TechSoup(テックスープ)とGoogle for Nonprofitsの違いと申請窓口の選び方
非営利団体がソフトウェアを無料や割引で使う制度は、Goodstack、TechSoup Japan、各社への直接申請、日本NPOセンターの新事業の4つの窓口に分かれている。2025年11月に運営が変わったTechSoup Japanの対象法人格と費用、Google for Nonprofitsとの違い、製品ごとの申請先を、各社の公式ページで確かめて整理した。
ざっくり言うと
- 非営利団体向けのIT制度は、Goodstack、TechSoup Japan、各社への直接申請、日本NPOセンターのデジタルチャネル for Nonprofitsの4つの窓口に分かれている
- TechSoup Japanは2025年11月15日から米国のTechSoup Globalが直接運営しており、登録は無料だが製品の申請には手数料や利用料がかかる
- TechSoup Japanに登録できる一般社団法人は非営利徹底型に限られ、一般財団法人や任意団体、自治体は対象外である
- Google for NonprofitsはGoodstackの審査を受ける制度で、TechSoupの登録をGoodstackの審査に使えるという案内は見当たらなかった
はじめに
非営利団体向けIT制度は提供会社ごとに申請先が違うこと、書き手の立場
非営利団体がソフトウェアを無料や割引で使える制度は、提供する会社によって申請先が違う。Adobe Creative CloudやマイクロソフトのプログラムはTechSoup Japanに案内があるが、Google WorkspaceやCanvaの非営利向けプランは、Goodstackという別の会社の審査を受けて申し込む。
この記事では、2025年11月に運営が変わったTechSoup Japanの仕組みと、Google for Nonprofitsとの違い、製品ごとの申請先を、2026年9月14日から16日にかけて各社の公式ページで確かめた範囲で整理する。
書き手のISVDはGoogle for Nonprofitsの申請とGoogle Ad Grantsの運用を有料で手伝っており、TechSoupやほかの制度の申請はその対象に入っていないので、Googleの制度を勧める立場にあることを先に書いておく。
審査の窓口の全体像
団体の確認を誰がするかで分けた4つの窓口
申請の窓口を、団体の確認を誰がするかで分けると、次の4つになる。
Goodstack
Google・Canva・Zoomが団体の確認を任せている会社
この窓口で申請するもの
- Google for Nonprofits
- Canva for Nonprofits
- Zoomの非営利向け割引
対象の目安
Goodstackの日本の定義は、公益社団法人・公益財団法人・NPO法人・社会福祉法人・一般社団法人
TechSoup Japan
2025年11月15日から米国のTechSoup Globalが直接運営
この窓口で申請するもの
- Adobe Creative Cloud
- マイクロソフトの寄贈・割引プログラム
- Asana・Box・Autodesk・Tableauなど
対象の目安
NPO法人・社会福祉法人・公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人(非営利徹底型)
各社に直接
提供する会社が自社の基準で確認
この窓口で申請するもの
- Microsoft 365 Business Basic(最大300ユーザー無料)
- Adobe Acrobat Pro・Adobe Express
対象の目安
各社が公開している資格基準
デジタルチャネル for Nonprofits
日本NPOセンターが2025年11月に始めた事業
この窓口で申請するもの
- Backlog・kintone
- 会計王・給料王
- リサイクルパソコン
対象の目安
10類型。一般財団法人(非営利徹底型)や労働者協同組合も入る
※ Slackの申請の窓口は、公式ページで確かめられなかったため載せていない
1つ目のGoodstackは、Googleが自社のヘルプで審査の窓口として案内している会社で、団体の法規情報やプログラム情報を見て、法規に沿って登録された活動中の非営利団体かどうかを審査する。CanvaとZoomも、非営利向けプランの資格の確認をGoodstackに任せている。
2つ目のTechSoup Japanは独自の条件で団体を登録し、登録した団体にソフトウェアの寄贈や割引を仲介している。3つ目はMicrosoftやアドビのように提供する会社が自分で資格を確かめる窓口で、4つ目が日本NPOセンターが2025年11月に始めた「デジタルチャネル for Nonprofits」である。
