側の入口は別にあるためである。
背景と文脈
活動支援団体という枠の設計と、2つの支援対象区分の偏り
この枠は、申請時に2つの区分から1つを選ぶ設計になっている。[1]資金支援の担い手の支援と、[2]民間公益活動を実施する担い手の支援である。前者は資金分配団体を目指す団体や既存の資金分配団体を支える枠、後者は現場の団体を支える枠にあたる。
3年分を区分で割ると、偏りが出る。
| 年度 | 資金支援の担い手 | 民間公益活動の担い手 |
|---|---|---|
| 2023 | 1件 | 3件 |
| 2024 | 0件 | 3件 |
| 2025 | 2件 | 2件 |
| 計 | 3件 | 8件 |
「資金支援の担い手の支援」は3年で3件しかなく、2024年度はゼロだった。配る側を育てる枠は、制度としては置かれているが、実際に動いた回数はこの通りである。
金額の面でも、目安と実績には差がある。2024年度の公募要領は「2024年度における助成総額は、申請状況に応じて3億円を目安として決定するものとします」と書いている。その年に採択された3事業の助成予定額を本稿で合計すると153,431,738円で、目安のおよそ半分にとどまる。内訳は採択一覧に載っている51,500,000円、49,911,820円、52,019,918円である。要領自身が「申請状況に応じて」と断っているので、下回ること自体は制度の想定内である。
申請の件数は30件、27件、20件と動いている。この推移について、JANPIAの公表資料は理由を記していない。公募の周知の広がり、前年度の結果を見た応募の判断、制度全体の認知など、複数の要因が考えられるが、公表されている資料からは特定できない。ここでは件数の事実だけを記す。
一方で、内閣府の集計では、この11事業の背後にいる活動支援団体は15団体、その先の支援対象団体は50団体になっている。11と15の差は共同事業体の構成団体で、複数の組織が組んで応募する形が定着していることを示している。
構造を読む
公表された不採択理由から見える、この枠が求めているもの
2025年度について、JANPIAは審査委員のコメントとして、採択に至らなかった主な理由を5点公表している。原文は次のとおりである。
資金支援の担い手を育成する支援プログラムにおいて、資金分配団体としての助成プログラム設計力を育てる視点が弱い。
研修のための計画、研修のための実践という印象が強く、支援対象全体が本当にスキルを獲得できるのかイメージしづらい。
支援対象団体にどのような成長を期待しているのか、定量的なアウトカムの提示が不足しており、事業の成果や効果がイメージしにくい。
対象となる団体像や分野をある程度絞り込むことで、成長ステージや分野に応じた支援プログラムを設計でき、より高いインパクトを生み出せる可能性がある。
支援対象の選定基準や支援手法など、プログラムの設計が十分に練り込まれていない。
5点のうち4点が、支援の中身ではなく支援の設計を指している。誰を対象にするか、その団体がどう変わるか、それをどう測るか。研修や伴走そのものの質ではなく、その前段のプログラム設計が問われている。
同じ発表には、採択された事業で評価された点も載っている。資金支援の経験に基づく問題意識からプログラムが設計されていること、地域課題への対応で培った中間支援の実績を生かしていること、中核人材を組織の再構築を担う役割として位置づけていること。ここでも、実績と設計が並んで挙げられている。
この2つを重ねると、枠の性格が見えてくる。この枠は、支援を設計できる組織のための枠である。支援を受けたい団体のための入口ではない。支援を受ける側の入口は、採択された活動支援団体が出す募集のほうにある。
その帰結が2つある。
ひとつは、支援を受けたい団体にとって、開いている入口はその年の採択団体の顔ぶれで決まるということ。2024年度は「資金支援の担い手の支援」区分の採択がゼロだったので、資金分配団体を目指す団体が非資金的支援を受ける入口は、その年には開かなかった。制度に枠があることと、その年に入口が開いていることは別である。
もうひとつは、この枠を狙う中間支援組織にとって、勝負どころが自団体の実績よりもプログラム設計の側にあるということ。公表された不採択理由は、実績不足を挙げていない。挙げているのは、対象の絞り込みと、変化の測り方である。ロジックモデルとアウトカム指標の設計が、そのまま採否の分かれ目になっている。この設計をどう組むかは、『インパクト評価と社会イノベーション』(外部サイト、新しいタブで開きます)(塚本一郎・関正雄)が扱う論点と重なる。同書は社会的事業の成果をどう測るかを主題にしていて、審査委員が求めている「定量的なアウトカムの提示」の中身にあたる。
3年で11事業。数としては小さい枠だが、支援対象団体50団体という広がりを作っている。資金の額で測ると見落とすが、この枠は資金以外の資源を制度の中で動かす唯一の経路になっている。
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この記事で使った統計の出典
- 1内閣府 休眠預金等活用制度について(2026年7月(2026年4月末時点)) 出典を開く
参考文献
2025年度 活動支援団体の公募結果(採択団体・事業一覧、採択に至らなかった団体・事業一覧、報道発表資料) — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2025)
2024年度 活動支援団体公募 採択団体・事業 一覧 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2025)
2023年度 活動支援団体公募 採択団体・事業 一覧 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2024)
2024年度 活動支援団体(助成)公募要領 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2024)
休眠預金等活用制度について — 内閣府 (2026)
