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一般社団法人 社会構想デザイン機構
論考・インサイト

小学校が1年で215校減り、それでも1校あたりの児童数は315.7人から312.4人へ減った

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ヨコタナオヤ
約8分で読めます

令和7年度学校基本調査の確定値で、小学校は18,607校となり前年度から215校減った。児童数は5,812,375人で129,358人減り、過去最少である。学校を215校減らしても1校あたりの児童数は315.7人から312.4人へ下がった。統合の基準にある通学距離4キロメートルは昭和33年の政令のもので、平成27年の手引が通学時間おおむね1時間以内を重ねている。

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ざっくり言うと

  1. 小学校は18,607校で前年度から215校減り、児童数は5,812,375人で過去最少である
  2. 学校を215校減らしても、1校あたりの児童数は315.7人から312.4人へ下がった
  3. 義務教育学校は261校で23校増え、在学者86,924人は過去最多である
小学校 教職員数
30.522.67.9人減
中学校 教職員数
37.827.510.3人減
小学校 遠隔地通学の費用(258件)
3,663千円9,191千円×2.51
中学校 遠隔地通学の費用(112件)
5,284千円16,261千円×3.08

同じ調査で、スクールバスを導入している学校は統合前 211件 から統合後 494件 へ増えた。過去3年間の統合事例は 651件、1,617校 が 694校 になっている。

2校を統合した場合の平均。教職員は減り、遠くから通わせる費用は増える

何が起きているのか

小学校215校減。それでも1校あたりの児童数は前年より小さくなった

文部科学省が令和7年12月26日に、令和7年度学校基本統計の確定値を公表した。調査期日は令和7年5月1日である。

小学校は18,607校で、前年度から215校減った児童数は5,812,375人で、129,358人減って過去最少である。

減った215校の内訳を見ると、公立が215校減り、国立が1校減り、私立が1校増えている。減っているのは公立である。

ここで割り算をすると、見え方が変わる。児童数を学校数で割ると、令和7年度は1校あたり312.4人。前年度は5,941,733人を18,822校で割って315.7人だった。 215校減らしても、1校あたりはさらに小さくなっている。

中学校も同じ形になる。9,827校で55校減り、生徒数は3,105,297人で35,835人減って過去最少。1校あたりは317.9人から316.0人へ下がった。

増えているものもある。義務教育学校は261校で23校増え、在学者は86,924人で7,113人増えて過去最多である。小学校と中学校を1つの学校にする形が、統合の受け皿の1つになっている。

背景と文脈

通学距離の基準は昭和33年の政令、通学時間の目安は平成27年の手引が重ねた

統合の基準は昭和33年の政令にある

学校を統合するときに参照される基準は、政令に書かれている。

義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令の第4条第1項は、適正な規模の条件を2つ挙げている。第1号が学級数で、小学校と中学校はおおむね12学級から18学級まで。第2号が通学距離で、 小学校はおおむね4キロメートル以内、中学校と義務教育学校はおおむね6キロメートル以内 である。

この政令が公布されたのは昭和33年6月27日、1958年である。歩くか自転車で通う前提の数字が、統合が国庫負担の対象になるかどうかの条件として置かれている。

ただし同条第3項に例外があり、文部科学大臣が教育効果、交通の便その他の事情を考慮して適当と認める場合は、4キロメートルと6キロメートルの範囲に収まらない統合も国庫負担の対象になる。実際にはスクールバスを使って、この距離を大きく上回る統合が行われている。

平成27年の手引が時間の目安を足した

そこで平成27年1月27日の手引が、距離とは別の物差しを足した。市町村の基準を調べたところ、交通機関を利用した場合の通学時間をおおむね1時間以内と設定している例が多いことが分かり、これを一応の目安とした。

過去の統合事例を分析した結果も載っている。統合後の最も遠い地点からの通学時間は10分未満から75分までと幅があり、9割以上が1時間以内だった。裏を返せば、1割弱は1時間を超えている。

どんな形の統合が行われているか

文部科学省が過去3年間の統廃合を悉皆で調べた結果では、統合事例は651件、1,617校が694校になった

形態別に見ると、小学校同士の統合が458件(1,153校→475校)、中学校同士が164件(370校→171校)、義務教育学校や施設一体型小中一貫校の設置による統合が29件(94校→48校)である。小学校同士だけで678校が消えている。

統合後の学校をどこに置くかも決まっている。統合前の学校のうちの一つの敷地が88%、それ以外の別敷地が12%9割近くは、どちらかの校舎に寄せる形である。

決めてから開校するまで、4年以上が44%

統合には時間がかかる。最初の検討から開校までに要した年数は、2年が15%、3年が16%、4年が14%、5年が12%、6年が10%、7年が8%である。

列挙されているのはここまでで合計75%。 4年以上かかった例が、少なくとも44%ある。 2年で済んだのは15%にとどまる。

児童数は毎年減る。検討を始めた年の学校規模と、開校する年の学校規模は違う。 4年かけて統合しても、その間にもう1回統合が要る規模になっていることがありうる。

校舎を建てる費用の6割は市区町村が持つ

統合後に施設が1校になり、新増築をした場合の費用も出ている。小学校は総事業費2,023,308千円、うち市区町村負担費1,252,610千円。中学校は総事業費1,977,970千円、うち市区町村負担費1,301,405千円である。

市区町村の負担割合は小学校で61.9%、中学校で65.8%。 20億円の工事の6割を、統合を決めた市区町村が持つ。 統合に伴う施設整備の内訳は新増築19%、改修19%、改修と増築の両方が9%で、半分近くは何らかの工事を伴う。

