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実践ガイド — 資金・申請

休眠預金等活用制度への5つの参画方法 — 応募先と要件を比較する

ヨコタナオヤ(横田直也)
約8分で読めます

休眠預金等活用制度には、資金分配団体(助成)、資金分配団体(出資)、実行団体、活動支援団体、支援対象団体という5つの役割があります。それぞれ応募先が違い、求められる要件も動く金額も違います。自団体の目的に合う公募を選ぶため、各役割の業務と条件を比較します。

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ざっくり言うと

  1. JANPIAが公募するのは第2階層の3つで、実行団体と支援対象団体はその先の公募に応募する
  2. 活動支援団体から支援対象団体への資金提供はできない。支援対象団体が受け取るのは人材と情報の支援である
  3. 1事業当たりの規模は、資金分配団体1.54億円、実行団体1,624万円、活動支援団体は3年で5,000万円程度が目安

はじめに

応募先が決まらないまま準備を始めてしまう理由

休眠預金を使いたいという相談で最初に詰まるのは、応募先である。等活用制度は3つの階層でできていて、階層ごとに公募の主体が違う。自団体がどの階層に立つのかを決めないと、どの公募要領を読めばよいかも決まらない。

制度の仕組みそのものは休眠預金活用制度ガイド(このサイトの記事)に、申請の要件は申請実践ガイド(2026年度版)(このサイトの記事)にまとめた。本稿では、公募要領を選ぶ前に、各役割の業務と応募先を比較する。


参画方法は5つある

制度の3階層と各団体の役割

が公募するのは第2階層の3つで、第3階層の2つはその先の公募になる。

JANPIA(指定活用団体)
制度全体を運営し、第2階層を公募で選ぶ
JANPIAが公募する
資金分配団体(助成)
テーマを設定し、実行団体を選んで助成し、監督する
実行団体
現場で社会課題の解決事業を行う
資金あり
資金分配団体(出資)
ファンド出資型と法人出資型がある
実行団体(株式会社)
民間資金が十分でない分野の事業に取り組む
資金あり
活動支援団体
資金を配らず、人材と情報の面だけを支援する
支援対象団体
団体だけでなく個人も対象になる
資金なし

活動支援団体から支援対象団体への資金提供はできない。JANPIA が資金を出す相手は活動支援団体までである

休眠預金等活用制度の公募主体と対象。JANPIAが3種類の団体を選定し、選ばれた団体が実行団体や支援対象団体を募集する

実行団体として応募する先はJANPIAではなく、資金分配団体の公募である。また、活動支援団体は支援対象団体に資金を提供しない。

役割応募先1事業当たりの規模
資金分配団体(助成)JANPIAの公募平均助成予定額1.54億円
資金分配団体(出資)JANPIAの公募出資の資金分配団体は5団体
実行団体資金分配団体が出す公募平均助成予定額1,624万円
活動支援団体JANPIAの公募3年間のプログラムで5,000万円程度が目安
支援対象団体活動支援団体が出す募集資金は伴わない

助成の実績は内閣府の資料による。資金分配団体の1事業当たりの平均助成予定額が1.54億円、実行団体が1,624万円である。


資金分配団体(助成)

助成を行う団体の業務と規模

制度の中心にある役割である。JANPIAから助成を受け、自らテーマを設定し、実行団体を公募で選び、資金を配り、監督する。

2026年度の通常枠は4つの事業類型に分かれていて、類型ごとに規模の目安が置かれている。

事業類型資金分配団体への最大助成額の目安実行団体への最大助成額の目安
草の根活動支援事業1億円1団体あたり2千万円(最長で3年間分)
ソーシャルビジネス形成支援事業2億円1団体あたり6千万円(最長で3年間分)
イノベーション企画支援事業2億円1団体あたり6千万円(最長で3年間分)
災害支援事業2億円1団体あたり4千万円(最長で3年間分)

助成額のうち、実行団体への助成に充てる費用は85%以上、自団体の管理的経費は15%以下と決められている。事務局の人件費も、この15%の管理的経費に含めて計画する。

草の根活動支援事業には全国枠と地域枠がある。地域枠は全国10地域に分かれ、1つまたは複数の都道府県を対象とする事業も認められる。地域の団体が助成業務を担う場合は、この地域枠の対象地域と要件を確認する。


資金分配団体(出資)

助成とは別に設けられた出資の枠

助成とは別に、出資の枠がある。JANPIAから出資を受けた資金分配団体が、社会課題の解決に取り組む株式会社に出資する形である。

内閣府の資料によれば、出資の資金分配団体は5団体、その資金分配団体による出資事業は4事業である。1実行団体当たりの出資規模は数千万円程度とされている。

出資のスキームは2つ併置されている。ファンド出資型は投資事業有限責任組合を新たに作り、金融機関等から共同出資を募る形で、JANPIAからファンドへの出資総額は年5億円から10億円程度が想定されている。法人出資型は複数企業がコンソーシアムを組み、出資と経営支援を専門に行う株式会社を設立する形である。

出資を受ける側は株式会社であることが前提になる。非営利法人がこの枠を使うことはできない。


実行団体

現場で事業を行う役割と、応募先の探し方

現場で事業を行う役割である。制度の資金がいちばん多く配られている層でもある。

注意点はひとつで、JANPIAに直接申請することはできない。応募先は、選ばれた資金分配団体が出す公募である。つまり「どの資金分配団体が、どのテーマで、いつ公募を出すか」を追うことが準備の中身になる。JANPIAが資金分配団体の採択を公表したあと、各資金分配団体が実行団体の公募を出すという順序になっている。

