休眠預金等活用制度には、資金分配団体(助成)、資金分配団体(出資)、実行団体、活動支援団体、支援対象団体という5つの立ち位置があります。それぞれ応募先が違い、求められる要件も動く金額も違います。自団体がどこに当たるかを先に決めるための地図です。
ざっくり言うと
- JANPIAが公募するのは第2階層の3つで、実行団体と支援対象団体はその先の公募に応募する
- 活動支援団体の枝には資金が流れない。支援対象団体が受け取るのは人材と情報の支援である
- 1事業当たりの規模は、資金分配団体1.54億円、実行団体1,624万円、活動支援団体は3年で5,000万円程度が目安
はじめに
応募先が決まらないまま準備を始めてしまう理由
休眠預金を使いたいという相談で最初に詰まるのは、応募先である。休眠預金等活用制度は3つの階層でできていて、階層ごとに公募の主体が違う。自団体がどの階層に立つのかを決めないと、どの公募要領を読めばよいかも決まらない。
制度の仕組みそのものは休眠預金活用制度ガイド(このサイトの記事)に、申請の要件は申請実践ガイド(2026年度版)(このサイトの記事)にまとめた。本稿は、その手前で位置を決めるための地図である。
入口は5つある
3階層のどこに何があるかの地図
JANPIAが公募するのは第2階層の3つで、第3階層の2つはその先の公募になる。
活動支援団体から支援対象団体への資金提供はできない。JANPIA が資金を出す相手は活動支援団体までである
この図で押さえておきたいのは2点である。ひとつは、実行団体になりたい団体の応募先がJANPIAではないこと。もうひとつは、活動支援団体の枝に資金が流れないことである。
| 立ち位置 | 応募先 | 1事業当たりの規模 |
|---|---|---|
| 資金分配団体(助成) | JANPIAの公募 | 平均助成予定額 1.54億円 |
| 資金分配団体(出資) | JANPIAの公募 | 出資の資金分配団体は5団体 |
| 実行団体 | 資金分配団体が出す公募 | 平均助成予定額 1,624万円 |
| 活動支援団体 | JANPIAの公募 | 3年間のプログラムで5,000万円程度が目安 |
| 支援対象団体 | 活動支援団体が出す募集 | 資金は伴わない |
助成の実績は内閣府の資料による。資金分配団体の1事業当たりの平均助成予定額が1.54億円、実行団体が1,624万円である。
資金分配団体(助成)
配る側に立つ場合の役割と規模
制度の中心にある立ち位置である。JANPIAから助成を受け、自らテーマを設定し、実行団体を公募で選び、資金を配り、監督する。
2026年度の通常枠は4つの事業類型に分かれていて、類型ごとに規模の目安が置かれている。
| 事業類型 | 資金分配団体への最大助成額の目安 | 実行団体への最大助成額の目安 |
|---|---|---|
| 草の根活動支援事業 | 1億円 | 1団体あたり2千万円(最長で3年間分) |
| ソーシャルビジネス形成支援事業 | 2億円 | 1団体あたり6千万円(最長で3年間分) |
| イノベーション企画支援事業 | 2億円 | 1団体あたり6千万円(最長で3年間分) |
| 災害支援事業 | 2億円 | 1団体あたり4千万円(最長で3年間分) |
助成額のうち、実行団体への助成に充てる費用は85%以上、自団体の管理的経費は15%以下と決められている。配る側に立つということは、事務局の人件費をこの15%の中で組むということでもある。
草の根活動支援事業には全国枠と地域枠がある。地域枠は全国10地域に分かれ、1つまたは複数の都道府県を対象とする事業も認められる。地域に根ざした団体が配る側に回る道は、この枠にある。
資金分配団体(出資)
助成とは別に設けられた出資の枠
助成とは別に、出資の枠がある。JANPIAから出資を受けた資金分配団体が、社会課題の解決に取り組む株式会社に出資する形である。
内閣府の資料によれば、出資の資金分配団体は5団体、その資金分配団体による出資事業は4事業である。1実行団体当たりの出資規模は数千万円程度とされている。
出資のスキームは2つ併置されている。ファンド出資型は投資事業有限責任組合を新たに作り、金融機関等から共同出資を募る形で、JANPIAからファンドへの出資総額は年5億円から10億円程度が想定されている。法人出資型は複数企業がコンソーシアムを組み、出資と経営支援を専門に行う株式会社を設立する形である。
出資を受ける側は株式会社であることが前提になる。非営利法人がこの枠を使うことはできない。
実行団体
現場で事業を行う立ち位置と、応募先の探し方
現場で事業を行う立ち位置である。制度の資金がいちばん多く配られている層でもある。
注意点はひとつで、JANPIAに直接申請することはできない。応募先は、選ばれた資金分配団体が出す公募である。つまり「どの資金分配団体が、どのテーマで、いつ公募を出すか」を追うことが準備の中身になる。JANPIAが資金分配団体の採択を公表したあと、各資金分配団体が実行団体の公募を出すという順序になっている。
規模の目安は資金分配団体の類型による。実際の平均は1事業当たり1,624万円で、期間は原則として最長3年間である。
事業費の20%以上を自己資金または民間からの資金で確保することが原則とされている。この20%が実務上の関門になることが多い。公募要領はこの原則の趣旨を、休眠預金等に係る資金に依存した団体を生まないための仕組みだと説明している。