TechSoupに登録した情報をGoodstackの審査に使えるという案内は、今回確かめた公式ページには見当たらなかった。2つの窓口の両方を使うなら、それぞれで団体の確認を受ける前提で書類を用意しておくと手戻りが少ない。
TechSoup Japanの仕組み
運営の交代、対象の法人格、費用、利用条件、重複登録の注意
運営の交代
TechSoup Japanは、日本NPOセンターが米国のTechSoup Globalの協力を得て2009年6月から運営してきたが、2025年11月15日からはTechSoup Globalが直接運営している。日本NPOセンターの発表によると、これまでに6,522の非営利法人が利用し、寄贈・割引ライセンスの総提供数は14万ライセンス強で、市場価格に換算すると約6,000万米ドル(日本円で約90億円)にのぼる。
対象になる法人格
TechSoup Japanの「テックスープに団体登録する方法」のページ(2026年9月14日に確認)によると、登録できるのは特定非営利活動法人、社会福祉法人、公益財団法人、公益社団法人、一般社団法人(非営利徹底型)と、それぞれの支部である。
一般財団法人、宗教法人、学校法人、医療法人のほか、自治会や町内会などの認可地縁団体、法人格のない任意団体、官庁・省庁、自治体は対象外で、同じページは例外を認めないと書いている。一般社団法人は非営利徹底型に限られるので、非営利型の要件を満たすための定款設計(このサイトの記事)を見て、定款が要件に合っているかを登録の前に確かめておきたい。
費用
団体の登録とアカウントの維持だけなら、登録料や年会費はかからない。ただし、製品やサービスの寄贈(利用)を申請するときには手数料や利用料がかかると、同じページに書いてある。
手数料の率は、TechSoup Japanの現在のページでは確かめられなかった。日本NPOセンターの案内ページには「市場価格の4%〜10%程度の手数料」とあるが、掲載日が分からない案内で、2025年11月の運営交代のあとも同じ率かどうかは分かっていない。
利用条件と重複登録
登録する団体は、TechSoup Japanの「寄贈対象団体の条件」のページにある9項目の利用条件に同意する。製品を複写・転売・譲渡・貸与しないことや、団体が所有または管理する端末で、有給か無給かを問わず事務局職員と理事・評議員・監事だけが使うことが含まれ、重大な違反があると最大5年間の利用資格停止になる。
同じページの補足には、団体の正会員(社員)やその他の会員は利用の対象外で、職員の福利厚生や会員サービスとして製品やライセンスを配ることも禁止と書いてある。会員に配る使い方はできないので、誰が使うかを先に決めておくとよい。
登録の前にもう一つ気をつけたいのが重複登録で、担当者の退職などで登録済みかどうか分からないまま新しく登録すると、製品の申請が進まない原因になるとTechSoup Japanは注意している。一度登録したデータは削除できないため、問い合わせフォームから団体名、国税庁の法人番号(13桁)、担当者の名前とメールアドレスを送り、登録の有無を先に調べてもらう。
寄贈基準が載っている提供企業
「寄贈対象団体の条件」のページには、提供企業ごとの寄贈基準へのリンクが並んでいる。2026年9月14日の時点では、マイクロソフト(ソフトウェア寄贈、Microsoft Discounted、Microsoft Cloud)、Adobe、Asana、Norton、Box、Autodesk、Bitdefender、Tableau、TeamViewer、NortonLifeLockの基準が載っており、ZoomとSlackの名前はこのページに無かった。
寄贈の対象になる製品の一覧は、サイトの「寄贈製品カタログ」に別にある。欲しい製品が決まっているなら、登録の前にカタログで扱いを確かめておきたい。
Google for Nonprofitsとの違い
審査する会社、対象の法人格の書き方、費用の違い
Google for Nonprofitsは、Google Workspace for NonprofitsやGoogle Ad Grantsなどをまとめた制度で、申請するとGoodstackの審査を受ける。TechSoup Japanとは、団体を確認する会社も、対象として書かれている法人格の範囲も違う。
Goodstackが公開している日本の定義には、公益社団法人、公益認定を受けた公益財団法人、所轄庁の認証を受けた特定非営利活動法人、社会福祉法人、一般社団法人が並んでおり、一般社団法人に非営利徹底型の限定は書かれていない。ISVDのGoogle for Nonprofitsのガイド(このサイトの記事)では対象を非営利型の一般社団法人として整理しているので、一般社団法人はどちらの制度に申し込むときも、定款が非営利型の要件を満たしているかを確かめてからにするのが無難である。
