PFSで サービス提供以外に 担える 二つの役割
PFSの実施体制に含まれる中間支援組織と資金提供者について、業務、資金に関する責任、公表データを比較する。令和7年度末の379件のPFS事業のうち、SIBは19件。案件数と支援組織数は区別して読む必要がある。
公共資産活用研究室(ISVD-LAB-005)の研究ノート。PFS普及率9%の構造分析に続き、内閣府の共通的ガイドラインと実施状況調査から、事業を支援する組織の役割を比較する。
PFSの実施体制
の一つであるPFSでは、自治体が民間事業者に業務を委託し、成果に応じて支払額を変える。内閣府の共通的ガイドラインは、次の5者を実施体制に含めている。すべての事業に5者が別々の組織として参加するという意味ではない。
| 役割 | 主な業務 |
|---|---|
| 委託者 | 地方公共団体等が事業を発注し、支払いを行う |
| 受託者 | 民間事業者が事業活動を実施する |
| 第三者評価機関 | 成果指標を測定し、第三者の立場から効果を評価する |
| 中間支援組織 | 事業関係者の調整や案件形成を行う |
| 資金提供者 | 事業活動に必要な資金を提供し、成果連動リスクを負担する |
本稿では、このうち中間支援組織と資金提供者を比較する。第三者評価機関もサービス提供とは別の業務を担うが、評価の独立性という観点から区別して扱う。
資金提供者から調達した資金の償還等が、自治体からの支払額に応じて行われる仕組みをSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)と呼ぶ。内閣府の調査では、令和7年度末のPFS事業379件のうちSIB案件は19件で、約5%を占める。この数字は事業の件数であり、資金提供者の団体数ではない。同調査には中間支援組織の団体数の集計もない。
資金提供者が担う業務と責任
SIBでは、資金提供者が事業の運転資金を提供する。長い事業期間の資金を自ら確保しにくい中小企業やNPO等も、資金提供者との契約によって参画を検討できる。ただし、資金が調達できるかは、事業内容と資金提供者の審査・契約条件による。
ガイドラインに掲載された3事例でも、資金提供の方法は異なる。
| 事業 | 発注者 | 資金提供者・方法 |
|---|---|---|
| 大腸がん検診・精密検査受診率向上事業 | 八王子市 | デジサーチアンドアドバタイジング、みずほ銀行、個人投資家、社会変革推進財団による匿名組合への出資 |
| ずっと元気!プロジェクト | 豊田市 | Next Rise ソーシャル・インパクト・ファンド投資事業有限責任組合 |
| SIBによる非行少年への学習支援事業 | 法務省 | 日本政策投資銀行の信託受益権投資、三井住友銀行の変動金利型貸付、CAMPFIREの融資型クラウドファンディング |
成果に応じて償還額や金利等がどう変わるかは、個別の契約で確認する必要がある。金融機関等への手数料や、SPCを設立する場合の費用も加わるため、資金調達の方法と費用を合わせて検討する。
SIBが19件にとどまる理由は、この件数だけでは分からない。追加費用が影響している可能性はあるが、事業規模や採用しなかった理由などの情報がなければ、普及の遅れか、適用できる事業の範囲を反映した結果かは判断できない。
中間支援組織が担う業務
中間支援組織は、自治体やサービス提供者の調整、案件形成、技術的な助言などを担う。ガイドラインは、国内の先行事例ではコンサルティング会社等が自治体を支援する場合が多いと説明している。成果評価を担う場合もあり、業務は事業ごとに異なる。
中間支援組織という役割だけで、契約当事者ではない、あるいはリスクを負わないとは言い切れない。支援業務の対価、契約上の責任、資金提供への関与を個別に確認する必要がある。資金提供者が負う成果連動リスクとは分けて扱う。
同じ組織が案件形成と成果評価を担う場合は、評価方法や利害関係を確認する。ガイドラインは、評価の独立性を確保するために第三者評価機関の設置が望ましいとしている。
両者を比較する際の確認事項
| 確認項目 | 中間支援組織 | 資金提供者 |
|---|---|---|
| 主な関与 | 案件形成、関係者調整、助言など | 実施に必要な資金の提供 |
| 資金に関する責任 | 支援契約と、資金提供も担うかによる | 成果に応じた償還等の条件を契約で確認する |
| 実施状況の集計 | 参画団体数は実施状況調査に掲載されていない | SIBの事業件数は19件。資金提供者の団体数ではない |
関与の時期を「契約前」と「契約後」で固定することもできない。資金調達の準備は案件形成時から必要になる場合があり、中間支援は事業実施や評価の段階にも続く場合がある。
令和8年3月に決定されたアクションプランは、寄付やクラウドファンディングを含む多様な資金提供と、自治体・民間事業者・金融機関・大学等・中間支援組織のネットワーク構築を掲げる。目標は、新規事業150件、新たな実施団体75団体、先導的事業3件であり、支援組織や担当者の人数を直接測る指標ではない。
今後確認したいこと
中間支援組織の参画団体数、担当業務、評価への関与が分かれば、自治体が支援先を探す際や、支援体制の不足を検討する際に使える。団体数だけで支援の質は判断できないため、経験や専門分野も併せて確認したい。
SIBについては、事業規模、調達額、追加費用を比較し、どの条件で採用されているかを調べる必要がある。支援業務と資金提供をどう比較するかは、事業を支援する役割を比較する三つの基準で、休眠預金等活用制度と並べて整理した。
関連する研究ノート
- PFS普及率9%の構造分析。自治体が導入する際の課題
- 優先的検討規程の構造的乖離。規程の策定と運用の違い
関連ガイド
- 休眠預金等活用制度への5つの参画方法。参画方法ごとの要件と資金の扱い
この記事で使った統計の出典
- 1内閣府 国内におけるPFS事業の取組状況について(令和8年3月31日(令和7年度末時点)) 出典を開く
参考文献
- 1.成果連動型民間委託契約方式 共通的ガイドライン(令和6年2月改訂版)(外部サイト・新しいタブで開きます)
内閣府 (2024)
実施体制の5者の定義、直接型と間接型の分類、SIBの効果3点と実施例、追加費用への配慮。
- 2.国内におけるPFS事業の取組状況について(外部サイト・新しいタブで開きます)
内閣府 (2026)
令和7年度末時点の実施件数379件、活用団体165団体、SIB案件19件。全地方公共団体への調査、回答率90.9%。
- 3.PFSの推進に関するアクションプラン(令和8年3月25日決定)(外部サイト・新しいタブで開きます)
PFS関係府省庁連絡会議 (2026)
令和8年度から10年度までの取組事項と目標値。多様な主体が資金提供者として関わる事業の推進、支援側のネットワーク構築。
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