活動支援団体
資金を配らない第2階層の枠と、2つの支援対象区分
第2階層に置かれた、資金を配らない枠である。人材と情報の面からの非資金的支援だけを行う。公募結果は2023年度分から公表されていて、これまでに15団体が活動支援団体に選ばれ、その先の支援対象団体は50団体になっている。
申請するときは、2つの支援対象区分から1つ、4つの支援内容分野から必要なものを選んでプログラムを組み立てる。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 支援対象区分[1] | 資金支援の担い手。資金分配団体を目指す団体および既存の資金分配団体 |
| 支援対象区分[2] | 民間公益活動を実施する担い手 |
| 支援内容分野[A] | 事業実施(プロジェクト実施) |
| 支援内容分野[B] | 組織運営 |
| 支援内容分野[C] | 広報・ファンドレイジング |
| 支援内容分野[D] | 社会的インパクト評価 |
支援対象区分は原則としてどちらか1つを選ぶ。支援内容分野は複数を組み合わせてよい。エリアを限定したプログラムの提案もできる。ただし、活動支援団体の公募に申請できる事業は1団体につき1事業のみである。
1つの活動支援プログラムにおける最大助成額の目安は、3年間のプログラムで5,000万円程度とされている。事業期間は支援内容に応じて1年から3年である。
この枠に応募するのは、他団体を支えるプログラムを設計できる団体である。これまでの採択団体は地域の財団、NPOセンター、分野別のネットワーク組織が中心で、自ら現場の事業を持つ団体が支援側に回った例も含まれる。3年分の採択結果を追った分析は活動支援団体の三年分(このサイトの記事)にまとめた。
支援対象団体
個人も含まれる、資金を伴わない入口
活動支援団体から非資金的支援を受ける立ち位置である。公募要領は支援対象団体を「民間公益活動の担い手又は将来的に担い手となることを目指す団体等」と定義していて、括弧書きで個人も含むとしている。
資金は伴わないが、要件は5つの入口の中で最も軽い。設立間もない団体、法人格を持たない任意団体、これから始めようとしている個人にも道が開いている。
応募先は、採択された活動支援団体が出す募集である。活動支援団体は自らプログラムを設計し、公募により支援対象団体を選定する。したがって、その年に採択された活動支援団体の顔ぶれが、その年に開く支援対象団体の入口を決めることになる。
どこから入るかの決め方
4つの問いで自団体の位置を絞る
4つの問いで絞れる。
- 資金を配る側に立つのか、受ける側か。配る側なら第2階層、受ける側なら第3階層である
- 事業費の20%以上を自前で用意できるか。実行団体には原則としてこの条件がかかる。用意が難しい段階なら、資金を伴わない入口から入る道がある
- 株式会社か、非営利法人か。出資の枠は株式会社が前提になる
- 自団体は事業をするのか、他団体を支えるのか。他団体を支えることが本業なら、活動支援団体の枠が正面から当たる
申請資格に設立年数や決算年数の下限はない。2026年度の資金分配団体(通常枠)の公募要領には、提出書類の欄に「過去3年分。設立から3年未満の団体は、提出可能期間分のみ提出してください」という注記があり、設立間もない団体も想定されている。年数を理由に諦める必要はない。
よくある取り違え
応募先・資金の有無・対象範囲の誤解
| 取り違え | 実際 |
|---|---|
| NPOがJANPIAに直接申請して実行団体になれる | 実行団体の応募先は資金分配団体の公募である |
| 活動支援団体に選ばれた団体から資金がもらえる | 活動支援団体から支援対象団体への資金提供はできない |
| 支援対象団体になれるのは法人だけ | 公募要領は個人も含むとしている |
| 設立3年未満だと申請できない | 決算年数の下限はなく、提出可能期間分のみでよい |
| 出資の枠も非営利法人が使える | 出資を受ける実行団体は株式会社が前提である |
どれも、階層と公募主体の対応を先に押さえておけば起きない。
まとめ
先に決めるべきこと
応募先は5つあり、それぞれ要件も規模も違う。まず決めるのは、資金を配る側か受ける側か、そして資金を伴う枝か伴わない枝かの2点である。ここが決まると、読むべき公募要領が1つに絞れる。
年数や規模を理由に入口が閉じているわけではない。閉じているように見えるのは、たいてい階層を1つ取り違えているときである。
自団体がどこに当たるか決めきれないときに
どの入口が現実的か、どの制度と組み合わせるか。現状をうかがったうえで見立てを伝える。初回相談は無料。
この記事で使った統計の出典
参考文献
2026年度 資金分配団体(助成)通常枠第1回 公募要領 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2026)
活動支援団体の公募(助成)公募要領・様式 — 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) (2024)
休眠預金等活用制度について — 内閣府 (2026)
休眠預金等の活用に関するQ&A(令和6年7月作成・令和8年8月更新) — 内閣府 (2026)