費用の考え方も違い、Google Workspace for Nonprofitsの無償プランは利用料がかからず、上位プランは割引価格で使える(詳しくはGoogle Workspaceが無償になる条件と申請手順(このサイトの記事))。TechSoup Japanは、登録は無料でも、製品を申請するときに手数料や利用料がかかる。
審査で見られる書類と事業計画の書き方はGoogle for Nonprofits審査に通るための事業計画の書き方(このサイトの記事)にまとめた。自分たちで申請するか手伝いを頼むかを決めたい団体向けに、Google for Nonprofitsの導入準備のページで、団体がやることと頼めることを並べている。
製品ごとの申請窓口
Microsoft、Adobe、Canva、Zoom、Slackの申請先と条件
Microsoft
Microsoftは、非営利団体向けの寄贈と割引の利用資格を自社のページで公開している。拠点とする国で非営利団体や非政府組織として法的な地位を認められていることが条件で、行政組織や官公庁、学校や大学、金融機関、政治団体、労働組合などは対象外である。
非営利向けのMicrosoft 365 Business Basicは最大300ユーザーまで無料で使え、Business Premiumはユーザーあたり月額$5.50(年払い)と、日本語のページでも米ドルで表示されている。円で表示されているGoogle Workspaceと並べて比べるときは、為替で円の金額が動くことに気をつけたい。TechSoup Japanの寄贈基準のページにもマイクロソフトのプログラムが載っているので、申し込む前に両方の案内で製品と条件を確かめておくとよい。
Adobe
アドビは、製品によって窓口が分かれている。Creative Cloudは割引価格で使える製品で、アドビのプログラムパートナーであるTechSoupが管理している。
Adobe ExpressとAcrobat Proは、団体名や団体の有効なメールアドレスなどを入れてアドビに直接申し込み、非営利団体であることの確認には1〜3営業日かかる。Adobe Expressのプレミアムプランは最大50ライセンスまで無料で、Acrobat Proは最大10ライセンスまで1年間のサブスクリプションを割引価格で使える。
Canva
Canvaは、資格を満たした非営利団体に有料の機能を無料で開放しており、資格の確認をGoodstackに任せている。対象外として、行政機関、政治団体、学校や大学のほか、会員への便益を主な目的とする会員制の団体や、自らの事業より他の団体への助成を主とする財団などを挙げているので、会員組織として活動している団体は条件を先に読んでおきたい。
Zoom
Zoomは、Goodstackと提携して、確認が済んだ非営利団体にサブスクリプションの割引を出している。サポート記事によると、Zoom Caresのページにある「対象のZoom製品が50%引き」の枠から運営予算を選んで申し込み、運営予算が1,000万米ドル未満の団体はGoodstackの確認に進み、2〜3営業日のうちにGoodstackから次の手順のメールが届く。
Slack
Slackの非営利向け割引の申請窓口は、今回は確かめられなかった。TechSoup Japanの寄贈基準のページにSlackの名前は無く、Slackのヘルプの該当ページも開けなかったので、申し込む前にSlackのヘルプで最新の案内を確認してほしい。
日本NPOセンターの新しい事業
デジタルチャネル for Nonprofitsの製品と対象法人格
TechSoup Japanの運営から離れた日本NPOセンターは、2025年11月に「デジタルチャネル for Nonprofits」を始めた。IT企業と組んで製品を寄贈や特別割引で届ける窓口のほか、IT活用のための資金と伴走の支援、IT企業によるNPO向けのセミナーを用意している。
扱っているのはリサイクルパソコン、タスク管理ソフトの「Backlog」、会計ソフトの「会計王」、給与ソフトの「給料王」、サイボウズの「kintone」、レンタルサーバ、クレジットカード決済システムなどで、トップページに挙がっている製品にGoogleやアドビの名前は無い。価格は一律ではないが、定価の1割引〜5割引程度で提供されるケースが多いと、同じページのQ&Aに書いてある。
対象の法人格は、特定非営利活動法人、一般社団法人(非営利徹底型)、一般財団法人(非営利徹底型)、社会福祉法人、社会福祉連携推進法人、公益社団法人、公益財団法人、労働者協同組合、更生保護法人、社会医療法人で、TechSoup Japanの対象に無い一般財団法人(非営利徹底型)や労働者協同組合も入っている。登録料と年会費は無料で、TechSoup Japanに登録していた団体の登録情報は自動で引き継がれていると日本NPOセンターは案内している。