構造を読む

統合で減るのは教職員、増えるのは通学の費用。両方が同じ調査に載っている

減るのは教職員

統合の収支は、文部科学省自身の調査に出ている。2校を統合した場合の平均で、小学校は教職員が30.5人から22.6人へ、中学校は37.8人から27.5人へ。小学校で7.9人、中学校で10.3人減る。

教員不足4,317人の構造(このサイトの記事)で扱った不足の話とは方向が逆で、統合はそこを縮める側に働く。同じ自治体の中で、足りないと言いながら減らしている。

増えるのは通学の費用

同じ2校統合の平均で、遠隔地から通学させるために必要となる費用は、小学校で3,663千円から9,191千円へ、中学校で5,284千円から16,261千円へ。小学校で2.5倍、中学校で3.1倍になる。

スクールバスを導入している学校は、統合前の211件から統合後の494件へ増え、うち227件は購入である。購入費の平均は小学校18,348千円(162件)、中学校18,896千円(56件)。1台あたりではなく1件あたりで1,800万円台が動いている。

人件費が減り、輸送費が増える

この2つは同じ調査の同じページに並んでいるが、統合の是非を語るときに一緒に出てくることは少ない。 減るほうは削減額として説明され、増えるほうは統合に伴う経費として別の欄に立つ。同じ判断から出た2つの数字である。

国に望む支援の順位が示すもの

市区町村が国に望む支援を聞いた結果は、定数加配が79%、施設整備への補助が74%、スクールバス導入費用への補助が60%、学校規模適正化の適否を検討する際の参考資料の提供が42%、優れた先行事例の収集・提供が40%だった。

上位2つは学校の中の話で、3番目に通学の話が来る。 統合を実際にやっている側の順位でも、通学は3番目である。 ただし60%が挙げている以上、無視できる大きさでもない。

距離と時間、2つの基準が並んだままになっている

歩く前提の4キロメートルと、乗る前提の1時間。前者は昭和33年の政令で、統合が国庫負担の対象になるかどうかを決める。後者は平成27年の手引で、法的な拘束力はない。 距離で切ると届かない統合を、時間の目安が通す構造になっている。

政令の第3項に「文部科学大臣が適当と認める場合」という抜け道が最初から書いてあるので、条文の側から見れば矛盾はしていない。ただし目安の側に拘束力がないぶん、どこまで延ばすかは市町村の判断に委ねられる。

1時間の根拠は分布と実績で、子どもの負担ではない

1時間の目安が置かれた根拠は2つある。市町村の基準を集めたら1時間以内が多かったという分布と、過去の統合事例の9割以上が1時間以内に収まっていたという実績である。

どちらも「いまそうなっている」を根拠にしている。子どもの負担から逆算した数字ではない。 手引自身も、通学時間が長くなることで体力の低下や家庭学習の時間の減少といった課題が生じ得ると書いている。手引は工夫の例として、バスの乗車時間に音声教材を使う、図書館司書が同乗して朗読する、校門から一定の距離で降車させて歩数を確保する、といった取組も挙げている。 課題があることは認めたうえで、目安は分布から取っている。

統合しない選択も取られている

統合が唯一の道として扱われているわけではない。同じ調査で、統合が困難な小規模校のメリットを活かす方策に積極的に取り組んでいる市区町村が31%、取り組んでいるが48%。内容は地域人材を活用した年間を通じた郷土学習82%、きめ細かな指導等による基礎学力の保障74%、意図的に全員に様々な役職を経験させる61%などである。

デメリットを抑える方策のほうも、積極的に取り組んでいる24%、取り組んでいる53%で、小中学校の合同教育活動を年間を通じて実施52%、複数校間で学校事務を共同実施49%、学校間で年間を通じて学校行事を合同実施48%が並ぶ。 8割近くの市区町村が、統合しないまま小規模校を回す工夫をしている。

どこまでの時間なら通わせるかは、統計ではなく合意の問題

児童数の減り方に対して統合が追いついていないことは、冒頭の割り算が示している。ここから先、統合の件数を増やせば1校あたりは戻るが、通学時間の分布は右に伸びる。

そして統合には4年以上かかる例が44%ある。決めた時点の規模と開校時点の規模は違う。 追いつくために回数を増やすと、1回あたりの距離が伸び、決めてから開くまでの間にまた減る。

住民参加型政策形成プロセス設計(このサイトの記事)で扱った合意形成の問題は、この2つの数字のどちらを優先するかを地域で決める場面に現れる。 どこまでの時間なら通わせるかは、統計ではなく合意の問題である。

この記事で使った統計の出典

  1. 1文部科学省 令和7年度学校基本統計(確定値)(令和7年5月1日現在) 出典を開く
  2. 2文部科学省 公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引(平成27年1月27日) 出典を開く
  3. 3文部科学省 小中学校及び高等学校の統廃合の現状と課題(平成29年10月2日 過疎問題懇談会説明資料) 出典を開く

参考書籍

参考文献

令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値について公表します文部科学省 総合教育政策局 (2025). 文部科学省

公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引 ~少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて~文部科学省 (2015). 文部科学省

小中学校及び高等学校の統廃合の現状と課題(過疎問題懇談会 説明資料)文部科学省 初等中等教育局 (2017). 総務省

読んだ後に考えてみよう

  1. 学校を減らしても1校あたりが小さくなる状態を、統合の失敗と呼ぶべきか
  2. 歩く前提の距離基準とバスに乗る前提の時間目安が並んでいることを、どう整理するか
  3. 教職員の減少分と通学費用の増加分は、どちらの財布から出ているか

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