規模の目安は資金分配団体の類型による。実際の平均は1事業当たり1,624万円で、期間は原則として最長3年間である。

事業費の20%以上を自己資金または民間からの資金で確保することが原則とされている。この20%が実務上の関門になることが多い。公募要領はこの原則の趣旨を、休眠預金等に係る資金に依存した団体を生まないための仕組みだと説明している。


活動支援団体

資金を配らない第2階層の枠と、2つの支援対象区分

第2階層に置かれた、資金を配らない枠である。人材と情報の面からの非資金的支援だけを行う。公募結果は2023年度分から公表されていて、これまでに15団体が活動支援団体に選ばれ、その先の支援対象団体は50団体になっている。

申請するときは、2つの支援対象区分から1つ、4つの支援内容分野から必要なものを選んでプログラムを組み立てる。

区分内容
支援対象区分[1]資金支援の担い手。資金分配団体を目指す団体および既存の資金分配団体
支援対象区分[2]民間公益活動を実施する担い手
支援内容分野[A]事業実施(プロジェクト実施)
支援内容分野[B]組織運営
支援内容分野[C]広報・ファンドレイジング
支援内容分野[D]社会的インパクト評価

支援対象区分は原則としてどちらか1つを選ぶ。支援内容分野は複数を組み合わせてよい。エリアを限定したプログラムの提案もできる。ただし、活動支援団体の公募に申請できる事業は1団体につき1事業のみである。

1つの活動支援プログラムにおける最大助成額の目安は、3年間のプログラムで5,000万円程度とされている。事業期間は支援内容に応じて1年から3年である。

この枠に応募するのは、他団体を支えるプログラムを設計できる団体である。これまでの採択団体は地域の財団、NPOセンター、分野別のネットワーク組織が中心で、自ら現場の事業を持つ団体が支援側に回った例も含まれる。3年分の採択結果を追った分析は活動支援団体の三年分(このサイトの記事)にまとめた。


支援対象団体

個人も含まれる、非資金的支援を受ける方法

活動支援団体から非資金的支援を受ける役割である。公募要領は支援対象団体を「民間公益活動の担い手又は将来的に担い手となることを目指す団体等」と定義していて、括弧書きで個人も含むとしている。

支援対象には、設立間もない団体、法人格を持たない任意団体、これから活動を始める個人も含まれる。個別の募集で、対象と支援内容を確認する。

応募先は、採択された活動支援団体が出す募集である。活動支援団体は自らプログラムを設計し、公募により支援対象団体を選定する。したがって、募集する活動支援団体によって、対象分野や支援内容が異なる。


応募する公募の選び方

4つの問いで自団体の位置を絞る

次の4項目を確認し、自団体の目的と条件に合う公募を探す。

  1. 資金を配る側に立つのか、受ける側か。配る側なら第2階層、受ける側なら第3階層である
  2. 事業費の20%以上を自前で用意できるか。実行団体には原則としてこの条件がかかる。用意が難しい場合は、非資金的支援の対象になるかを別に確認する
  3. 株式会社か、非営利法人か。出資の枠は株式会社が前提になる
  4. 自団体は事業をするのか、他団体を支えるのか。他団体を支えるプログラムを実施したい場合は、活動支援団体の要件を確認する

申請資格に設立年数や決算年数の下限はない。2026年度の資金分配団体(通常枠)の公募要領には、提出書類の欄に「過去3年分。設立から3年未満の団体は、提出可能期間分のみ提出してください」という注記があり、設立間もない団体も想定されている。年数を理由に諦める必要はない。


よくある取り違え

応募先・資金の有無・対象範囲の誤解

取り違え実際
NPOがJANPIAに直接申請して実行団体になれる実行団体の応募先は資金分配団体の公募である
活動支援団体に選ばれた団体から資金がもらえる活動支援団体から支援対象団体への資金提供はできない
支援対象団体になれるのは法人だけ公募要領は個人も含むとしている
設立3年未満だと申請できない決算年数の下限はなく、提出可能期間分のみでよい
出資の枠も非営利法人が使える出資を受ける実行団体は株式会社が前提である

応募前に、募集する団体、応募対象、提供される支援の内容を確認する。


まとめ

先に決めるべきこと

自団体が事業を実施したいのか、他団体を支援したいのかを整理し、資金調達と非資金的支援のどちらが必要かを確認する。そのうえで、募集主体、対象分野、対象経費、自己資金の条件を比較する。

設立年数だけで応募の可否は判断できない。必要書類と応募資格を、検討する公募の要領で確認する。

応募する公募を検討したい方へ

活動内容と資金の用途をうかがい、公募の対象条件や併用できる制度を確認します。初回相談は無料です。

この記事で使った統計の出典

  1. 1内閣府 休眠預金等活用制度について(2026年7月(2026年4月末時点)) 出典を開く
  2. 2JANPIA 2024年度 活動支援団体(助成)公募要領(2024年) 出典を開く

参考文献

2026年度 資金分配団体(助成)通常枠第1回 公募要領 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2026)

活動支援団体の公募(助成)公募要領・様式 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2024)

休眠預金等活用制度について — 内閣府 (2026)

休眠預金等の活用に関するQ&A(令和6年7月作成・令和8年8月更新) — 内閣府 (2026)

読んだ後に考えてみよう

  1. 自団体は資金を配る側と受ける側のどちらに立つのだろうか?
  2. 事業費の20%以上を自己資金または民間資金で確保できるだろうか?
  3. 資金がなくても、人材と情報の支援だけで前に進む場面はないだろうか?

この記事の用語

休眠預金
10年以上取引のない預金。休眠預金等活用法(2018年施行)により、民間公益活動の資金として活用される。JANPIAが資金分配団体として指定され、NPO法人・公益法人・非営利型一般社団法人等が助成を受けられる。

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