手を付ける順番
法人格、使う道具、登録の有無の順に絞る
どの窓口から始めるかは、次の順で絞ると迷いにくい。
- 法人格を確かめる。今回調べた4つの窓口は、どれも法人格を持つ団体だけを対象にしていて、任意団体のまま使える窓口は見つからなかった。まず法人にするかどうかから決めることになる(設立の流れは非営利型一般社団法人の設立ステップ完全ガイド(このサイトの記事))。一般社団法人は、定款が非営利徹底型の要件を満たしているかも見る。
- いま使っている道具と、これから使いたい道具を並べる。メールと文書の共有をGoogleでそろえるならGoodstack、Adobe Creative CloudならTechSoup Japan、Microsoft 365やAcrobat Pro、Adobe Expressなら各社への直接申請が入口になる。
- 窓口ごとに、団体が登録済みかを確かめる。TechSoup Japanは重複登録のデータを消せないので、前の担当者の登録が残っていないかを問い合わせで調べてから進める。
まとめ
4つの窓口の違いと、Googleの制度を申請するときの次の一歩
非営利団体向けのIT制度は、Goodstack、TechSoup Japan、各社への直接申請、日本NPOセンターのデジタルチャネル for Nonprofitsの4つの窓口に分かれている。TechSoup Japanは2025年11月から米国のTechSoup Globalの直営に変わり、登録は無料だが製品の申請には手数料や利用料がかかり、一般社団法人は非営利徹底型に限られる。
Google for NonprofitsはGoodstackの審査を受ける制度なので、TechSoupに登録していても別に申し込む。申請を頼むかどうかを考えている団体は、Google for Nonprofits申請・導入支援のページで、ISVDが受けている作業の範囲と料金を見てほしい。
この記事で使った統計の出典
- 1日本NPOセンター「【テックスープ】16年間ありがとうございました」(2025年11月) 出典を開く
- 2日本NPOセンター「テックスープ(TechSoup)」 出典を開く
- 3TechSoup Japan「寄贈対象団体の条件」(2026年9月14日確認) 出典を開く
- 4Microsoft「非営利団体向けテクノロジおよびソフトウェア寄贈と割引」(2026年9月確認) 出典を開く
- 5アドビ「非営利団体向けアドビ製品」(2026年9月確認) 出典を開く
- 6Zoom「Subscribing to Zoom as a nonprofit organization」(2026年9月18日確認) 出典を開く
- 7デジタルチャネル for Nonprofits(トップページのQ&A)(2026年9月確認) 出典を開く
参考文献
【テックスープ】16年間ありがとうございました — 日本NPOセンター (2025). 日本NPOセンター
テックスープに団体登録する方法 — TechSoup Global (2022). TechSoup Japan(2026年9月14日確認)
寄贈対象団体の条件 — TechSoup Global (2020). TechSoup Japan(2026年9月14日確認)
Goodstack の審査を受ける — Google LLC (2026). Google非営利団体ヘルプ
Nonprofit definitions — Goodstack (2026). Goodstack
非営利団体向けの寄贈&割引の利用資格 — Microsoft (2026). Microsoft
非営利団体向けテクノロジおよびソフトウェア寄贈と割引 — Microsoft (2026). Microsoft
非営利団体向けアドビ製品 — アドビ (2026). アドビ
Canva Nonprofits eligibility guidelines — Canva (2026). Canva
Subscribing to Zoom as a nonprofit organization — Zoom Communications (2026). Zoom サポート
デジタルチャネル for Nonprofits — 日本NPOセンター (2025). デジタルチャネル for Nonprofits
新たなIT支援事業「デジタルチャネル for Nonprofits」を開始します — 日本NPOセンター (2025). 日本NPOセンター
無料資料
Google for Nonprofits 活用ガイド
非営利法人が受けられるGoogleの特典(Ad Grants・Workspace無償化など)の全体像と、申請から活用までのステップを解説した資料を無料でお送りします。
